師弟対決 ―『ゲーム音楽十選その③』
八月下旬 大学構内
合宿直前の部会が終わり、約束だった
しかし予想できたと言えばできたことではあるが……部室へ歩く道のりは三人だけではなかった。
部会で居合わせたメンバー、
「ふふ、めぐる、今度私にも作ってよ~折角だし」
「もっちろんです! 巴さんのだって絶対です! ゲーム音楽ソムリエを目指すあたしにお任せ下さい!」
「あはは、じゃぁどんなのがいいか考えとこ~」
……ソムリエって。前にも言ってたけど本気なのか。
夏休みで閑散としたキャンパスも月無先輩のおかげで賑やかに感じる、そんなくらいのテンションだ。
部室棟階段踊り場のロッカーから鍵を取り出し、部室に到着すると……。
「じゃぁ寝る~。……あ、
「うふふ、いいよ~」
「いぇ~。お~やっぱり
「悪かったわね硬くて。ちょっと右側空けて」
そんな調子で三人掛けのソファーはすぐに三女の三人に占拠された。
秋風先輩はいつもの定位置向かって左、巴先輩は中心に寝そべり頭は秋風先輩の膝の上、向かって右の冬川先輩にはふとももを乗っけている……よく怒らないな冬川先輩。
癒しの女神像に眠り姫にクールビューティー……このソファー世界一羨ましい。
そんな眼福極まる光景に月無先輩がスマホを向けて、
「パシャリ。……この写真お金の匂いがする」
「めぐるちゃん名案」
……春原先輩と共に不穏な動きを見せる。
仲いいなぁなんて思いながら窓際にある肘掛椅子に腰かけた。
ちなみに二年女子二人は椅子を使わない。
曰く、月無先輩は床の方が好き、春原先輩は肘掛椅子に座ると子供社長とからかわれるから、だそう。
「白井君電源点けて点けて!」
「はいはい」
月無先輩に急かされる。あれやこれやと忙しい人だ。
一応今日の主賓は夏井のハズなのに、結局一番嬉しいのは月無先輩自身のようだ。
「私すっごい楽しみでした! 『めぐる・ゲーム音楽十選!』」
「ふふ、『白井・めぐる・ゲーム音楽十選』でしょ」
「あ、そうでした。『白井・めぐる・ゲーム音楽十選』でした!」
「……スー先輩わざとやってますよね」
連続で名前言うのよくない。……ほら女神様が見てる。
「あはは、白井めぐ」
「やめなさい」
冬川先輩が巴先輩のふとももをぺしん。そのまま巴先輩を抑え込んでいて下さい。
しかし当の月無先輩本人はまさかの気付かず、鼻歌を歌いながら愛用のウォークマンをスピーカーに繋げていた。
「さぁどっちから行く!?」
「……今自分の繋げたばっかりでしょうに」
「……そだね。あたしバカかな」
ということで、ゲーム音楽十選『感情を揺さぶる曲』の発表にとりかかる。
月無先輩はバラード寄り、エモい部門。自分はアツい部門だ。
夏井と春原先輩も床にぺたんと座り準備完了。
月無先輩は自分の座る椅子の横に陣取った。
「それではあたしの一曲目であります!」
月無先輩がそう言って流した曲は……
「……おぉ」
夏井よりもより先に自分が声をあげてしまう。
月無先輩はすぐに満足そうな笑みでこちらを見た。
ペルソナ3のヒロインの一人、アイギスのテーマ曲『Heartful Cry』。
原作はやったし、曲名まで覚えているものの一つだ。
バラードではあるけどバラードすぎるわけでもない、でもメインメロディの美しさがしっかりと心に響いてくる。
バラード=ピアノやストリングスの固定観念があった、自分には意外な選曲だった。
「このメロディとっても綺麗ですね~」
夏井がそう漏らすと、月無先輩は更に嬉しそうに口角をあげた。
「フフ、もう一個バージョンがあってね! ……これ。こっちの方が間延びしてないからいいかも」
こんどはペルソナ4の格ゲー版でのアレンジ版。
原曲よりも少しアップテンポなギターロックでありながら、ピアノも引きたつ見事なアレンジだ。
「私こっちの方が好きかもです! これなんてゲームなんですか?」
「これはね、ペルソナっていうゲーム! これはロボットの女の子の曲なんだ」
「なるほど……ロボ……!」
何がなるほどなのか知らんが夏井は納得したようだ。
「ロボットでありながら感情を持って色々と苦悩する、い~ヒロインなんだ~」
そうそう、無機質っぽさもありつつ……
「白井君、曲名」
「え……『Heartful Cry』」
「そう、曲名の通り人間らしい感情も表現してて、キャラ設定と見事にマッチングしてるのよ~。こういう曲はペルソナ以外では中々なかったね!」
……何だったんだ今の不意打ち。
みんな「何だ今の」みたいな目してるし。
しかも何か脳内の続き言われたし。
「すごい……言われてみたらなんとなくわかる……よく出来てるんですねゲーム音楽って」
「フフ、いい曲でしょ!」
掴みはバッチリ、と言ったところだろう。
……なんかこっちに向かってドヤ顔してるし。
露骨すぎるバラードを外して来るあたり少ししてやられた感がある。
「さぁ次は白井君のターン!」
しかし一応一番弟子、負けるわけにはいきませんとも。
ライン(スピーカーを繋ぐ線)を譲り受けて自分のip○dを挿して曲を流す。
「……ほう」
月無先輩の反応は上々のようだ。
流したのはファイナルファンタジーⅤのラストダンジョン『光を求めて』。
行進曲テイストで最後の闘いに挑む、主人公一行の決意を見事に表した不朽の名曲。
ざっくり言えば「勇壮極まりない」というところ。
「最終決戦! って感じですね!」
「カッコいいでしょこれ」
「はい、すごく……!」
吹部ならマーチングとかも、
「吹部ならマーチングにも親和性が高い。なっちゃんのこれまでの部活経験を考慮した上での選曲……そして初心者でもあるなっちゃんにはまずは王道FF、入り口として申し分ないね」
「……何でさっきから俺の脳内全部言うんです?」
「……え、当たってたの?」
「ほとんどまんまですね」
仲良いわね~なんて聞こえてきたけど何と返せばいいのかわからない。
「ゲーム音楽ならではの行進曲って感じなんですね~……」
曲に聴き入りながら、夏井がそう呟くと、
「これは『光を求めて』って曲! FFⅤのラスト面で、Ⅴはラスボスとの因縁が特に深いから、気持ちを昂らせるようなこの曲が特にマッチするんだよ!」
「他は違うんですか?」
「ん~そうだね。FFって唐突に出てくるラスボス多いし、感情よりもステージに合わせた曲が多いかな」
……言われてみれば。
だからⅤのこれは特に印象に残ったのか。
結局月無先輩に解説してもらってるけど、納得いくから仕方ない。
「……何で白井君が納得してるの」
「……そこまで考えてなかった」
気を取り直して次は月無先輩のターン。
「一曲目は白井君の勝ちにしてやろう」
「え、そうなの」
「うん。正直キターって思った。バトル曲で来ると思ってたから意表突かれた」
勝ちました。
「しかし次の曲に……敵うかな! 曲を聴いて感情を揺さぶるがいい!」
……軽くFF引きずってんな。スカルミリョーネかよ。
そして月無先輩が流した曲は……
「おぉ、昔の曲ですか?」
「うん。ファミコンのゲーム。MOTHERってゲーム! 『Pollyanna』って曲!」
「ぽりあんな……おぉ……でもこの音がまたいいですね!」
MOTHERのフィールド曲『Pollyanna』。
郷愁に浸るようなメロディーがそこはかとなくぐっと来る。
古すぎる音源は耳が受けつけないって人もいるだろうけど、この曲に関してはこの電子音こそが独特の良さを生んでいる。
「あ、これスマブラでも流れるよね。こっちもいいね」
「うん。スーちゃんがいつも轢かれるステージね」
ちょこちょこスマブラを楽しむ春原先輩も知っている曲。
……そういえばちびっ子二人、ずっと前にMOTHERみたいなやりとりしてたな。
「なんかじんわり来ますねこれ……素朴な感じがすごいいいです」
「そう! そうなんだよなっちゃん~。込み上げてくる感じね!」
かなり夏井も気に入っている様子。
この次に聴かせるのは再びのプレッシャーだ。
「はい、次の曲! ふふー」
これでどうだと言わんばかりなのが超可愛い。
そして再びラインを譲り受け、こちらも曲を流す。
「おぉ……おぉカッコいい」
初めて聴くタイプなのか、夏井は興味を持って聴き入ってくれた。
零の軌跡の『inevitable struggle』。
アツい曲でありつつ、ストリングス主体のメロディが高揚感以外の感情も湧き立たせる。
「白井君白井君」
月無先輩が曲の邪魔をしない声量でこちらを呼び……親指をグッと立てた。
及第点は頂けたようだ。なんか男前な表情してる。
ゲーム音楽らしさ、ひいてはファルコムらしさでもあるロック+ストリングスのメロディは是非一曲は聴いて欲しかった。多分月無先輩でも同じことを思っただろう。
曲が終わると、夏井が口を開く前に月無先輩が声を出す。
「ふふー、どうかねファルコムは」
「ファルコムっていうんですか? こういう曲初めて聴いたかもです!」
「あ、ファルコムっていうのはゲーム会社の名前でね」
「あ、そうなんですね」
「うん。零の軌跡ってゲームの曲」
「曲名はなんて言うんですか?」
「『inevitable struggle』だよ!」
「いねべたぶる……どういう意味ですか? すとらぐるは闘いとかそういう……」
「え? あ、あはは……白井君どういう意味?」
……夏井無双。
「避けられないとかそういう意味じゃなかったかしら~」
「す、吹先輩! ありがてぇ……」
これは珍しく調べてなかった月無先輩が悪い。
正に
「……今回も白井君の勝ちだね」
「え……意味わからんけどあざす」
勝ちました。二連勝。
ゲーム音楽のタイトルの意味を把握していないという、らしくないミスもあったが、月無先輩の三曲目はいかがなものか。
「気を取り直します。……ぽち」
次は……あら、知らない曲だ。
壮大なストリングスセクションから……いきなり転調……そして……情感溢れるピアノ。
「え、めっちゃいい何この曲……」
「ふふー知らないでしょ」
悔しい……っていうか本当に全く知らない。
こんなに美しいバラード曲を知らないのが悔しい。
正に綺麗な涙を誘う曲というか、悲しいわけではないのに確かな感動がある。
「白井君知らないんですね……こんないい曲なのに」
無自覚に煽るね君は。
「これはね、ブレイブフロンティアってゲームの曲」
「ブレフロ……え、ソシャゲ?」
「うん。お兄ちゃんがやってて、曲だけ聴いてた」
なんとソシャゲ……知らないわけだ。
でもブレイブフロンティア自体は有名なゲームだし、月無先輩曰く曲は全体的に超高クオリティだとのこと。正直侮ってた。
曲名は『帝都ランドール』というそうで、公式がy○utubeで配信しているそうだ。
「今日これだけで全部負けた気がしますわ……」
「そんなに気に入ったんだ」
「バラード好きとしては最高ですね」
するとソファーの方から何やら声が……
「私これ一番気にいっちゃったかも~めぐちゃん今度弾いて~?」
女神秋風も大変お気に召した模様。
月無先輩は「もっちろんです」といつものように威勢よく返しながら、ラインをこちらに渡してきた。
正直次の曲は半分ギャグだから勝ち目が……まぁ流そう。
「あはは、これプリキュアみたい~」
まさかの巴先輩が反応。
流したのはメルルのアトリエの『練金少女メルルのうた(Recorder ver.)』。
「あ、私これ好きです! 熱血! ってかんじ!」
「やるね……なっちゃんの性格をよく知った上での選曲……!」
意外にも高評価で焦る。
アツい曲、そして熱血系な夏井に合うという算段は確かにあった。
ゴリゴリのギターロック+リコーダーというミスマッチにも思える組み合わせが、コミカルさを出しつつもしっかりアガる曲……どうだろうか。
「これ練習しよ」
まさかのスー先輩の援護射撃。リコーダーと言えばこの人。
そして何も言わずに「わからなくなってきたわね」という仕草の冬川先輩。
「勝敗は……そうだなぁ……吹先輩に決めてもらおう」
「めぐちゃん」
「……ズルくね?」
食い気味に言ったぞ今。
「あはは、まぁこれで白井君の二勝、あたしの一勝! 次行こう!」
しかし笑いも起きていい感じに和んだし、みんなでノリ気で聴いてくれている。
次の曲、と月無先輩が流した曲は……、
「……反則でしょう」
「いや反則とかないし」
ドラゴンクエストⅢの『おおぞらをとぶ』のオーケストラ版。
屈指の名曲として名高い上にクラシックテイストのドラクエが夏井のツボにハマる可能性は大だ。
夏井は言葉を失ったように聴き入っているし、他のみんなも圧倒されているかのようだ。
「フフ、白井君ならFF出すと思って、あたしはドラクエにしたんだ」
「なるほど……見事です」
耳うちするように、月無先輩はそう教えてくれた。
儚いながらも力強い、すぎやまこういちの全盛期を思い知らされるような情感溢れるメロディは、解説の必要すらないほどにさえ思えた。
「すっごかったです……。これは……」
「ドラクエだよ!」
「ドラクエ! 音楽有名なのは知ってましたけど本当にすごいんですね」
完全にめぐるペースに持っていかれてしまった。
しかし次の曲は……これだ。
ゲーム音楽最高の曲でもしょっちゅう名前があがる、間違いなく歴史に残る曲。
これならすぎやま神にも届くハズ。
「おぉ……和楽器ですね」
「……ふむ……ここで『太陽は昇る』が来るとは」
大神のラスボス戦『太陽は昇る』。
ロック超のわかりやすいアツさとは違うが、ラストを飾るに相応しい、色んな想いが渾然一体になった、間違いなく感情を揺さぶる名曲だ。
「こういう曲初めて聴いたんでけど、他にもあるんですか?」
「これは和のテイストのゲームだからね! ゲームによるけど、和楽器を使った曲も多いね。ゲーム音楽独自の魅力の一つでもあるかな!」
「なるほど……本当に色んな曲があるんですね」
夏井にゲーム音楽を知ってもらう話題としてもいい選曲だったか。
そして聴き入った後、軍配はどちらに……。
「ん~……めぐる先輩で」
「なん……だと」
「え……すごく良い曲なんですけど……覚えられそうになかったので」
あ、そういう……。
わかりやすさもゲーム音楽の魅力の一つ、それを再認識するような一言。
『太陽は昇る』の場合、確かにプレイヤー目線、ファン目線だからこそ没入できる良さでもあるか。プレイしながら聴く分には本当に最高なんだけどなぁ。
「次で決まるね」
「ふっ、スーちゃん任せてよ。ゲーム音楽女のあたしがこんなヤツに負けることはないよ」
「こんなヤツ」
謎のノリで酷い言われ方した。
切り札に近い曲を以てして一本取られたのはかなり痛い。
しかし最後の曲も自分の中では最高クラスの名曲。あの曲を初めて聴いた時の感動は、月無先輩よろしくつい語りたくもなるもの。
アツいというのは激しいだけじゃない、否応なしに胸がアツくなる曲……
「よし最後の曲! 君に決めた!」
「……へ?」
「……へ? ってどうしたの」
イントロを聴いた瞬間に素っ頓狂な声をあげてしまった。
こちらの反応に不思議に思った月無先輩と目が合う。
「いや……なんというか……曲被りです」
「……マジ?」
「マジ。……一旦聴きましょう」
リスナー一同の邪魔をしてはいけないと一旦聴きに徹することに。
ポケモン金銀の『26番道路』、そのリメイクであるハートゴールドソウルシルバーのバージョンだ。
ポケモンらしいAメロに、転調して一気にドラマティックになる構成が単純でありつつ完璧にハマっている。
「わぁ……この後半部分いいですね。一気に気持ちが上がるというか」
「フフ、いいでしょこれ。ほんっとうに胸がアツくなる感じがするよね」
エモい部門にもアツい部門にもぴったりな一曲に、夏井も納得して聴き入った。
両手でガッツポーズするような仕草は共感を得た証だろう。
「これはポケモンの曲でね。エンディング後に行けるとこで最初に流れる曲なんだ!」
「殿堂入りしてもまだ冒険は続くって感じがたまんないんですよねこれ。これ聴いた時の感動は未だに忘れられないです」
「君は今! カントーへの第一歩を踏み出した!」
「そうそう、それですそれ!」
……ハッ……話が合ってついテンション上がってしまった。
被ったのは完全に事故で企画つぶれだけど正直嬉しくてしょうがなかった。
「吹さんどう思います~? 急にノロけ始めましたよアイツら~」
「ん~。ギリギリセーフね~」
……アウトだったらどうなってたんだ一体。
「でもお二人が同じ曲選んだっていうのもなんとなくわかります! 確かにどっちのテーマにも合いますねこれ……」
しかしいかがなものか。
中々いい勝負を続けてた今回の十選だが、決着つかず……
「今日は白井君に勝ちを譲ろう!」
「……え、何で?」
「フフ、あたしがそう思ったから!」
「はぁ、ありがとうございます」
勝ちました。
それでも満足そうな笑顔を浮かべているのは、勝ち負け以上に楽しくて嬉しかったからなんだろう。
それは自分も同じだし、今いる全員が同じような気持ちなのはわかった。
十選に満たなかったということで、月無先輩が選外にした候補を聴かせてくれたりと、その後もみんなで楽しく観賞会は続き、部室が閉まる時間までまったりと過ごした。
勝負の様相になったせいで主賓の夏井が置いてけぼり感もちょっとあったけど、本当に喜んでくれていたので結果オーライだろう。
白……いや、『めぐる・白井・ゲーム音楽十選』。
間違いなく人生の中で最も楽しかった八月、その最後を締めくくるに相応しい、最高の思い出だった。
めぐる・白井・ゲーム音楽十改め九選~感情を揺さぶる曲~
『Heartful Cry』-PERSONA3
『光を求めて』-Final FantasyⅤ
『Pollyanna』-MOTHER
『inevitable struggle』―零の軌跡
『帝都ランドール』―ブレイブフロンティア
『練金少女メルルのうた』―メルルのアトリエ
『おおぞらをとぶ』―ドラゴンクエストⅢ(交響組曲「ドラゴンクエストⅢ」より)
『太陽は昇る』-大神
『26番道路』-ポケットモンスターハートゴールド・ソウルシルバー
選外曲(あまり多くてもよくないので数曲)
『Waltz For Ariah』―ヴィーナス&ブレイブス(アレな事情で割愛。ググろう)
『ポッケ村』-モンスターハンターポータブル2(何かが足りない気がして割愛)
『北風のミュゼット』-アーシャのアトリエ(何かが足りない気がして割愛)
『激闘第一高校』-実況パワフルプロ野球2013(ストーリー整合性のため割愛)
『Trombe!』-スーパーロボット大戦シリーズ(今一歩足りない気がして割愛)
隠しトラック
――イジりがい ~部室にて~
白井、トイレへ離席中。
「……めぐるちゃん仕組んだでしょ」
「え、何を? スーちゃん」
「とぼけるんだね」
「……え、マジで何?」
「巴さんどう思います? これ」
「ぎるてぃだね~」
「え、本当に何? あたし何かしました?」
「めぐちゃん嘘はダメよ~」
「……え、吹先輩まで。……なっちゃんあたし何か悪いことした?」
「え……して……ないと思います、多分。信じてます」
「疑ってる時の言い方じゃない? それ」
「正直に吐いちゃった方が楽になるよ」
「だってあたし何もしてないし!」
「飽くまで潔白を主張~」
「カナ先輩助けて」
「ちょっと可哀相よ」
「そうね~。ごめんねめぐちゃん~」
「ふふ、たまにはめぐるもイジらないとね~ごめんね?」
「ふぅ……安心した」
「チッ」
「チッって……。ちなみに本当に何だったの?」
「いや、最後曲被ったでしょ」
「うん。……あ! いや、本当にたまたまだからね?」
「ふふ、わかってるよ」
「よかった……」
「でも息ピッタリなのを見せつけるための偶然を装ったイヤみな小芝居の可能性を捨て切れなかった」
「疑惑が具体的だね」
「ふふ、でも正直嬉しかった?」
「え……それは……はい」
「ひゅ~。ノロけてくれやがるぜ~」
「やめなさい」
「でも実際他の曲聴いてる時も息ぴったりというか、そんな気がしました!」
「うふふ、ちょっと妬けちゃうくらいにね~」
「いえ、そんなことは……」
「顔真っ赤ですよ?」
「なっちゃん、何回か言ってるけどそれ煽りだからね」
「めぐるそろそろ限界ね」
「……飲み物買ってきます!」
「ふふ、行ってら~」
白井帰還
「めぐるすれ違わなかった~?」
「あぁ、……急いで行っちゃいましたね」
「みんなでちょっといじめた~」
「はぁやっぱり……」
「何か冷静~。何があったのか聞かないの~?」
「え……曲被りのこととかでイジったとかじゃないんですか?」
「すごい、白井君当たりです!」
「やっぱそうだったんだ」
「スー、どう思うこれ~」
「いじられすぎた結果察しが良くなりすぎてつまんないヤツになったなって印象」
「つまりイジりがいが無くなったってことだ~。つまんね~ヤツ~」
「ヒドい」
「うふふ、つまんないヤツ~」
「吹先輩まで……」
「フフ……でもつまんないのは確かね」
「え」
「冗談よ」
「全く冗談に聞こえなかったです」
冬川はイジるのが下手。
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