第9話 私の宇宙

群青が語り始めて七日後の最後の言葉雨にかき消え


透明な枯葉の涙見た夜の私だけに吹いている風


終焉と書かれた紙で作ってみる三十センチのメビウスの輪


無限に広がっているかもしれないが目に見えるほどが私の宇宙


一瞬の響き重なり蝉しぐれ小道に我は閉じ込められて


最後だと私に告げたその言葉桜色した君の唇


十六夜の光を待とう君の傍静かな吐息に想いをひそめ


不可思議なあなたという現象はわたしのそばで眠りを知らず


見忘れた夢のつづきは失われ歌うたいがそら湿原を行く


雑踏を斬るようにして運命の羽音聞こえるあなたはこない


光線をさえぎるサボテンの花せめて今宵は口をつぐんで


まっすぐにこちらへのびる君の影時にそれは鋭利な刃物

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