さよなら王都、お兄さんもさようなら



僕はギルドを出て、念の為いつ逃げても良いように食料を買い貯めすることに。

王都までの2週間ほどの長旅で随分消費しちゃった。

ついでにまたユーリル大森林通るし、うさぎさん達へのお土産も買おう。



王都の市場はすごい。圧倒的な人の数。僕には暴力だ。

それでも、親友のために商品だけに視線を合わせ食料やお土産を買っていく。


あそこの果実サイデルでもユーリルでも見た事がない。

バナサ?

事典によると、味も見た目も地球のバナナそのものらしい。

この世界の食べ物はやたらと地球に似通っている。

地球の神様と知り合いだから、参考にしたのかもしれない。


とにかくあれもうさぎさんへのお土産にしよう。


「「すいません、それをください(くれ)」」


言葉が重なった。

同じように購入しようとしているみたいだ。

ここは譲ろう。

僕は一歩下がるがなんか様子がおかしい?


「お、お前は!あの時の!」


え?なになに?なんで指を指してくるの?


勇気を出して顔を確認したけど、こんな騎士風のお兄さんなんて知らない。


「お、お嬢ー!こっちこっちに来てくれー!例の子が、例の子が‥」


騎士風のお兄さんは驚いた様子で遠くにいる誰かを呼んでいる。

遠くから「なんですってぇー!」っと聞こえる。


まさかやっぱり捕まる!?


ミザリーさん大丈夫って言ってたのに‥


に、逃げなきゃ。

宿屋にはあと2日分のお金を払ってたけどこうしちゃいられない。


お兄さんが叫んでる内に、人混みを駆け抜ける。

後ろから、「どごですのぉぉー!」と獣のような叫び声。

やばい、血眼になって探しているのかもしれない。


こ、怖い。都会怖い逃げなきゃ。



外へと続く門まで来た。


もしかしたら厳しい検問が待ってるかもしれない。

い、いざとなったら強行突破しゅる!



拍子抜けするほどすんなりと通れました。

んーどうしてだろう?

もしかすると、まだここまで伝達が上手く伝わってないのかもしれない。


とにかく脱出出来た。

結局、王都は数日しか居られなかった。残念。

盗賊討伐の達成報告はサイデルでしよう。



最後まで遠くから聴こえた雄叫びみたいな声。

怖かったぁ‥




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る