秘話 めぐるの本音
注:このストーリーではヒロインである、めぐるの胸中が思いっきり語られます。
本編で想いを伝えたシーン以上に明らかになります。
そういうのは知りたくないという方もいるかと思いますので、一応閲覧注意ということにしておきます。
主人公の白井が知ることのない、ストーリー進行に影響しない完全なサイドストーリーですので、読まずとも問題なく次話以降を読み進められます。
隠しトラックはいつも通りありますので、そこまで飛ばすのも……アリです。
↓↓以下、閲覧注意です↓↓
「めぐるさん、今日は本当にありがとうございました! 吹お姉さま素敵でした……」
夕食会が終わり白井が帰った後、めぐるの部屋で純とめぐるはおしゃべりをしながら寝支度をしていた。
「フフ、女神様だからね」
「正直本当にそうなんじゃないかって思いました」
「あたしはそう思ってる。目だけで人殺せるし」
「え……」
布団を敷き終え、めぐるはベッドの上にあぐらをかいて、枕元にあるぬいぐるみを抱いた。
「ふ~準備完了。……あ、純ちゃんベッド使う?」
「いえ! 私はこっちで大丈夫です。……あ、でっかいピカチュウ。可愛い」
「ふふ、いいでしょーこれ。純ちゃんにはこっちのポッチャマをあげよう!」
めぐるの部屋はポケモンを始めとしたゲームキャラクターのぬいぐるみまみれ……女の子らしくないグッズは前日棚に押し込んだ。
最大限のもてなしをしてくれるめぐるに、純はありがたみを感じつつ、ふと思ったことを言った。
「でもあれだけ仲良しな吹お姉さまを差し置いてお泊りというのも……なんか申し訳ないです」
駅で別れ際に秋風が「行ってみたかった」と言ったのを見ていたし、元から仲の良い先輩に申し訳なさが少しあったのだ。
「フフ、純ちゃんってほんと似てるね白井君に」
「……そうです?」
「うん。そういうとことか特に。フフッ、ってか喋り方そっくりだよ」
兄に似てると言われるのは心境的に微妙なところではあるが、めぐるが好意の表れとして言っているのはわかる。
「ちなみに大学の友達で初めてうちにあがったのも白井君だったりするよ」
「えぇ!? そうだったんですか?」
「うん。朝たまたまうちの前通りかかって、一緒に朝ご飯食べた」
自分の想像していた以上に二人は進んでいるのかもしれない……と純は思いつつ、ずっと気になっていた質問をしようとする。
今なら他に誰もいない、今しかチャンスはない。
めぐるからの慈愛の目をしっかりと見返し、純は口を開いた。
「あの……失礼かもですけど」
「ん?」
少し逡巡して、それでも意を決して。
「何でお兄ちゃんのこと好きなんですか?」
「え!?」
めぐるは見事に固まった。
最早バレバレであるし、本当に互いに好きなのは少し見ていればよくわかる。
友達以上恋人未満、むしろそれを遥かに超えた信頼も。
というかそうでなければ相手の妹にこんな扱いはしないし、何よりめぐるは純の前で既にしちゃっている。将来を考えた発言を。
それでも純には全然理解が出来ない部分も多くあった。
純からすれば、良いところがあるとは知っていても、兄の健は冴えないゲーオタ。
間違ってもこんな華のある人とお近づきになれる人種ではない。
「だってめぐるさんって超モテそうなのに」
「いやあたしモテないけど。ゲーオタだし」
そう言ってめぐるは少し誤魔化そうとした。
色々枷になっていたり、秋風の加護が男避けになってはいるが、実際のところモテないわけではないとわかっていても。
「めぐるさんレベルだったら他にも良い人いっぱいいそうな……」
兄を選んでくれるのは純にとって嬉しい限りではあれ、そう思ってしまう。
するとめぐるはすぐに返答した。
「それはないかな。……うん、ないね」
確固たる意志のように感じた。
「白井君ってすごい誠実じゃん。絶対嘘はつかないし、裏切らないし、ちゃんと話聞いてくれるし」
そこは純にもわかる。小さい頃はよく相手してくれたし、直接的に可愛がられるようなことはあまりなくとも、ぞんざいに扱うようなことは決してしなかった。
「まぁこれ白井君にも言ったことあるんだけどね。それにゲーム音楽好きなのをすぐに受け入れてくれたし……やっぱり趣味が合うってのが一番大きいかもね」
思い当たることを並べて、これで全部というように、めぐるは純に笑顔を向けた。
それでも、妹であるが故に兄をよく知る純としては、まだ納得がいかなかった。
「そうなんですね……確かにそうか……」
納得しようとしている純の目を見て、めぐるは心臓の鼓動が速くなるのを感じながら……意を決して言葉を続けた。
「ごめん、今の嘘。……嘘じゃないけど……それだけじゃない」
後戻りできない言葉。自分を追い込むための言葉と言っていいかもしれない。
めぐるは「絶対に誰にも言わないでね」と前置きして、純に胸中をあかした。
「白井君ってね。初めて会った時からそうだったんだけど……あたしのこと第一に考えてくれるんだよ。どんだけワガママなことしても、いっつも受け入れてくれる」
「はぁ……」
これだけの美人を相手にすればそうだろうとも、純は思った。
一目惚れするのも道理だし、すがるようにする男がいるのも当然だ。
「最初部室に来た時はさ、そこまで音楽も詳しくないし、楽器経験も浅いみたいな言い方だったから、普通に部活楽しみたいくらいの子かなって思ったんだけどね」
率直な第一印象は実はこうである。
あまり主体性もない、というのがめぐるの本音だった。
状況的にも、新歓活動の休み時間に部室でゲームをしていたら、そこにたまたま来た一年生にすぎない。
入部希望の新入生を歓待するのは当たり前だが、人手不足の鍵盤パートであるという条件があったからこその対応だった。
「でも話せば話すほど色々知りたがってくれたし、ちゃんと話も聞いてくれたし……まぁそこまではそんな珍しいことでもないか。でもそんでさ、どうしたと思う?」
急に推理をさせられ、純は困惑した。
答えを返せずに口ごもるが、めぐるは返答を強要したわけでもなかったので、揚々と話を続けた。
「フフ、申し訳なさそうにするの。ほんと白井君らしい」
その様子がなんとなく純には想像ついた。
「あたしが鍵盤なら是非入ってよとか言って期待かけちゃったのもあるかもだけど、応えられないのが申し訳ないみたいに。顔に出るからすぐわかった。この人めっちゃ良い人だなってその時思った」
軽音楽部の部員の多く、それも男子勢の多くは、自分の好きな音楽の話をしがちな傾向にある。趣味の話題になれば、無意識に押しつけ始めるのも自然な流れだし、白井に対するめぐるもそういう意味では同じだ。
趣味でなくとも、自分の話せる話題の方に逸らすのはままある話だ。
それでも、白井は知識不足からそれが出来なかったのもあるが、白井がめぐるの話を全く逸らそうとせずに応えようとしていたのも事実だった。
「まぁそんで信用できる人だなぁって思ってやっちゃったんだけどね~……」
めぐるは自嘲するように遠い目をした。
純は何事かと思ったが「初対面でやられた」という兄の言葉を思い出し、暴走状態のことだと察して残念そうな納得の声をあげた。
「めっちゃ引いただろうなぁとか思ったけど、気にしないでいてくれたし、気遣ってまでくれたからね。普通逃げるよアレ」
「あ、あはは……」
自覚あるんですねとは流石に言えなかった。
「しかもあたし、その後スマブラでボコりながらもう一回やったっていう」
純は兄スゲェと思った。
「さすがに引いてるの顔に出てたけど、すぐにまた話繋げようとしてくれたし」
一目惚れした相手だから許せたというのが一般的な解釈になりそうだが、その時には既にめぐる最優先だったのかもしれないと、純は思った。
「フフ、白井君無自覚だけどね。多分」
「お兄ちゃんあんまり言いませんからね」
「ね。でもあたし超わがまましてるのに、嫌な顔しないでずっと一緒にいてくれるし」
色々と納得いった。自分のことよりも相手のことを最優先にする、そんなところが好きなのだろう。
「じゃぁ最初からって感じだったんですね。お二人とも」
「ん? 全然」
「え」
話を聞く限り二人はすぐに意気投合したし、四月の時点でやたら仲が良かったと、先程秋風から聞いていた。
「あ、全然ってのは言い過ぎた。……でも最初は良い後輩が出来たなぁくらいだったかなぁ……どうだろ」
「そんな感じだったんですね」
「うん」
いつからだったのか、妹しては結構気になるところ。
期待の眼差しを向けると、意外なほどすらすらと、めぐるはまた語りだした。
「今もだけど、白井君ってめっちゃ頑張ってるんだよ?
「え……そこまでなんですか? 何か意外……」
「意外なの? あ、でも最初は物事に本気になったことないとか言ってたか……でもあたしは頑張ってる白井君しか知らないからさ。それに、夢中で頑張る白井君って結構良い顔してるんだ」
その姿を思い描きながらだろうか、微笑みを浮かべるめぐるに、純はありがちな想像を言葉にした。
「正直浮かれてばっかりで練習の邪魔してないかとか思ってました」
純の疑問も当然だろう。普通の男子なら意中の可愛い女子と二人きりなら、少なからず下心が生じるもの、と。
「あはは、そんなこと一回もなかったよ。白井君って下心みたいなの全然感じないし。なんか自制心バグってるとか言われてるくらい。一緒にいるとすっごい安心するんだよね」
兄スゲェと純は再び思った。
実際に白井の自制心は驚嘆に値するレベルで、男子勢からは性欲がないとすら考えられている。
むろんそんなはずはなく、本人はやせ我慢しているわけだが、めぐるの純粋さと自身のシャイな性格が強固なリミッターとなっているのだ。
「いっつも二人で練習してるけど、すっごい真面目にずっと弾いてるよ。あたしが話かける方が多い」
全く以て意外な事実に純は感嘆を漏らした。
「そんでねー。何であんな頑張れるんだろうなって思ってて。ただ楽しいからだろうと思ってたんだけど、あたしのためだとか噂が流れてて。……そりゃないない、なんて思ってたんだけどね。ずっと一緒に練習したりしてるとね」
「……どうやらそうみたいってことでしょうか」
「……うん。ずっと全力で応えようとしてくれたんだなって」
白井はわかりやすいし、めぐるが全ての原動力であることは周知の事実。
むしろ気づいてなかったのは当の本人だけだった。
自ら語るには物凄く恥ずかしい話だが、
「あたしのために本気で怒ったこともあったみたいだし」
「え……怒ってるのあんまり見たことない」
「あ、やっぱり怒らないんだ白井君って」
「そうですね……私とケンカしたことはほとんどないですね」
「あたしも。……フフッ、ちょっとしてみたいかも」
めぐるに迷惑がかかることを嫌がって、そしてめぐるの努力を否定する言葉を吐いた人がいることに。部活である限り結局耳に入るもので、めぐるが知っているだけで二回。
怒ったとまでは言わずとも、白井が感情的になった珍しい場面には違いない。
自分のためには全然怒らないのに、めぐるのためには感情的になる、めぐるはそれを知っている。
「あたしのことずっと見てくれてたし、どんな時でもあたしの思ってること、ちゃんと考えてくれてたなぁって」
思い返せば白井の言動はほとんど全部そうで、恥ずかしくなるくらい繋がってしまう。
「そんでまぁ色々あって~……気がついたらあたしの方から大好きになってた。いつからかはわかんない」
緩やかに、自然に好きになって行ったのだろうか、純はなんとなくだがめぐるの胸中が理解できた。
兄にも良いとこあるんだな、と思いながら「そうなんですね」と笑顔を向けた。
「それに何より……」
これから話すのは一番大切なこと、そんな前置きだった。
「あたしの夢、叶えてくれたみたいなもんだからね。ゲーム音楽をバンドで、しかも最高のメンバーでって、白井君に合わなかったら一生出来なかった」
めぐるからすれば好きになる理由はいくらでもある。
それでも、白井の性格の話を除けばやはりこれが一番だった。
めぐるにとっては人生をかけてきたゲーム音楽、本気で願いつつも叶うことはないと思っていた夢、それを叶えるきっかけをくれた張本人。
運命以外にこんな出会いがあるかと、めぐるは思っている。
「まぁだから……好きになるの当然だよね」
全部言いきった途端、恥ずかしそうに、それでいて嬉しそうに、ニヤニヤを抑えられない口元を、抱いたぬいぐるみにうずめた。
純はハッキリと、兄以外にいないと言った理由が理解できた。
めぐるにしても、言うべきことは全部言えたからか、すっきりしたような表情をしてまた口を開いた。
「まぁ先に告白されちゃったんだけどね。ちょっと男らしかったかも」
「え、絶対そんなことしないタイプだと思ってました」
「うん、あたしも。しかもタイミング超下手だった。今思い出したら笑っちゃう」
疑問に応えた後はノロけ話。
「でね。全力で全部やりきってからにしようって。そういう約束なの。まだわからないとこもあるとか言ってちょっと待たせちゃってるけど……実際はとっくにわかりきってるんだ」
「なるほど……そうだったんですね」
兄が関わるそれを聞くのはちょっと複雑でも、めぐるの本当に嬉しそうな顔を見れば遮る気は全くしなかった。
「フフ、本当にすごいんだよ~白井君。あたしがちゃんと教えたのなんて実際は最初だけで、後はほとんど自力で頑張ったんだから。教えて欲しいことがある時も、ちゃんとある程度頑張ってみてから聞いてくるし」
「お兄ちゃん才能あったんだ……」
「才能よりも努力だよ。あたしも負けてらんないっていつも見てて思ったし」
めぐるは自分のことのように誇らしげに語った。
白井がめぐるの努力に憧れるのと同じように、めぐるも白井の努力に憧れに近い目を向けていた。
「そんで今はすっかり上層部だからね。うちには代表バンドっていうのがあるんだけど、その全員に認められちゃうくらいなんだから」
「え……全然想像できない」
「フフ、あたしも最初はそこまでとは思わなかった。でもあたしと白井君以外に鍵盤の人がいても、白井君はちゃんと認められてたよ。100パーセントね」
絶対数の問題ではなく、しっかりと実力で。
比較対象がめぐるしかいないのにも関わらず、鍵盤奏者として白井を選んだ人だっている。
「あ、いいこと思いついた!」
「……? 何でしょう」
「明日大学行って白井君のバンド見学しよっか! 前半練の時間、白井君のバンドだよ」
「えぇ!?」
願ってもない申し出に純は瞠目した。
来る時に電車内から見た憧れの大学キャンパス、そこに入れるのも、めぐる達の部活の様子が見られるのも、純にとっては最高の体験に違いない。
「でもさすがに悪い気が……部外者ですし」
「大丈夫じゃないかなぁ。夏休みだから他に人がいるわけでもないし、白井君以外もあたしと仲良い人いるし」
それでも申し訳なさから逡巡する。
「ちなみに超美人の先輩いるよ。八代先輩っていう、カッコいい二大巨頭の一人」
「え、見たい」
「なら行こう! 折角ここまで来たんだから!
結局押し切られる形ではあったが、開き直ればこれ以上なく楽しみなもので、純はわくわくを募らせた。
「フフ、それにお兄ちゃんのカッコいいとこも見れるよ!」
「え、それはあんまり……」
「え……いやそうだよね。考えてもみたらあたしもそうだわ」
兄のカッコいい姿に興味のある妹は全国的にそう多くない。非情である。
「フフ、じゃぁ早く寝よっか」
「はい!」
そして電気を小さくし、二人とも床に着いた。
「おやすみ純ちゃん」
「おやすみなさいめぐるさん」
「……あ」
「どうしました?」
「ちょっと言ってもらっていいスか、アレ……一回だけでいいんで」
「ふふ、おやすみなさいめぐるお姉ちゃん」
「く……あざす!!」
そんな興奮状態で寝れるんだろうかこの人、と純は思ったのだった。
めぐるの想い、語られたのはこれで二回目。奇しくも本人とその妹へ。
とっくにわかっている自分の本音を、改めて全部言葉にすると、めぐるの心には清々しさに溢れ、気持ちがより強くなるのを感じるばかりだった。
隠しトラック
――チョロい女 ~めぐるの部屋にて~
消灯後
「……寝れない」
「……私もです」
「あれだけ喋ってていきなり寝るとか実際無理だよね」
「はい……あ、そうだ」
「どうしたの?」
「吹お姉さま達に会った時に、お兄ちゃんがあと三人同じレベルの人がいるって言ってたんですけど、さっき言ってた……八代さん? って人もですか?」
「あ、三女の四人か。うん、そうだよ。ちょっとボーイッシュで日焼けしてるのがめちゃカッコいいんだ。あれは惚れざるを得ないってレベル」
「どんな人なんだろ……楽しみです」
「あ、写真見る?」
「え……でも今見ちゃうと楽しみが」
「大丈夫大丈夫、生で見るともっと美人だから」
めぐる、ベッドから降りる
「……ほらこの人」
「……カッコいい。すごいオシャレですね」
「うん。普段はスポーツウェアだけど、これはバイト中のを隠し撮りした」
「怒られません?」
「バレてないから大丈夫」
「え……。あ、あと二人はどんな方なんですか?」
「一人はスーパーモデルで~、もう一人はトップグラビアアイドル」
「え……」
「この二人。いつも一緒にいるから2ショット多いよ」
「え、すご……こんなことって……」
「ちなみにクールビューティーに見えて実は可愛いもの好きって、ギャップ萌えがすごいのこの人。あたしなら惚れちゃう」
「なんかもうズルい……こっちのメガネの人はどんな人なんですか?」
「のんびり屋さんでゆる~い人だよ。でもすっごい可愛くてすっごい良い人。あと超やわらかい。好きにならざるを得ないね」
「はぇ~……めぐるさん皆惚れちゃいますね」
「うん。白井君には見境ないですねって言われた」
「あとこれ、あたしと同級生のスーちゃん」
「……え、可愛い……ちっちゃい」
「フフ、軽音のマスコットだよ」
「なるほど……ほんと可愛いですね……」
「うん。ちなみに144センチ」
「え……大学生ですよね?」
「うん。19歳だよちゃんと」
「えぇ……」
「超可愛いけどスーちゃんばっかりは惚れたら捕まる」
「事案……ってヤツですね」
数分後
「あ、これ最後。巴さんが吹先輩にひざまくらされてるシーン」
「うらやましい……でも思ったんですけど、めぐるさんの部活ってレベル高過ぎませんか?」
「うん。おかしいよね。何か大きな力が働いたとしか思えない」
めぐる、ベッドに戻る
「でも皆可愛いから憧れちゃうよね~」
「え……めぐるさんがそれ言うんですか?」
「いやいや、あたしなんて三女やスーちゃんに比べたらですよ」
「私はめぐるさんに一番憧れますけど」
「よ、よせやい」
「笑顔が素敵ですし、明るいし裏表ないし……」
「……ちょ、ちょっと本当にハズい」
「あと髪型すっごい可愛いですし」
「ほんと? ふふー真似してもいいよ?」
「ふふ、じゃぁ私は右側にしようかな」
「いいねー。ならばあたしのお気に入りのモンスターボールヘアピンをあげよう!」
「え」
「え、いやごめん、普通のがいいよね」
「いえ嬉しいです! 私ポケモン好きですし、明日からつけてもいいですか?」
「ほんと!? フフ、それならよかった。おそろで練習見に行こうか!」
めぐるさんチョロすぎません? とは流石に言えなかった。
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