第24話 俺、モメる
「テュニス? 何か俺の確認が漏れていたか?」
セイ先生は紳士だよなっ。
テュニスに対してでさえも、ちゃんと自分を下げてモノ言ってるぜ。
しかし、俺、絶対こんな俺にはなれないと思うのだが、いったいどこでどう間違ってこんなに賢くなっちまったんだろうな。
本当に性格、パーソナリティだけでこんなに変わるもんなのか?
セイと俺が兄弟だったら、俺の方は絶対、拾われてきた子供扱いされる自信あるぞ。「お前は紐で庭の枝に引っかかってたから、仕方なく拾って育てたんだ」とか親に言われてな。うう、何だか泣けてきた。どんな昔ばなしだよ、チクショウ。
「いや、女神に確認する内容としては、問題ない」
「む? ならば、何をしなければならないんだ?」
「誰がリーダーをやるかってことだ」
あー、テュニスお前……。
狙ってるんだな……。
わっかりやすいなー、こいつは。
流石『中二』の俺。
今から思うと、さっきのあの、いかにもな女神への発言もこれを意図してたんか。
でもな、このタイミングで自分からそれを言ったらバレバレになるって気づかないか、このアホは~~~。
なんつーか、こいつも俺だけに、俺のアレな部分を見た感じでメッチャくすぐったい! もーくすぐったい! やめておくれやす!
あーもう、誰かに伝えたいが、この状態にならんとわからんわなー。
他の俺にもうチョイ話せそうなのがいたらなあ……。
セイは当事者だから無理だしよ。
うん、……いないな……。
「テュニスの言うことにも一理あるな。確かに、八人もいるのだからリーダーは必要かもしれない。問題はどうやって決めるかだが……」
セイ先生のいつもながら冷静なご判断は正しい気はするのだが、何となく危険な雲行きがする。
「決める」というキーワードは俺、俺達には禁句だ。
絶対また、おっぱい様のお世話になるんだぞ。
避けられない運命……いや天命だったな。
有りか無しかと問われれば、今の俺ならそれはもう爽やかに、有りだと言えるけどな。
ただ、もうあの役割は演じたくないと思ってるぞ。
俺のステータス「ヘンタイ」追加されちゃったからな……。
ここは、一応、言っておくかな……ちょい怖いが、周りも俺なら分かってくれると信じて。
「セイでいいんじゃないか? パーソナリティが『知性』なだけあって、俺たちの中で、ずば抜けた賢さと戦略眼を持ってるじゃないか」
「俺……か……」
考えても見なかった、って顔をしてる。意外だな。
でも、よくよく考えてみると、もともとの俺はリーダーなんてやる柄じゃないから。『中二』入らなければ、これが当たり前かもしれない。
俺も、「俺以外の俺で頼む、できれば生存率上がりそうなセイで!」というのが本心だからな……あいつを除けば全員そうなんじゃないかなー。
あ……。
「横から余計なことを言わないでもらおうか、紐……イッキ。セイもどうやって決めるかが問題だと言ってるだろう。俺たち八人の納得がゆく決め方をまずは考えるべきだ」
「そ、そうか……そうだな、すまん、テュニス」
ミッション失敗……こじらせやがった……。
俺のせいかもだ、他の俺すまぬ。
わかったよ。反省して女神のおっぱいでも眺めておくから後は頼んだぜ。
「そうなると、八人の中の一人である俺が進行役というのも良くない気がするな……女神、お願いできるか?」
えー、セイ先生、ここで女神にぶん投げるのでありますか!?
その深いお考え、深すぎてわかりませんぞ!
おっぱい正面に来ちゃうか……。
まあ、眺めやすいので、もうこれでいいっす!
「わかりました。チートNo1決定戦ですね。不肖ながら私、女神ティアマトが務めさせていただきます!」
やる気いっぱいで、ぷるんぷるん。
煽りまくりの口上だが、俺は煽られようがないので大丈夫ですー。
「チートNo1というなら俺テュニスだろう。魔法攻撃にも対応可能、対複数、対単体問わず物理攻撃も可能、鎧のお陰で防御も高い。俺に隙は無いっ!」
はいはいはい、そーだね、そーだね。
でもそんなこと言っちゃうと他のやつが、湧くぞ~。
「聞き捨てならねえな、お前遠くの敵に攻撃できないだろうが? それを言ったら俺、レイの弓は、対複数、対単体問わず遠距離攻撃可能。そもそも敵を近寄らせないからな、防御不要だぞ」
やっぱりなー、こいつ来ると思ったんだよな。
最初のあたりから、テュニスに敵意燃やしてやがったしよ。
「チート性能で言い出すと、そこで寝ている奴に敵うものはいないと思うのだが……」
セイ先生がソウを指さした。
他の俺を挙げるところが謙虚だよな、先生。
そして、テュニスもレイも、これには反論できないから、黙っちまったな……。
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