それでも世界が続くなら

 真っ暗な朝、僕らのためではない一日が始まろうとしている。

 剃刀で切るよりも容易く切り裂かれた心が無残にもズタボロ。もう二度と治らないだろう。バラエティ番組に引き攣った笑いしかでないのもその後遺症だ。

 別に泣いてもいいし、手首切ったっていいから、見えないものも少しは大事にしよう。それが出来ないなら、ちょっと洗面所に行って鏡を見てきなよ。


 運命を信じるくらいなら、僕の嘘を信じてほしい。死にたくなるほど死にたくたって、君に価値があるってこと、いくらでも囀ってみせるから。

 小さなころ、何になりたかったか覚えているかい。僕は道化師になりたかった。適当なところで馬鹿にして笑ってくれ。


 大丈夫、ハムレットの御託に思いわずらう必要なんてない。生きるとか死ぬとかそんなことどうでもいいから、明日の天気の話をして、コンビニ弁当お気に入りランキングを完成させよう。セロテープで駄目ならガムテープでもなんでも買ってくるから、どうか心を捨てないでほしい。


 輝かしい朝、僕らはまだ暗がりにいる。それでも世界が続くなら、ホットココアを2杯作ろう。

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