女帝への抑止力



僕はミザリーさんという人に連れられていくララお姉ちゃんに連れられて受付の奥の部屋に入った。



ミザリーさんは、対面するソファの奥側に座り、僕達は手前のソファに座らされた。

髪の間から初めて顔を拝見してしまったが、ユーリル大森林で見惚れた鮮やかな緑を連想させる綺麗な長髪。そして、耳が普通の人より長くつり上がっている。

これは、エルフっていう種族かな。

後で百科事典で調べてみよう。



「あらずっと見つめられると照れるわね。私の顔に何かついてるかしら?」


「あ、すすみません!あの‥その耳が長いなぁと思って‥」


見ていたのが気づかれた。

思わず、縮こまる。


「エルフを見るのは初めてなの?人種に比べてエルフは少ないから仕方ないのかもね。」


初めて百科事典で調べる必要なかった。


「ところで君の名前を教えてちょうだい。私はミザリーよ。ここのギルドマスターをしているわ」


「ぼ、僕はコータと言いましゅ‥。冒険者をやってます」


「あら冒険者だったの。てっきりララがどこからか誘拐してきたのかと思ったわ。」


「ちょっ!誘拐って失礼です。コータくんは私にとって‥‥ポッ」


頬を赤らめうさ耳を揺ら揺らさせながら、体をクネクネしている。


「まあ随分とご執心のようね。2人の温度差はすごいけど‥」


「ぐっ‥痛いところを。良いんです良いんです、これからですから。」


「ふ、頑張りなさい。この子なんか色々惹きつけそうよ。」


「ええ、本当もうしっかりと実感してますよー。」


僕をそっちのけで女子会が始まった。

説教はどこ行ったんだろう?

帰りたい。


僕の挙動が変になり始めたところで、ララお姉ちゃんが切り出す。


「そうそうミザリーさん。王国から何か特別な依頼とか出てますか?」


「ん?いいえ、特に依頼なんて来てないわよ。何かあったの?」


ララお姉ちゃんは確認のため僕の顔を伺っている。

僕は軽く頷く。


そして、ミザリーさんにかくかくしかじか法で説明してくれる。

良かった、本来の目的を忘れていなかったんだ。



「へぇーこの子見た目のわりに強いのねー。3日前に逃げ出して未だにギルドに依頼も来てないし問題無いわよ。ララには一応借りがあるから何かあったら連絡してあげるわ」


「な、何から何までありがとうございます。」


すると、ララお姉ちゃんが不満気な顔。


「ぶー、私には何も言ってくれないんですね」


「えっ!ら、ララお姉ちゃんにももちろんか感謝してるよ。掲示板で確認するよりも安心出来たもん。あの、ありがとうございます。」


ちゃんとお礼を言わないと。

僕はしっかり頭を下げる。


「もう可愛いんですからー本当にたまらんです。」


「あー、ララの目が危なくなって来たわね。コータだったわね、私が抑えとくからもう帰りなさい」


「え?は、はい。あのミザリーさん、ララお姉ちゃん本当にありがとうございます!」


「たまらん!」


飛び掛かってくるララお姉ちゃんをミザリーさんが羽交い締めで拘束。

あのララお姉ちゃんを抑える力があるなんてすごい。



僕はもう一度一礼して、ギルドを出る。


宿屋のおばさん以外にもまともな人に出会えて良かったです。







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