第12話 俺、崩壊する

 なんつーか、あれだ。

 周囲の視線が痛く感じる瞬間ってあるよな。

 ……

 あるだろ?

 あるよな?


 例えば、超絶面白いギャグ考えてさ、あーもう俺天才、これはひとつ言っとこう、って思うときあるじゃん。


 言っちゃうよなっ!


 もちろん、理解がありそうな奴らを一応選んでるぞ、そりゃ。

 人を見る目はあるつもりだからな、俺は。


 ……じゃあ、言ってみるぜ!

 

 「、もう心たよ、だけに」


 ……

 ……

 静かなもんだよなー。

 こんなに世の中って平和で穏やかだったのかってな。


 なんだか、窓の外の景色もいつもと違って見えやがる。

 時間が止まったみたいだ、って、こういうときに使う表現かもな。


 気のせいか、俺の独り言が聞こえたらしいクラスの女子が、こいつアホかって視線で俺見てやがるなー。


 あいつ結構可愛いし、おっぱい大きいから気になりまくりだったんだけどなー。


 体育の後の体操着とか、ブラが浮き出てるから、気づかれんように注意しつつ鑑賞させてもらってたのになー。


 どうやら、その恩は返せなかったらしいぜ。


 俺のあのおっぱいへの恋は、始まる前におわったらしいな、ふっ。

 さようなら……おっぱい。


 まーもう、どうでもいいよ。


 こんな感じだ。


 ……


 最後は痛みを感じないように、精神を飛ばすのがコツだぜ。


 そうだよ……今がまさにそのときだな……ははっ。


 そんなことを考えていたら、自然と口に出ていたんだ。


、もう心たよ、周りだけに」

「何を言っているんですか? あなた」


 この女神なんつー上級者だよ。


 俺の、この、渾身の静寂系魔法をレジストして、さらにツッコんできやがったぞ!


 ……ここは魔法を更に強化するしかあるまい。


 喰らえいっ!!


「いや、だからさ、が、言ってるじゃん。そして、周りみんなじゃん。それと、心たーってのをてるわけよ。っしょ?」


 ああ、自分でも思うさ。


 痛い、痛すぎるッ!


 だがな、流石の女神サマにもこれは効くだろう。

 効かないほうがおかしい。

 効かない奴がいたら、俺は人としてのそいつの神経を疑うわ。


「そうですか……そんなあなたにカフェ飲みながら、!」

「何だとっ!」


 まずい。

 こいつ、やっぱりヤバいやつだ。

 そういえば、そもそも人間じゃなくて、女神だったか!


 オーレって、多分サッカーのかけ声だよな。

 応援するときにみんなで言う奴だ。

 あれ……俺応援されてんのか?


 カフェオレってのも、なんかおしゃれだよなー。

 カフェオレ飲みながら、このおっぱいが応援してくれてんのか。

 ……悪くないな。

 

 そのカフェオレが、オーレした瞬間に、ちょっと手元が狂って服にこぼれちゃったりしてさ。


 さらに浮き上がるおっぱい。


 もー先のほうまでわかっちゃったりしてな。


 ……あれ?今気づいたが、この女神、実はノーブラなんか?


 何てことだ、俺はいつのまにか、ブラ越しを味わうことなく、布越しを味わってしまったのか。

 くそう、順番に行きたかったぜ……。


「もう一度、最初から、やりなおせませんか?」

「だから何言ってるんですか? あなた」

「あれ?」


 知ってるか?

 デジャブってな、こういうことを言うらしいぞ。

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