友達は白い君
ゴブリン討伐とオーレの実の分け合いで、意気投合したうさぎと僕。
現在、うさぎさんを頭に乗せて仲良く探索をしている。
この後も、何度かゴブリンと出くわしたものの、子供と小動物の組み合わせのお陰で相手は油断してくれる。
一度、モウウルフとも出くわしたが凶暴性はあるけれど、動きが単調なため冷静に対処出来た。
人以外には、落ち着いて対応出来る。
うさぎさんの指示のもと、どんどんオーレやアプルといった果実を採取していく。
さすがこの大森林の住人だけあって、的確に実が集中的に生っている所教えてくれる。
ハーニの樹液はこの付近には少ないのかあまり多く入手出来なかった。
少し採取出来ただけ良しとしよう。
「うさぎさん、そろそろ森を抜けようと思ってるんだけど、一番近い道って分かるかな?」
「クックゥー!」
頼もしい。胸を張る仕草を見せる姿が非常に愛らしい。
うさぎさんに指示を貰い、移動を進める。
鬱蒼と生い茂って若干薄暗かった景色も、進むたびに明るさが増していく。
道が見えてきた。今までの緑一杯の景色から土色ばかりの景色に変化した。
い、いよいよ街を目指すのか‥
謎の緊張感が増す。
「クゥー」
うさぎさんがいつの間にか頭から足元に移動していた。
僕はしゃがみ込み、一緒に行動している間に考えていたことを呟く。
「よ、良かったらこのまま僕と一緒に旅をしないかい?」
「………クゥーウ」
首を横に振る。
そうだよね、うさぎさんにもここでの生活がある。家族だっているかもしれない。
だから、ちゃんとしなきゃね。
ちゃんとお別れを
「そ、そうだよね。道案内してくれてありがとう。あの時、君と出会えて良かったよ」
「クゥークゥー!」
撫でる手に擦り寄ってくる。
この子も別れを惜しんでくれているのかな‥。
「今はさようならだけど、また来るからね。その時はまた一緒にオーレを食べよう!」
「ククゥー、クゥー!」
もう一度撫で、頬を伝うものがバレないように立ち上がる。
「またね(ククゥーク)!」
お互いに背を向け、1人は道路に向かい、1匹は森へと向かった。
両方とも顔を鼻水と涙でぐしゃぐしゃにして。
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