劇録!王都脱出編
連行先で家族を紹介されました
僕は到着後すぐに王城へと連行された。
今まで出会った女性のほとんどが話を聞いてくれない。
僕の声が小さいとしても異常だ。
馬車から降ろされ、姫さまに腕を騎士さんに背中を拘束されたまま入城。
時折、すれ違う騎士の方々に鋭い眼光で睨まれた。姫さまの手前なのか何か言われることはなかったけど、凄い怖かった。
そして、一つの部屋にたどり着いた。
それと同時に僕を確保するメンバーが姫さまからメイドさん達に変わりました。
姫さまは報告と着替えに行ってくるそうです。
僕はそのままメイドさん達に無理矢理部屋に連れ込まれました。
今のうちに帰りたいと伝えてもただ笑って流すだけ。
どうあっても、帰す気がないみたい。
諦めて目の前のテーブルに並べられた紅茶やお菓子で少しでも気を紛らわせる。
メイドさん以外の視線も感じるから、とても落ち着かない。
おかわりを言えるはずもなく、空になったコップを見つめて心の中で帰りたい帰りたいと願うこと約30分。
正面の扉がゆっくり開く。
コップを見つめているので、容貌は確認出来ないけど6人ほど入室したっぽい。
中には姫さまと騎士さんもいる。
正面のソファに3人、僕の横に姫さまが座る。
それぞれのソファの後ろに1人ずつ控えている。
帰りたい。
礼儀的に立つべきかと思ったけど、その前に声を掛けられた。
「そのままでよい。其方が娘を救ってくれた者か?」
「ひっ‥ははい、成り行きで…」
「ふはは、成り行きでか。しかし、娘から事前に聞いたとは言え、とても強そうには見えんなぁ」
「お父様、救って下さった方に名前も名乗らず失礼ですよ。それに、コータ様はいざという時に強さを発揮するんですから」
「そうかそうかソフィーすまなかった。コータよ失礼した。」
「い、いえ‥」
「私はスロウハート王国国王アルフレッド・フォン・スロウハートだ。娘を救ってくれて感謝する。」
顔は見てないけど、声の重低音からとても威厳が伝わってくる。
正面に座られて胃がキリキリする。帰りたい。
「次は私ね。私はスロウハート王国王妃ステイラ・フォン・スロウハートよ。娘を助けてくれてありがとうね。」
「い、いえ‥」
国王さんの右隣に座っている人が姫さまのお母さんか。声がおっとりしていて若々しい。帰りたい。
じゃあ、国王さんの左隣の人は?
「最後は私ね。私はスロウハート王国第1王女シルフィ・フォン・スロウハートよ。妹を助けてくれてありがとう。もう1人上にお兄様がいるんだけど、今日は王城にいないのよ。ごめんね」
「い、いえ‥」
王族ほぼ全員集合。帰りたい。
コップに焦点を合わせ、意識を保ち続ける。
この後、どうなるんだろう‥
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