登場兵器

魔導機人

魔導機人/功機兵(功机兵)

※スペックがやたら無駄に細かく設定されていますが、結構当てずっぽうで考えているのでアテにしないで下さい。


<概要>

 アルビオン語圏では「Strike Wizard/ストライク・ウィザード」と呼称される。

 先の大戦終結後、ジェット戦闘機や高火力の戦闘ヘリの実用化等を始めとした通常兵器の技術進歩によって、魔導師の優位性が喪失し(実際統一暦1950年代は魔導師の戦闘が、公的記録でも片手で数える程しか確認できなかった)再び歴史の表舞台から消え去ると思われていた中で、一部の勢力が魔導師の地位回復を求め新型兵器を開発した。その結果誕生したのが「魔導機人」である。

 早い話が原作で出て来た航空魔導師の飛行補助用魔導具装置の延長線上の兵器。

 しかし最大の特徴は、頭頂高約8m程度の人型ロボット兵器であり、機体内部に演算宝珠を搭載することで、あと半世紀は掛かると考えられていた機械による二足歩行等を実現している事にある。これにより不整地での走破性能は戦車を超え、マニュピレーターにより大火力の武装を瞬時に換装でき、それまで大火力の兵器が進入できなかった地形を容易に進むことが出来るといった高い汎用性を持つ。

 装甲も新素材や最新の装甲技術の導入に加え、防殻術式との併用で重装甲の装輪装甲車並と成っている。とは言え、防御術式を展開しない素の状態では歩兵の携行火器までに対してしか防御力を発揮できない。

 更にローラーダッシュによる高速移動に加え、ガスタービンエンジンの噴気を魔術によって補助する事で、低空への飛翔能力・短時間の滑空を可能とし、戦車に攻撃ヘリの長所を加えた、あるいは攻撃ヘリに戦場制圧・長時間滞在能力を加えた三次元戦闘が可能。

 各種の陸戦兵器並みの長時間にわたる戦場支配能力、そして地形を利用して隠れる事が出来る能力を持つ。

 これに加えて魔術による電波吸収能力を併用する事でステルス性を確保し、これまでの陸戦兵器とは一線を画する性能に世界は衝撃を受けている。

 かつて「何でもできるほど万能でもなく、近代以降の科学技術の発達と比較して特別有利なわけでもない」として、過去の遺物として迫害されていた魔術師も、その科学技術の発達と適応・融合する事で、戦場の支配者足り得る最強の兵器と化している。

 唯一の欠点は、機体そのものや生産よりも、搭乗者である魔導師の育成の方が困難である事が挙げられる。その為、稼働数は戦車や戦闘機と比べて遥かに少ない。

 駆動原理こそ完全にファンタジーだが、それに反して外観は兵器としてのリアリティと無骨さに溢れている。なお、予測上は半世紀後には魔導師でなくても起動する人型機動兵器が開発できると言われている。

 「功機兵」とは大秦華及び秋津島での呼称であり、特に違いは無い。パイロットの呼称は、大秦華では「機師(軍用航空機を含め、単にパイロットを指す)」、秋津島では単に「操縦士」となっている。

 なお、先の航空魔導師がどうだったかは定かではないが、魔導機人は陸戦兵器である以上、運用は陸軍若しくは海兵隊(大秦華等では海軍陸戦隊)が行う。

 また、機体名は主に、東洋では妖怪等の神話上の生物、クリスチナでは名将の苗字に由来する。


<設計>

 起源は、退役した元航空魔導師が作業用重機を干渉術式で制御した事と言われている。此処から航空魔導師用の強化外骨格の開発が立案され、更に戦闘車両・軍用機等のからの技術転用を前提として、全高約8m程度の人型機動兵器の開発へとシフトした。最初は干渉術式で手を使わずに操り人形を動かす事から始まったと言われる。

 シュベルテンからの亡命技術者達の協力の下、60年代半ばに秋津島で試作実験機の第一号機が完成。旧植民地での内戦で多大な戦果を挙げたことにより、局地戦闘における実用性が証明されたのち、各国で続々と独自開発が進行している。

 構造上は(形状次第なので一概には言えないが)、頭部に各種センサー、胴体内部に操縦席、背部に動力源となるガスタービンエンジン、股間部に電子回路等の魔術と無関係な制御用装置を配置している。

 頭部のセンサー群は魔術・非魔術の物が混在している。メインカメラの構造は言わば光ファイバーを用いた潜望鏡であり、胴体内で屈折を繰り返しながら、操縦席前方の透過スクリーンの裏側から拡大投射する。先端であるメインカメラ自体は、広域レンズと拡大レンズ、暗視装置と赤外線カメラで構成される。これらが破壊された場合は、胴体に備え付けられた非常用の潜望鏡を使用する。

 レーダーは通常の電子装備の他に魔力感知用が、通信装置も通常の無線機と魔術用が併設されている。

 操縦席の居住性はお世辞にも良いとは言えない。最低限の衝撃吸収装置を備え、歩行時の振動の影響は然程無い。内装は時代相応のアナログ計器だらけなものであり、全て覚えるのも一苦労。操縦は基本的に二本の操縦桿とトルクレバー、一対のペダルで行う。技術的には当時の戦闘車両や航空機の派生であり、マニュピレーターで物を掴んだり踊ったり等の細かで複雑な動作は、干渉術式を無理矢理使わない限り行えない。

 留意すべき点は、魔力は動力源ではなく機体の動作を制御する為のエネルギーである事。あくまでも主動力源はガスタービンエンジンである。

 搭乗者は空軍の戦闘機パイロットと同じく耐衝撃与圧服の着用が求められる。これに限らず、魔導機人/功機兵はあくまでも陸戦兵器だが、武装を始め空軍からの装備流用が多い。元々攻撃ヘリと戦車の中間に位置する為致し方無いが。


●雪上戦用装備

 ルーシー、レガドニア、ホーガン、大秦華・秋津島の北部等、雪国や寒冷地域で魔導機人/功機兵を運用する為の装備。

 最も重要なのが、雪上でのスリップや自重による沈み込みを防止する為に、「スノーシュー」や「雪長靴」、「樏(かんじき)」等と呼ばれる接地面積の拡げられた、滑り止めのスパイク付き車輪を装備した脚部パーツへの換装である。これが無ければ空中はまだしも、基本的には陸戦兵器である魔導機人にとっては雪の上を歩く事すらままならない。

 ただしSA219 オヴテールや刑天、HS.127 ドレイクや羽民、PMG-2等の機動性を重視した機体では、折り畳み式の巨大なスキー板の装着と、スパイク付き車輪の交換に留まる。

 また、寒冷下では機体や油圧用作動油の凍結を防ぐために、本来常温下では必要不可欠な冷却能力をワザと落としている。交換用脚部ではこれ等の措置が予め施されている。


<演算宝珠>

 本作では主に魔導機人の制御OSの様な使われ方をしている。アルビオン語では「Operation Orb」と呼称される。運用目的の違いから、航空魔導師用の演算宝珠を魔導機人の制御に使用する事は不可能である。その逆もまた然り。

 因みに、東洋では宝珠核部分を気功師自身が、材料調達を含め自ら作る。工廠で機械式計算機(型番はむしろ此方を指す)と組み合わせられて完成するが、それでも宝珠核を作った気功師本人専用の物と成る。その為、使用者を識別する為に個体毎に認識登録番号が付けられる。


<主な魔導機人>

●試製功機兵初号機/SZP1(Streik-Zauberer Prototypschlag 1)

 秋津島と西シュベルテンが協同開発した、記念すべき人類史上初の魔導機人、その試作実験機第一号。この時、開発秘匿名称として用いた「Streik-Zauberer」が訳され、そのまま「ストライク・ウィザード」という魔導機人全般に対する俗称も誕生した。

 飽く迄も、干渉術式を利用してのロボット技術の検証を目的としており、実戦での運用は不可能。頭部は存在せず、グラスキャノピーで視界を確保している。ローラーダッシュや飛翔装備は装着されておらず、ガスタービンエンジンも搭載してないので、外部電源を必要とする。その後、一度はディーゼルエンジンを搭載しての単独稼働実験が行われた。


●エーバー1(Eber 1)/64式功機兵

 西シュベルテンで開発・制式採用された、史上初の実戦用魔導機人。上記SZP1の設計を受け継いでいる。ヘンシェル及びユンカースの共同開発。エーバーは猪を意味する。

 秋津島では64式功機兵として陸上防衛軍に配備。生産は四菱重工が請け負った。

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