初めての出会い 触れ合うのは心? それとも
僕の初めての相手は、震えるウサギを掴むゴブリンさんでした。
良かった、人じゃない
それだけで体は存分に動ける。
彼?の持つ棍棒は木で出来ている。余程、下手な動きをしなければまず問題無いだろう。
相手はこちらをかなり下に見ているのか、にやにやと新たな獲物を見つけたって顔をしている。
自分と同じくらいの身長の子供。
舐めてかかるのも当然かな。
念には念を入れて、身体強化魔法をかける。
油断している彼は、ウサギを片手に棍棒を振り上げて飛びかかってきた。
僕は、落ち着いてサバイバルナイフで棍棒を受け流そうとした。
神様も驚きの切れ味を甘く見ていました。
ナイフの刃は棍棒を通過し、ゴブリンさんの首すら何の抵抗無く通っていた。
そのまま、ポトッと落ちる棍棒の先端とゴブリンさんの緩み切った顔。
後に続いて倒れる、残りの本体。
「ひぃ(ピィ)!?」
僕とウサギの小さな悲鳴。
お互いに抱きしめ合う。
こんな切れ味聞いていない。
初めての殺生より、ナイフの切れが恐怖を凌駕した。
呼吸を整えて、倒したゴブリンに近づく。
百科事典によると、ゴブリンは討伐の証の右耳以外は価値が無いそうなので棍棒は収納庫に、ゴブリンさんは焼き払うことに。
ボーッと焼いてると、先程のうさぎさんが足元へ寄ってきた。
「クゥークゥ!」
お礼を言ってるのかな?
「うん、どういたしまして」
なおも、鳴きながらすりすりしてくるウサギ。
目が合うと、少し離れてまたこちらを見つめて鳴いてくる。
ん?
付いて来いってこと?
近づいてみると、また少し離れる。
当たりみたいだ。
このやり取りを何度か続けてると、1本の木の前で止まった。
木を見上げると、枝のあちこちに鮮やかな黄赤の実が生っている。
これは、百科事典で見たことがある。
オーレの実だ。
「クゥーククゥ!」
「ありがとう、ウサギさん」
お礼に案内してくれたんだ。目一杯、頭を撫でなでする。
気持ち良さそうに目を細める。
僕は木を傷付けないよう慎重に登り、取りすぎない程度にオーレの実を採取した。
うさぎにオーレを一つ渡して、さあ探索の続きだ。
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