小話 ドコ?ドコニイルノォ‥4



私は今、黒装束の人達に囲まれている。

この子達は特別な任務を任せている隠密部隊。


「どうです?情報は手に入りましたか?」


「はっ!ご報告いたします。まず現在この街にいる黒髪で冒険者をやっている少年で調べたところ、1人挙がりました。」


「へぇー、続けてちょうだい。」


「はい、名前はコータ エンドゥー。13歳で冒険者クラスはDです。有能で将来性は非常に高いです。現在、上位クラスに入るため依頼を多く受けているようです。また保護欲をとても駆られる容貌で襲いたくなります。」


「そ、そう。」


最後の情報はともかく名前が知れたのは吉報ね。

しかも、今は昇進するために奮闘していると。


「みんな、ありがとう。今後も調査を続けてちょうだい。と、特に色々な好みとか分かると嬉しいわ」


別にお礼のために好みを知りたいだけ。

ちょっと恥ずかしいわね。


「「「お嬢様の恥じらう姿頂きましたー!私達はこれで何倍にも頑張れます!」」」


「なっ!」


文句を言う前にスッと消える。

とても元メイドだとは思えないわ。



ふふ、やっとお会い出来るチャンスを作れる。

絶対にお礼のために会わなければ‥



さっそく根回しのため、お父様のいる書斎へ。

お父様とカルロス様がいらした。


「お父様、失礼します。お願い事がございまして‥少しお話しを聞いて頂けますか?」


ちらっとお父様とカルロス様を見る。

カルロス様は一歩後方に下がる。


「構わないよ、アリシア。お願い事とはなんだ?」


「王都にいらっしゃるお兄様にお会いして、来年から通う学園を案内してもらいたいのです。」


「どうして今なんだい?」


「勉強も今は落ち着いているので、将来通う学園を見て英気を養いたいのです。それに、王都の友人にもお会いしたいですわ。」


「うーん、そうか。だが、以前のオークのこともあるし危険ではないか?」


「ずっと篭ってばかりでは駄目になってしまいます。お父さまぁ‥」


これはお母様から教わった秘技の一つ、泣き堕とし。

少し目を潤ませ甘えるように。

お父様には効果絶大。


「ぐっ‥しかし心配なん‥」


「ひぐっ‥お父様分かってますわ、危険が多いことは。でも‥でもいつまでも殻に閉じこもってばかりなんて私には耐えられません。」


「アリシア‥」


もう一押し。

この秘技の効果はお父様だけではない。


「クロード様、進言してもよろしいでしょうか?」


「カルロス様‥」


きた、釣れた!


「あのオークの事件以来、私を含めアリシア様の専属騎士たちは共に鍛錬を積み直しました。もうあのような失態を犯すことは決してありません。」


「お父さまぁ‥お願いいたしますぅ‥」


ここで見えるように涙を一筋流す。


「うっ、分かった、分かったよ。ただし今回もカルロスを付ける。そして連れて行く騎士も増やすからな。あと、冒険者ギルドにも依頼を出しておこう。」


「お、お父様ぁ…あありがとうございます!」


まだです!

部屋を出るまで涙を絶やしてはいけない。

これが泣き堕とし。


あとは、ギルドへの依頼を少し弄るだけですわ。



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