第6話 俺、冒険者の宿屋で目覚める
「ってえ……」
俺は気がついた…気がついたのだが、頭が痛い、ガンガンする。
目を閉じたまま一応額に手を当ててみる。
うん、熱は無いな。平熱だ。
背中に固いものを感じるということは俺は仰向けに寝ているらしいな。よし、ちょっとまぶたを開けてみるか。
……しかし、勇気がいる。
まず、さっきのは、ラーメン食べながら寝てしまい見た夢という線も捨てきれない。
もし夢だったら俺は……
あきらかに欲求不満だな。
そうか問題ないか。
ウチの中でしたー、という結果でも強く生きていけるな。
ノーダメだ。
むしろおっぱいを揉めたのだからプラスに考えよう。
ナイス女神。ナイスおっぱい。
うーん、そういえば、なんか体の上にあのおっぱいみたいなやわらかいものが乗っかってる気がする。
ちょっと重いかもだ。なんだろうな、これ。
まあ、いいか。
で、そうでない場合は、異世界転移ヒャッホイ!である。
マギアムンドへようこそ!
では、あるのだが、今度は俺の職業選択の結果を俺は知ることになるだろう。首尾良く全能力者になっている可能性を考えワクワクするが、実はバグで無能力者という最低パターンもありえるかもしれない。無茶したからな。
まー、そしたら、異世界でスローライフ送っとけばいいか、流行ってるし、現実よりも過ごしやすいかもな。よしノーダメだ。
俺は結果に対する自分の防御力を最大に高めると、目を勢いよくカッと見開いた。
徐々に焦点があう。
まず、天井があるのがわかり俺はホッとした。
背中固いって言うレベルの床があっても、雨露しのげる屋根があるかはまた別であり重要だ。これで、動きたくなければ動かなくてもよさそうだ。
第一の心配クリア、といいたいところだが、この天井はウチのじゃないな。ここは異世界か……。
「イイイイヤッホウ!……ん?」
俺は思わず声を出しながらガッツポーズ……をとろうとして、何だか動きづらいことに気がつき、少し視線を下にもっていく……。
どこかで見たようなすべすべした長い銀髪。なんか微妙にいい匂いするな、これ。
どこかで触れたようなやわらかい感触。うん、そうなんだよ、この手や指の圧力に自然に押し返すように反発してくると言うか、なんだろうなこれ?
「……まさか」
「そうですよ、私の胸です」
女神が俺の体の上で半身を起こし、抗議の視線を送ってきていた。
「うおおおおおお、おっぱい」
俺は軽く女神を押しのけて、やつの体から逃れると、そのまま後ろに数メートル後退した。
「眠ってしまっていた私もいけませんが、散々触っておいてその反応もなくないですか?」
言い方にトゲがある。
どうやら少し怒っているらしい。
やばいな、今度こそ殺られるかもしれん。
第一、俺はおそらくあの空間で最後までこの女神の意に反して行動していたのだから……。
「そんなことはいい……いや、それについては謝る。しかし何でお前ここにいるんだよ」
「あなたのせいです」
「えっ?」
「だからあ・な・たの、せいですっ!」
真っ正面に俺を見据えながら、女神は訴えている。
俺のせい?
ということは……。
「巻き込んじまったってことか? 俺が全職業選択したから」
「そうですね。まさか私も想定外でした。マギアムンドの崩壊を防ぐためには、ああするしかなかったとはいえ、まさかこうなってしまうとは」
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