つるのおんがえし

むかしむかし、あるところに茶屋店員の

アルパカさんがおりました。


帰宅途中、縄にかかったツルを見つけたのです。


「あんらまぁ...、可哀想に。

だいじょうぶだよぉ、今助けてあげるからねぇ~」


心優しいアルパカは、ツルを逃がしてあげたのでした。


その日の夜。

アルパカの家に誰か尋ねてきました。


「誰かなぁ~?うちにテレビはないからえぬえちけーは帰ってにぇ~?」


扉を開けると


「こんばんは...、旅をしている者です

一晩だけ泊めていただけませんか」


焼き魚の付け合せで出てくるあの紅生姜みたいな髪の毛の人が立っておりました


「んー、全然構わないよぉ~?

散らかってるけどぉ...」


「ありがとうございます...」


アルパカは泊めてあげる事にしました。


「名前はなんていうのぉ?」


「...トキです」


「ああ、タカの相方のぉ」


「それは、トシです...」


「バンドやってる人ぉ?」


「それは、Toshiです...」


「無人島開拓してるアイドル?」


「それは、TOKIOです...」


「まあいいやぁ~、

ゆっくりしてってぇ~。この部屋空いてるから使っていいよぉ~」


「あの、1つお願いが...」


「何かなぁ?」


「私の部屋で何か物音がしても絶対に覗かないようにしてくださいね」


「わかったよぉ~」


ニコニコ笑いながら、頷きました。


トキはアルパカが居なくなるのを見計らい部屋を開けました。すると...


「な、なにこれ...」


不気味な日本人形が何体も置いてあります。


「あ、あの...、何ですかこの人形...」


「ああ、気にしないでぇ!

髪が伸びたり、目が動いたり、ケラケラ笑ったりするだけだからぁ!」


「えぇ...(困惑)」



(こんな不気味な部屋で機織りなんて出来るわけないじゃない...。

もう少ししたらこっそり抜け出しましょ...)


トキは真夜中に逃げ出そうとしました。


すると、キヒィィィ...

キヒィィィ...

奇妙な音が聞こえてきます。


(なにやってるのかしら...)


気になって障子の間から、覗いたのです。

すると、そこには、月明かりの元、

背を向け包丁を研ぐアルパカの姿が。

恐怖を感じたトキが障子を閉めようとした瞬間


「見たね」


急に後ろを振り向いたのです。


「きゃっ!!」


研ぎ澄まされた包丁を持ち、アルパカは

立ち上がりトキの方に近付きました。


「いや...、やめて...」


「殺しはしないよぉ~...

殺して誰が得するのぉ?

トキちゃんはぁ...、こんなにかわいいのにぃー...」


(猟奇的犯罪者の顔してる...!!)


トキの額からは冷や汗が流れます。


「大丈夫大丈夫!

言うこと聞いてくれるならぁ、

なぁーんもしないよぉ」


「何でも言う事聞くわ...!」







パタン...、パタン...


トキははたを織り続けました。


首輪をされ、そこから鎖で柱に繋がり、

自由に身動きは取れません。


「いやぁー、ご苦労だねぇ!

呉服屋さん始めたら町で大儲けだよォ!

これもトキちゃんのおかげだよお!」


「....おなかすきました」


生気無く言いました。


「はいはい、お口開けてにぇー」


スプーンで冷めた粥をトキの口に入れました。


こうして、アルパカは着物で財を築き大金持ちになりました。


一方、トキは一生アルパカの専属奴隷として働くハメになったのです。


みんなも、見るなって言われたら見ないようにしましょうね!


そこのあなた?


チラチラ見てただろ。


めでたしめでたし。



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