第7話 霧雨が降る

弱い人間なんているのかな太陽はこんなに近くで燃えていて


さびついた夜明けににじむ淹れたての濃いブルマンの香りの揺らぎ


「君だけに」なんてうそ臭いことあなたに言ってほしくない


今日は誰か叱ってください 足元の風があんまり優しいから


ブランチを取るあなたと私の間には絶える間もなく霧雨が降る


眠るあなたの蒼きまぶたのその上にモノクロの蝶は鱗粉をまく


大いなる母に抱かれた生命に震えて海は今も満ちている


まっすぐにあなたに放つ猜疑心光なければ影も生まれず


群青が語り始めて七日後の最後の言葉雨にかき消え


不可思議なあなたという現象はわたしのそばで眠りを知らず


月影をなぞるあなたの指先に風が止まってなんか静か

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