幕間 レンズ越しの気持ち


 合宿四日目の深夜にはお楽しみライブの練習が解禁される。

 ゲーム音楽バンドも大手を振って練習が出来るので、早速夜の12時から練習を始めた。

 とはいえ、廊下から見えないように大きな窓にはカーテンをかけてある。

 ネタバレを率先する野暮な部員はまずいないが、とっておきの企画だからと、念には念をいれるということだ。


「ふふ、めぐる本当に楽しそうに弾くよね~」

「だってこんな機会! 一生こないと思ってましたから!」


 巴先輩の言葉に、とびきりの笑顔で答える月無先輩。

 合わせている途中も、はじけるような笑みを面々に向け、バンド全体の空気も一体感も良くしてくれている。

 ゲーム音楽バンドのクオリティは、本命である夏バンドにも負けず劣らずで、軽音オールスターの実力をいかんなく見せつける出来……なのだが。


「それとは対照的に~?」

「……ミスりました」


 ちょいちょいミスるので自分はそうとは限りらない。


「白井君気にしすぎ。細かいミスなんて誰でもするよ」


 春原先輩にそう言われてしまうが、わかりやすくミスるのは自分くらいなもの。

 気にしてしまうのは許してほしい。


「ふふ、しろちゃん、りらっくすりらっくす~。落ち着いてやればちゃんとできてるよ~」


 女神の癒しはありがたいが……どちらかと言えば脱力してしまう。

 意識的な問題が演奏に出るのは、今の自分を見ても明白な事実だが、難しい話である。

 ここにいる方達は自分のミスに不満なんて抱かないし、これまでだってさんざん励ましの言葉や認める言葉を投げかけてくれている。

 が、やはりわかりやすいミスをするのが自分だけというのは、プレッシャーになってくる。


「これだけ難易度の高い曲をやってるんだ。多少ミスってもいいくらいに思え。……まぁお楽しみのレベルじゃないくらいにはクオリティも達していると思うがな」


 氷上先輩がそう言ってくれた。

 卑屈にならずに礼を返すと、巴先輩が続けた。


「そうだぞ~。それに、ヒカミンだってこんなこと言っておきながら結構やっちゃってるぞ~」

「……やっちゃってるぞ」


 励ますためにそう言ってくれているのだ。

 気にしないように、そう思って顔を上げた。


「ふふ、めぐるちゃんの企画だから、完璧にしたいんだよね」


 春原先輩にそう言われて、ぐっと恥ずかしさがこみ上げるも……


「ハハ、月無一瞬で真っ赤になるな」

「突っ込んでやるな土橋」


 自分以上に反応するのは月無先輩、と。 

 全員が揃った中でのイジりは久々だが、なんか皆が月無先輩を見守る目がさらに暖かく……


「ふぅ……白井次ミスったら罰ゲームな。お兄さんと吐息が触れ合う距離で十秒待機」


 部長だけは何故かマジなのかネタなのかわからん妬みをぶつけてくる。

 あと罰ゲームが具体的すぎて本気で嫌だ。


「……あんたよくそんな気持ち悪いのすぐ思い浮かぶよね」

「ハッハ、八代よ、そこは才能よ。むしろ最大の取り柄と言っていい」


 ……まぁそういうとこあるよな部長。


「白井相手ならいいけど他の子になんか変なこと言ったら耳引きちぎるから」

「お前も罰が具体的で怖ぇんだよ……」


 そんなわけで練習再開。

 月無先輩のために完璧に仕上げたい気持ちと……罰ゲームだけはなんとか避けたい気持ち。

 正負の極致が混在した不思議な気持ちで、なんとかノーミスで乗り切った。

 

――


 ゲーム音楽バンドの練習が終わり、片付けをしてスタジオを出る。

 春の代表バンドの面々で何かをするらしく、その人たちはスタジオに残った。

 夏井と八代先輩は次のお楽しみ練習があるようだ。

 過密なスケジュールながらも、これが楽しいんだと納得させてくれる顔で、二人とも他のスタジオに向かって行った。


 自分はというと……。


「……気になる」


 代表バンドが何をやるのかちょっと気になる。

 でも覗くのも悪いか。

 そう思って立ち去ろうとすると、ドアが開いた。


「じゃ~お疲れ皆~頑張って~」


 出てきたのは巴先輩だった。


「あれ、白井君どうしたの」

「あ、何やるのかな~って気になって」

「ふふ、覗きなんてやらし~んだ~」


 小悪魔な笑みを浮かべて、やんわりと釘を刺される。


「大丈夫です。未遂です」

「あはは、未遂か~」


 しかしこちらももう慣れた。動じずにジョークで返す。


「って、巴先輩は練習参加しないんですか?」

「うん。楽器の確認だけ~。私! 完璧ですから~」

「流石です。いいなぁ」

「ふふ、いいだろ~」


 もちろん冗談なのだろうが、実際に完璧でもあるんだろう。

 でも才能以上に、しっかりと練習をしているからこそに違いない。

 巴先輩には合わせるたびに圧倒されるけど、それはこちらが慣れる以上のペースで巴先輩も進化していることに他ならない。

 完璧を常に超えていくには並々ならぬ何かがあるからこそだ。

 

「白井君はもう今日は終わり~?」

「2時からお楽しみありますね」

「そっか~。頑張ってね~」


 そう言って、巴先輩は一端立ち去ろうとして、立ち止まる。


「ちょっとお話しよ~? ロビー行こうぜ~」


 すぐに振り向いてそう言った。

 一時間は暇だったので、メガネ姫と緩~く会談して時間を潰せるのは僥倖だ。


 ロビーに向かうと、巴先輩は机を囲むソファーにダイブ。

 肘掛を枕代わりに、眠り姫たらん姿を見せる。

 自分はいわゆるお誕生日席の位置にある、座椅子型のソファーに座った。


「でも巴さん、ずっと起きてますけど眠くないんです?」


 少し昼寝はしたようだけど、ずっと寝てられると聞いていた割に、起きている姿で四六時中見かける。

 

「ふふ、前にも聞いたねそれ~。心配してくれてるの~?」

「え、いやまぁ……。睡眠時間重要な人だと思ってたので」


 変な心配の仕方だったか。


「白井君こそ~。結構起きっぱなしで大変でしょ~?」

「なんか寝るのもったいない気がして」

「あ、それちょっとわかる~。私も今年はそう~」


 屈託のない笑みを見せ、巴先輩は話を続けた。


「ま~白井君、一時間暇だと思ってね~」

「あ、すいません気を遣ってもらっちゃって」


 わざわざ一時間空いている自分を気遣ってくれてのことのようだ。

 こうした姿ももう意外じゃないくらいに、巴先輩は自分を気にかけてくれる。


「メガネ談義! しようぜ~。何だかんだあんまできてないじゃん~」

「ハハ、そうでしたね」


 同好の士であるのに、今まであまりできていなかった。

 そのあたりは月無先輩と同じで、好きな話題でおしゃべりしたかったんだろう。


「そんでそんで~? 白井君はメガネ姿誰推し?」

「……難しい質問ですね」

「あ、めぐる除く~」

「難しい質問ですね」


 まぁ含めてしまえば一択になるということだ。

 しかし……秋風先輩に春原先輩、夏井……あと清田先輩。

 可愛いどころのメガネ姿はいずれも眼福ではあるが……


「結局一番似合ってるのは巴さんな気が」


 イメージも強いし、なによりファッションアイテムとしても完璧に似合っている。

 まぁ自分が巴先輩推しとは、一度一年男子会で公言してるし。


「バリエーション豊富ですし、なんというか、着けこなし? ていうというか」

「あはは、こだわりだからね~」

「そうそう、こだわり。それが見えるじゃないですか」


 っと、メガネの話題で少し緩んでいたが、面と向かった相手を褒めるというのも……よくないわけじゃないが何かアレ……そう、アレな気がする。

 喜んでくれているからいいけども。


 メガネ談義は中々に盛り上がり、巴先輩のこだわりやメガネの色々と、興味深い話もたくさん聞けた。

 他の人からすればどうでもいい話題かもしれないけど、この談義はすごく大切な時間。

 少なくとも、巴先輩にとってはそうなんだと、その表情からうかがえた。


「俺が言うのもなんですけど、本当に好きなんですね、メガネ」

「私、実はメガネが本体だからね」

「意識乗っ取られてるんですかね」

 

 そんな冗談にツッコミを入れて、二人してクスっと笑う。

 そして穏やかな口調で、巴先輩は続けた。


「だからって思うと~メガネかけててよかったな~って思う~」


 ……? だからってなんだろう。

 メガネがあったから仲良くなれたとかってことだろうか。

 確かに巴先輩のアイデンティティには違いないけど、あんまり関係ないんじゃないだろうか。


「ん~、一番似合うとは思いますけど、かけてなくても巴さんは巴さんですよ」


 巴先輩は少し間をおいて、


「ふふ、そういう鈍感系主人公っぽいセリフよくないぜ~」

「あ、すいませんなんか。そんなつもりでは」


 そう指摘した。

 ……確かにアレなセリフだった。

 月無先輩がいるから勘違いも何もないとは思うが、男性読者を苛立たせるには十分なセリフだった。


「めぐるがいなかったらどうなってたことやら~」

「いや何もないでしょう……」

「ふっふ~わかんないよ~? ないけど」


 ……からかわれてるなぁ。

 まぁ無害と認識されているからこその気の許し方か。

 しかし前々から思うのだが、巴先輩は多分、惚れられるのが嫌なんじゃなかろうか。

 とんでもない美人だし、スタイルも……ものすごい。

 性格だって知るほどにいい人だし、普通の男子ならすぐに落とされそうなもの。

 他の男子とあんまり親密でないのはそんな理由な気がする。

 そう考えると、気兼ねなく楽しんでくれているのであれば、イジられても悪くは思わないし、やめてほしいとも思わない。

 何より、月無先輩がダメというどころか推奨してくるんだよなぁ……。


「あ~、めぐるのこと考えてるな~」

「……残念、ほぼハズレです」

「ありゃ。珍しい~」


 無言になると月無先輩のこと考えてるという定説が広まっている……とはいえ巴先輩のこと考えてたなんて言えるわけもないので、釈然としないままでいてもらおう。


「めぐるといえばなんだけど白井君~」

「……なんでしょう」

「身構えんなよ~」

「……いや失礼。よく考えれば今更聞かれて困ることとかなかったです」

「え~? じゃぁもうキスはした~?」

「困りますねそういうの」


 何言っても敵わねぇ。


「ふふ、冗談冗談~。あのさ、ゲーム音楽バンド、めぐるのために完璧にしたい気持ちはわかるけどさ~」


 さっきの練習のことだろうか。


「ヒカミン言ってたみたいな、ミスってもいいって思うのは難しいと思うけど~。君らしく弾けばいいと思う~。大事なこと思って。白井君、出来てる時はちゃんといい演奏してるんだから~」

「はぁ……ありがとうございます」


 なんとなくわかる。

 月無先輩を想って弾くと上手く行く。

 

「結構いい顔して弾いてるよ~」


 微笑みながらそう言ってくれた。

 嬉しさ反面、むず痒い気もするが、そう弾けている時が自分らしく弾けている時なんだろう。

 逆に言えば、雑念が入っている時も看破されているということだ。


「というか白井君、自分のこと下手だとか思ってない~?」

「え、そりゃあの中で比べたら事実そうですし」

「やっぱり~。それが間違いなんだよ~」


 雑念の正体はそうかもしれないが、事実は事実だし、と思ってしまう。


「言っておくけど、まず君、下手じゃないからね~」

「あ、ありがとうございます」

「……わかってないな~?」


 ……難しい。


「君、普通にうちのOBより上手いよ?」

「えぇ? 流石にそれは」

「お~、私の言葉疑うってか~」


 実力に関して嘘は言わないし、バンドでは全体をちゃんと見れる巴先輩だ。


「巴さんがそういうなら……ん~。そうなんです?」

「そうだよ~」


 信用してもいい、そうに決まっていた。

 悩みが和らいだ気がする。


「最初バンドに声かけたときはまだまだ下手だったけどね~」

「それは自分でも思います……」


 ずいぶん上達したなぁとは思う。

 夏休みに猛暑の中、廊下練を続けた甲斐は確かに感じる。


「私だってめぐると同じくらい、君が頑張ってるとこ見てるからね。もっと自信もっていいんだよ」

「ありがとうございます……なんかめっちゃ嬉しいです」


 にっこりと笑顔を向けてくれた。

 巴バンドとしてもう一か月以上一緒に練習してる。

 アドバイス以外にも、返せないくらいにたくさんくれた。

 感謝の念が内側からあふれ出す。


「ふふ、期待以上。本当にそうだよ~」


 巴先輩は何の気なしに言ったのかもしれない。

 でも、夏バンドが始まって以来、ずっと気にかけてくれているのがよくわかるからこそ、これ以上にこみ上げる言葉はなかった。


「ちょっと飲み物買ってきていいですか」

「あ、じゃぁ私のも~」


 気恥ずかしさもあったけど、嬉しさと感謝を噛みしめる時間が少し欲しかった。

 ……あと気を取りなおさないと泣きそうだった。


 もしかしたら、自分に伝えるためにわざわざ時間を取ってくれたのかもしれない。

 もちろんメガネ談義もしたいことだったんだろうけど、本当に大切なことは最初から言う気だったんだろう。


 飲み物を買ってソファに戻ると、巴先輩は体を起こして待っていた。


「ありがと~」


 飲み物で喉を潤し……


「……どうしました?」

「それいっつも飲んでるよね~?」


 ドクターペッパーを指さしてそう言った。

 結構皆に聞かれるなこれ。


「まぁソウルドリンクですからね」

「コーラとは全然違うんでしょ~? おいしいの~?」

「ですね。慣れもちょっと必要かもですけど、ハマるとマジでこれしか……」


 この流れは……よくない!


「こういう時ラブコメだと私がちょっと頂戴とか言うよね~」

「……わかっててやってましたね」


 やっぱりこの人軽く小悪魔入ってるよな……。

 とはいえ、ないのはわかってる。何故なら、


「まぁ巴さん炭酸飲まないって知ってますし」

「そんなこと言ったっけ~?」

「言ってたじゃないですか、この前古賀とボーカル練してる時に。炭酸は控えた方がいいって」


 フッ、そういうことです。

 必要以上に動じたりはしませんぞ。

 俺だって少しずつ成長してい……


「そっか~。君も私のこと見ててくれてるんだね~。ちょっと嬉しい」


 ……攻撃パターン多すぎかよ。

 しかも今度は本当にそうだと思わせるような穏やかな笑みだ。


「巴さんには全く敵いそうにないです」

「ふっふー。もうちょっと、私のおもちゃでいてもらうよ~」


 不敵にメガネがキラリとした、ような気がした。


「ハハ。でも開放されるんですね。一生このままかと」

「え、じゃぁ一生付き合ってくれるの~?」

「ぐぬぬ……」


 ……よくここまでイジる言葉がすぐ見つかるな。

 しかし珍しく、不敵な笑みも浮かべず、巴先輩は続けた。


「……そうだなぁ。あと三か月くらいはこのままでいて欲しいかな~」


 思いもよらないその言葉は、色んなものを秘めたように聞こえた。


 三年生にとっての残された時間。

 具体的な数字になると思い知らされる。

 皆それを思いながら過ごしているんだと。

 考えたくなくても、それは自然と口から出てしまうんだろう。


 巴先輩の話す言葉は、いつも脈絡のないようでも、実は全て繋がっている。

 謎多き人だと思っていたが、言葉の一つ一つに誰かを想う気持ちが隠れている。

 本当は誰よりも、愛情の深い人なんだと、そう感じた。


 不思議と言葉が出た。


「一位、取りましょう。絶対」

「お? ……うん、その調子だよ~。私も頑張る」


 今までよりももっと強く、そう思った。

 後輩としての最大の恩返し。それを誓った。


 それなりに話し込んでいたので時間の経過を忘れていた。

 時刻は午前1時45分。

 巴先輩はすっと立ち上がり、伸びをした。


「ふ~っ。……よし、じゃぁ~。……いい夢、見させてね~」

「……頑張りまする」


 レンズの向こうの瞳には、どんな想いが宿っているのだろう。

 不思議とそう感じさせるような目に、気恥ずかしくて変な返しをした。

 おやすみなさい、その言葉がなかったからか、挨拶をするタイミングを失って階段に向かう背中を見送った。

 

 巴先輩の深層は、少しずつ自分にも見えてきた気がする。

 でもなんとなく、その優しい心根を知れる安堵とは裏腹に……より深くを知っていいのだろうか、そんな気持ちにさせられた。






 隠しトラック

 ――センシティブな表現 ~合宿場、ロビーにて~


「巴さんってメガネいくつも持ってますよね。合宿来てからもちょこちょこ変わってる気が」

「ん~。九個かな。持ってきてるのは三つ」

「へぇすごい。曜日ごとに替えても余りますね」

「ふふ、そうだね~」

「でもアレですね、毎日気分かえられたりしてよさそう」

「そう! そうなんだ~。それが楽しいってのもある~」

「いい趣味だなぁって思います」

「ずっと前からの趣味~」

「なるほど。巴さんっていつからメガネなんです?」

「私が小学生のころに掛けた、初めてのメガネ。それは赤いアンダーリムで」

「なんかヴェ〇タースオリジナルみたいな語り始まった」

「私は9才でした」


「変な引出しありますね巴さん」

「こんなCM昔あったよね~」

「ハハ、飴のヤツですね」

「で、ちなみに、これが一番お気に入りなんだ~」

「あ、緑のですね。それカッコいいですよね」

「うん。奏が選んでくれたんだ~」

「思い出の品ってヤツですね」

「奏とデートするときいっつもこれ掛ける~」


「本当に仲良いですよね、お二人とも。ピアスもお揃いですし」

「ふふ、これ、お互いに誕生日プレゼントで買ったんだ~」

「誕生日近いんですか?」

「うん、一週間違い~」

「へぇ。なんかいいですね、そういうの。お揃いでプレゼント出来て」

「ふふ。毎年そうしてる~。ちなみに、奏ピアス開ける時すっごい怖がってさ~」

「え、意外……でもないか。なんか想像つく」

「こんな感じ~」


――


「いいのかな、とも……」

「大丈夫だよ~もう高校生なんだし~」

「そ、そうだね」

「痛くしないからさ~。ほら、強張ってるよ~」

「うん……でもやっぱり最初は痛いって……」

「慣れるよ~すぐに。一瞬だけだからさ」

「……ちょっと怖い」

「ん~、そうだよね。今回はやめとく?」

「でも……うぅん、やる。やっぱり最初はともにしてもらいたいし」

「そっか。ふふ、じゃ、頑張ってみよっか~」

「うん、頑張る」


「奏、手。握っててあげる」

「ありがとう……ちょっと怖くなくなったかも」

「ふふ、力抜いて? じゃ、いくよ?」

「うん……あっ」

「……はい、大丈夫だったでしょ?」

「ち、血とか出てないよね?」

「ちょっとだけ~。最初は皆そうだから~」

「そっか……でも思ったより痛くなかった」

「あはは、心配しすぎなんだよ~」

「そうだったかも……フフ、ちょっと大人になった気がする」


――


「えっちすぎる」

「すぎるか~」

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