白という色の世界
春風月葉
白という色の世界
灰色か?いや、白だ。
この世界に色をつけてやるならば、それはきっと白だろう。
まるで子供のお絵描きではないか。
白い紙を数多の色で染め、また元の白に戻る。
いつだって、必要となるのは白い存在だ。
自分の色なんか持たずに求められた色に染まり、役目を終えればまた元の白に戻る。
おそらく世界は色を失った。
この言い方が正しいかはわからないが、許せなくなってしまったのだと思う。
白い自分の上に少しでも汚れがあることを。
私はこの世界に残された小さな汚れの一つだ。
白い世界には上で青く深い悲しみと赤く激しい怒りを持っている。
そしてやはり世界は汚れの存在を許さない。
どんなに小さなものであったとしても許すことができない。
ビリ、ビリ、世界の崩壊が始まった。
汚れた世界はリセットされる。
世界がビリビリに破れ、クシャクシャに丸められていく。
こうやって私たちは否定されるのだ。
また、色のない白い世界だけがそこにはあった。
そこに私はもういない。
白という色の世界 春風月葉 @HarukazeTsukiha
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます