俺達の証明

 くそが。お前が今飲んでいるコカ・コーラは美しく透明に黒。ああ、そうだな。さぞかしうまいんだろうな。

 マクドナルドのハンバーガーよりもチープな人生を生きている。大衆性の一言では片づけられない複雑さが、連なって連なって、タータンのように織り成してほしいとか思っている。


 俺達が死にたいと願いながら座っている椅子は、未来あふれる誰かが希ったものだって知っているけど、だからなンだってんだよ。ああ、死にてえなあ。ラーメンでも食いてえなあ。人間の価値競争をおっぱじめるなら、俺はもう失格でいい。

 別に自分がまともだとか立派だとか価値があるとかそんなこと思っちゃいないけど、俺は俺でしかないから、どんなに嫌ってもどんなに駄目でもそれしかないから、自分を消費しちゃいけないと、それだけを自分に言い聞かせて、人間あふれる店をぬけだす。


 まるでお遊戯の発表会のように誰もが人生を証明したがっている。俺だって例外じゃなくて。でも。きらびやかな青春だけが人生の証明だけじゃない。通り魔に颯爽と立ちはだかることだけが人生の証明じゃない。三十歳までに結婚して子供を作ることだけが人生の証明じゃない。そう信じて繁華街をぬけるための裏道をどこまでも歩いて、だけどずっとひとりだったよ。


 曇天の昼下がり、児童公園を通り過ぎるとき、ベンチに座るホームレスが手をあげたんだ。俺は笑って手を振り返した。

 これが証明なんだって、俺達、きっとそう感じたんだ。

 


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