行きは天国、帰りは地獄2
次の日の朝、着ぐるみ事件で大森林中を無我夢中で走り回って、テントに戻って来る頃には真っ白に燃え尽きていた。
着ぐるみは走ってる間に脱ぎました。
「コータさん、大丈夫ですか?あの可愛くて似合ってましたよ。ね、サラ。」
「そうですそうです、姫様の言う通りだ!だから元気出しなよ、ね。」
「クゥークゥー!」
皆さんがとても気を遣ってくださる。
「も、もう大丈夫です。出来れば、忘れて頂ければ‥」
返事は無く、ちらりと顔を伺うとニコリと笑うだけ。
「じゃ、じゃあ王都に行きましょうか」
「そうですね、では行きましょう!」
「そうですそうです以下略。」
そして、うさぎさんとの再びの別れ。
お互い無言で抱きしめ合う。
そして、小さく待たねと伝え、共に離れる。
今度は泣かなかった。
でも珍しく少しの間、上を向いて歩いた。
そこからは過酷の一言だ。
姫さまが度々僕に話しかけて来たり、一緒にテントで寝ましょう既成事実既成事実と訳分からないことを言ってくる。
騎士さんは騎士さんで剣の相手をしてくれとせがんでくる。
王都までの1週間で僕の心はだいぶ疲弊しきった。
魔物の相手をしている間だけが僕のひと時の安らぎでした。
そして、やっとこさ王都に到着。まだ距離はあるのに、一目で凄い人の数だと分かる。
門に並んでる人の数がサイデルの比ではない。
「ぼ、僕達も並びましょうか」
「いえ、その必要はございませんよ。なんたって私は王女ですから。」
そう言うと、姫さまは僕の腕を掴んで行列を無視して門番の所に向かう。
僕は掴まれたせいで鳥肌と震えが止まりませんでした。
「おい、貴様ら!列になら‥ソフィア王女!?」
「はい、そうです。門番ご苦労様です、通して頂けますか?あと、すぐに王城に向かうので馬車の用意をお願いいたします。」
「はっ、どうぞお入り下さい!すぐに馬車をご用意いたしますのであちらでお待ちくださいませ!」
そう言うと、すぐに馬車の用意のため慌ただしくなった。
も、もう王都だし、僕はもういいよね‥
「あ、あのー姫さま、僕はこれで…」
「うふふ」
「あの、手を離してもらえると…」
「うふふ」
「お願い‥離してっ…」
笑うだけで一向に手を離してくれない。
どうしてこの世界の女性は力強いの?
そうこうしているうちに、馬車の到着。
「さあ、行きましょう王城へ!」
「ひ、姫さま僕はもう…」
「うふふ」
後ろからは諦めろと言うように騎士さんが背中を押す。
僕は、連行されました。
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