翌日、待ち合わせの時刻の十分前に着いた僕は、図書館の玄関前でありすが来るのを待った。時計と道路の先を何度も見ながら待ち続ける。


 しかし、約束の時刻になっても彼女は現れない。初めてのデートに着る服を悩んでいるのかもしれない。そう考えて待つ。


 約束の時刻から一時間経っても彼女は来ない。きっと今日のことが楽しみで眠れなくて寝坊しているのだ。そう考えてまた待つ。


 しかし、二時間経っても三時間経ってもありすは一向に現れない。


 それでも僕はなにか理由があって遅れているだけだと考えた。


 自分に都合のいいように考えているというのはわかっている。


 それでも、そういう風に考えていないと頭がおかしくなってしまいそうだったから。


 そのうち日は暮れて、空には月が出てきてしまった。


 それでも僕は、彼女が来ることを信じて待ち続けた。

 

 けれど、ありすは日付が変わる時刻になっても現れることはなかった。

 

 そして僕は悟った。


 彼女はこの世からいなくなったのだ――と。

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