第22話 俺、八つの国について知る

マギアムンドの八つの国

――――――――――


四方の国


 東の平原の国『イーストプレイス』


 南の海沿の国『サウスオーシャン』


 北の雪振る国『ノーススノウ』


 西の山地の国『ウエストマウンテン』



辺境の国


 島国『ブルーアイランド』


 火山の国『イエローストーン』


 密林の国『グリーンジャングル』



全てを統括する国


 聖王国『クリスタルレイン』


――――――――――


「皆さんが今いるこの国が、東の平原の国イーストプレイスです」


 これは重要だな。


 平原の国らしいから、近辺への移動はそんなに大変じゃなさそうで助かる。

 レベルの低いうちは、いきなりモンスターに襲われるとやばいからな。

 チート使う前に隙を突かれてやられるのだけは勘弁だ。


 そういや、魔槍の俺マジックが山吹き飛ばしてたな。

 ……さらに平らに……うん、いいことだ。むしろ、良くやった!



「イーストプレイスからは、北・南にそれぞれ道が伸びていて、北のノーススノウと南のサウスオーシャンに繋がっています。この二国から、さらに西に進むと、ウエストマウンテンに行くことができます」


 イメージ的には、東西南北の四国は、わっかみたいに繋がってるってことだな。環状線ってやつか?

 東から西に直接行けないのが面倒だが、まあわかりやすいといえば、わかりやすい。


 真ん中通れないってのは……そこに高い山でもあるんか?

 まさか、この世界は、おっぱいの形でもしてるのかっ!?


 あの女神が創造した世界だと、普通にあり得そうで、怖すぎる。

 山のてっぺんにおっぱい神社とかあったりとかな。

 それは参拝するしかない。全く面倒な仕事を増やしやがるぜ。


 さて、最初に北、南のどちらに進むかは悩ましいな。他の情報次第というところか。



「南のサウスオーシャンからは、島国ブルーアイランドへの船が出ています」


 島国か、……海賊とか、なってみたいよな。

 そしてゆくゆくは海賊王に! なんてな。


 いやまてよ、俺、勇者設定だったか?

 でも、この俺は、他の俺みたいに戦闘専門職じゃないから、海賊やってもバレないかもな……ありだな、あり!


 『ロープを操る紐の海賊イッキ』。

 それっぽくないか、これ?


 ロープを操れるかどうかは、別として……な。

 今のうちに練習しておくべきか、悩ましいぜ。


 そして、『紐』に慣れ過ぎてきている自分が、ちょっと悲しいぜ。



「北のノーススノウからは火山の国イエローストーンに、西のウエストマウンテンからは密林の国グリーンジャングルに、それぞれ道が繋がっています。国同士の繋がりは、以上となります。」


 なるほど、西南北からはさらにそれぞれ別の国に行けるってことか。

 あれ? まてよ……。


「残りの、聖王国クリスタルレインには、行く方法が無いということか? 女神」


 いつもながら頭の回転が早いな、セイ。


「はい、ありません」


 うおーい、女神。それで即答すんな。もうちょっと何とか言えや。

 流石のセイも何て言うか悩んでそうじゃねえかよ。


「その……行くことができないというのは一体どんな状況なのか説明してもらえるか、女神。そもそも、その国は、八つの国の1つなのではないのか?」


 それでもサクッと返せるセイ先生に俺は完敗だぜ。

 おおっ、上から読んでもセイ先生、下から読んでもセイ先生。

 この世の真理に辿り着いた気がするわ。


 さあ、セイ先生に答えるんだ、女神~。


「聖王国クリスタルレインは空に浮かんでいたんです」


 何! 天空の国ってやつか!

 アツいな、アツ過ぎるっ!


 あれ、でも女神の言い方……。


「その言い方だと、もう浮かんでいない、と聞こえるが」

「それもわからないんです。正確に言いますと、魔王軍の侵攻により、現在行方不明となっています」


 お、おい、国が行方不明って、初めて聞くぞ、そんな表現。

 まさか墜落……したってことか? 飛行機かよ!

 それって、『鍵の欠片』とやらの八つめが激しく無理めに思えてならないが。


 女神にも探せない、ってことなんだろ?

 最悪海の中に沈んでいた場合、……どんなスケールのドブさらいだよ! 俺達の能力がいくらチートでもそれは無理というものだぞ。


「例によって、お前には、かの国の現在の位置等わからなそうだな、女神。つまりは、聖王国クリスタルレインの捜索も必要になる、ということか」

「そうです。聖王国クリスタルレインは、他の七国を空から統括するのが役目の国。光を司るあの国が失われて以来、魔王軍の侵攻はとどまるところを知りません。あなたがたには、あの国の行方の探索、および元の状態への復活もお願いしたいのです」

「やるしか、ないと言うことだな……」


 セイも言葉数が少なくなってるな。

 俺なんかより遙かに賢いやつなんだ、きっと、色々考えてるはず。その上で、容易いことではないとわかっているということなんだろう。

 これは――厳しい戦いになりそうだ。


「女神様、ちょっと確認したいのですが……」


 お? 魔召喚士イーブ。


 珍しいなお前が、こういう所で動くとは。

 なんだか俺は、俺として、俺的に、嬉しいぞ。

 でもな、セイ遮って話すんだから、覚悟は決めとけよ!


 俺の審査は厳しいぞっ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る