小話 ドコ?ドコニイルノォ‥6
私は冒険者ギルドの個室でララさんと護衛依頼の打ち合わせをすることになりました。
「それではララさん。護衛依頼の内容ですが、王都までの2週間の護衛。私の騎士達もいるので人数は多くてもDクラス以上で4人までです。一人当たり金貨2枚です。出来れば、大人の男性は少し怖いので女性の方か、もしくは同い年くらいの男の子でお願いいたします。」
金貨2枚は2週間の護衛依頼では破格の値段。必ず受けてくれるでしょう。
「そうですね、女性冒険者の方々に声をかけておきましょう。」
「はい、ありがとうございます。あと、風の噂でお伺いしたのですがCクラス昇進が間近な方がいるとお聞きしました。良ければ、今回の護衛を昇進試練にご利用頂いてもよろしいですよ」
意図的なのか不明ですが、同い年の男の子が流されたような気がする。
念の為、それとなくアピールする。
「アリシア様の御寛大なお心ありがとうございます。」
肯定も否定もしない。
流すだけ。
やっぱりこの人…
「それではよろしくお願いいたします、ララさん。…‥負けませんわ」
「はい、すぐに依頼を貼り出しますねアリシア様。……こちらこそ」
互いに微笑みあう。
私は、そのまま部屋を出て、未だに悶絶しているディーを掴み立ち上げる。
「いつまで寝ているの?帰りますわよ」
「お、お嬢がヒールで踏んだからでしょうがっ!」
文句を言ってくるディーを連れて馬車に乗り込む。
そして、ギルドを見つめる。
「アリシア様、どうかされましたか?」
一緒に乗り込んだメイドが心配そうに聞いてくる。
「……いたわ」
「どなたですか?まさか例の少年ですか?」
「違うわ。」
あの時感じた何かをようやく理解出来た。
あの女は敵。ライバル。
しかも、かなりタチが悪そうね。
負けられないわ。
あの女より先にコータ様との親密度を上げてやるんだから。
待ちに待った護衛依頼の日。
「う、嘘でしょ‥」
「アリシア様、こんにちは!Cクラス昇進を目指している子に声をかけてみたのですが、盗賊討伐を選んでしまいました。いやー頑張って説得したんですが、あの子私以外には凄く人見知りなので…。」
「くっ…」
待ち合わせ場所には、Cクラスで女性三人組のパーティーとAクラス冒険者の受付嬢ララさんがいた。
とてもしたり顔でほくそ笑むララさんが。
今回の対決
アリシア情報不足と計画不足で敗北。
0勝1敗
結局、道中コータ様に会うこともありませんでした。
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