第4話 真昼の烏(カラス)

涙を手にのせてあなたはやってきた枝のこすれる音にまぎれて


ブラインドおろしたままの三連休ひとりでなくな真昼の烏(カラス)


何度となくのぞきこむ手鏡は面(オモテ)映して我を映さず


「あの色にとけたい」ふと立ち止まる秋の夕暮れ歩道橋の上


「ほら、今日がゆっくりと目をとじている」歩きは止めずあなたは言った


名も知らぬ犬の遠吠え一直線吸い込まれていく夕月夜へと


月の夜は海の底まで輝いて魂持たぬ魚も見える


靴下の模様を知ってる意味深な電話の向こうのサンタクロース


かなしみは気流に乗って分散す屋根へ湖畔へ千鳥の頬へ


白銀の薄くなりゆく昼日中雪だるまより流るる涙


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