第3話 俺、女神の従順なしもべとなる

「確かに相応の能力、アイテム付与は当然いたしますが、何でも、全部というわけには参りません」

「ちょっと待て。世界を救ってもらおうってのに、それケチくさくないか? お前だって、一刻も早く魔王の魔の手から世界を救いたいんじゃないのか?」

「……それは、そうです。私もできればそうしたいとは考えます。ですが、あまりに一人の者に大きな力を与えてしまいますと、マギアムンドの秩序バランスが崩壊してしまう可能性があるのです。過去にも……」


 あれ、コイツ今何か言おうとしたな。

 台詞から想像するに、昔何かあったってことだろうな、聞くだけ面倒だからやめておこう。電波系の愚痴とか、やばいかもしれないし。


 さて、どうするかな……俺は女神の豊満な胸のあたりをじっと見ながら考える。


 しかし、大きいな……あれだけの部分が女神服からあふれ出てるのに先っぽの重要な部分が見えないってことは、コイツマジ巨乳。


 何食ったらこんなにでかくなるんだ。

 ぎ、牛乳とか、か?


 くそう、俺の背は全然のびねえってのによ。

 神様は不公平だよな。


 しかし、なんというか柔らかいなこれ、張りのあるゴムまりっつーか、手に張り付いてくるかんじか? 癖になる。やさしく力を込めると、いいかんじに押し返してくるな。もうちょっと力を込めてみたくはあるが、壊してしまいそうで躊躇われる。ちょっとずつ、ちょっとずつ、うん、いいな、この往復。心が安らぐ感じだ。


「あ、あの……そろそろ、話をつづけても……いいで……しょうか、はぁん」


 ぬ!?


 語尾の妖艶な吐息。

 顔を赤らめた女神。


 我に帰った俺は、自分の両手の位置を確認し、ヤツの胸を無意識に揉みしだいていることに気がついた。

 おっそろしいな、すでに俺はこのおっぱいの魔力に取り込まれていたのか!

 まるでブラックホールだ。

 

「驚きを通り越して、すでに感動を覚えるな」

「もー、いい加減にしてくださいっ、はぁ……」


 惜しさを感じつつも、俺は自分の両手を、女神のおっぱいと別れさせた。

 すまんな、俺の両手。


「両手に謝ってないで、私に謝ってください」


 女神は、両手で胸をかばう姿勢を維持しながら俺に抗議した。


「減るもんじゃないし、いいだろう」

「私の心がすり減りました。何か大事なものを失った気がします」

「大体あれだ、お前のおっぱいを見ていたら、揉みたくもないのになぜか揉まされていたんだ。だとしたら被害者は俺の方では無いのか?」

「なんというヘリクツを……あなた、私が、女神だって、忘れていませんか……?」

「えっ!?」


 怒りに震えるヤツの背後に立ち上るオーラ。

 なんだか濁った色で次第に大きくなっているようにも見える。

 俺は命の危機を感じた。


「わ、わかった。あ、謝る。悪かった。お前の胸の魅力に負けた俺がいけないんだ」


 やや媚びた台詞を混ぜながら、俺は土下座してひたすら謝った。


「いいでしょう。許します」

「ありがとうございます。女神サマ」

「では、話を続けますね。ただでさえ、時間ないので」

「えっ!?」

「いいですよね……?」

「はい……」


 なんだか、ちょっと前と態度が逆転してしまっている。


 しかし、俺はもう自分優位の立場を取り戻せるとは思えなかったので、素直に頷いたのだった。


 女神、マジ怖え。


「あなたは、今から私が提示する、いくつかの職業から、自分が獲得したい能力を持っているものを1つ選ぶことができます」

「なんだ、普通にロールプレイングゲームか」

「何か問題はありますか?」

「いや、安心したというか……お続けください、女神サマ」


 自分でも卑屈過ぎるように思えるが、命掛かってるんだ、そんなことは言っていられなかった。


「コホン、では職業について説明します」

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