第38話 瑠衣と聖良による、好&和樹のデート

聖良は頭を冷やしたいと暫くは住む事にはなった。

ホームステイの様な感じだ。

だけど、そんな中でも俺は心から安心出来た。


何故なら、聖良の親父。

つまり源五郎さんは聖良を大切に思っている事が分かった。

このままバトルにでも発展すればこっちに勝ち目は無かっただろう。


5月18日の午後9時。

瑠衣と聖良は一緒に寝る事になり、俺は自室で横になっていた。

取り敢えず、問題は解決しそうだな。


「.....明日は好の所へ向かうか」


その様に呟きながら、考える。

明日は日曜日だな。

俺はその様に思いながら、目を.....あ、ヤバイ眠い。



「起きて。お兄」


「起きて。和樹くん」


何だか凄く甘い囁き声が聞こえる。

俺はゆっくり目を開いて、確認をする。

横に瑠衣と.....聖良が居た。


「.....お前ら?」


「和樹くん、デートの時間です」


「.....は?」


眠気まなこがぶっ飛ぶ言葉だ。

あまりの唐突の言葉。

いや、ちょっと.....意味が分からないんですが?

デートの時間ですって何?


「俺が夢見てんのか?」


「いや。これは現実だよ。ささっ。早く服を脱いで。これ着てね」


「!??」


俺の外出着だな。

その様に思いながら、目をパチクリしつつ取り敢えず、外出着を受け取る。

ってか、ちょっと待って。

何がどうなっているのかさっぱり分からないんだが。


「ほい。お兄」


「.....ん?端末タブレットじゃないか。何だこれ.....」


画面を見ると、好が赤くなりながら映っていた。

そして俺をニヒヒと見つめてくる。

彼女の行動に俺も苦笑して赤くなる。

いや、え?


「.....お兄と好さんのデート日和だね!」


「.....はい?」


「今日は和樹くんと好がデートをしてもらいまーす!」


「..........!!!?」


アイェエ!?

まさに変な声が出た。

目の前の好は本当に嬉しそうな感じを見せる。

そしてエヘヘ.....と声を甘ったるく出した。


『.....よ、宜しく。和樹』


「.....嘘だろ。好。体調は大丈夫なのか?」


『嘘じゃ無いよ。私は和樹とデート。おかしく無いよね?付き合っているんだから』


「それはそうだが.....マジで何も知らなかったぞ!」


聖良と瑠衣を見る。

二人は俺を見ながら、笑顔になる。

そしてハイタッチをした。


「.....聖良さんが提案したんだよ。この前の反省とかも兼ねてサプライズでやったらどうかなって」


「そうそう。ね?好」


『う、うん。有難う.....』


いや、めっちゃ嬉しいんだけど、ホンマにいきなりでかなりビビった。

俺はその様に思いながら、出て行く聖良と瑠衣を見る。


「.....じゃあ、お兄。着替えたら出発してね」


「いや、あの、申し訳無いんだけど、デートとかした事が無いんだが.....」


「えー?.....まあ、そんな事だろうと思ってルートは準備しているから」


そこまで準備したのかよ。

俺はその様に思いながら、取り敢えず顔を洗って準備しようと思い降りる。

取り敢えず、何でか俺と好がデートする事になってしまった。



「瑠衣。聖良。お前らはどうすんだ?」


「私達は私達なりに遊びに行くよ?迷惑が掛からない様に、ね」


「そうそう。ねー?瑠衣ちゃん」


うーむ、そうなると俺と良美だけになるが。

俺は好を喜ばせれるのか?

えっと、俺ってその、ウブだしよ。


『心配しなくても和樹の行く所は何処でも嬉しいから大丈夫だよ。和樹だし、安心してる』


「.....とは言え.....な.....やっぱりお前に楽しんでもらいたいから」


『うーん。本当に和樹は優しいね』


「.....いや、普通はそうだろ.....」


その様に会話しながら、鞄を背負った。

そして瑠衣と聖良を見る。

二人は和かに居た。


「.....任せて良いか?今日も春子さんと親父は用事が有るっていうしよ。.....まぁ早めに帰ってくるとは思うけど」


「勿論だよ。大丈夫だから楽しんで来てね」


「.....ああ。有難うな。瑠衣」


この二人.....俺を好きなのに、ここまでやってくれて.....感謝しか無い。

いつか恩返しをしないとなと思いながら俺はドアを閉めて表に出る。

取り敢えず、何処へ行こうか。楽しめそうな場所の書かれた紙は貰ったが.....。

なるだけ頼らずに楽しみたいものだ。


「.....好」


『なーに?』


「俺は博物館に興味が有るんだが、博物館に行ってみるか?」


『勿論だよ。行ってみよう?』


なら行ってみるか。

俺はその様に考えながら、家に鍵を掛けて歩き出した。

その博物館はこの前行ったショッピングモールと真逆の方向に有る。

電車に乗らないといけない。



『うふふ』


「どうしたんだ?」


『和樹と二人っきりのデート。嬉しいなぁって』


相変わらず赤面する様な言葉を。

俺はその様に思いながら、電車の席で恥じらう。

その姿をニコッと好は見てくる。


『思えば、二人っきりは初めてだから.....大切な日にしたいな』


「.....そうだな」


『愛してるよ。和樹』


「.....ああ。俺もだ」


その様に会話しながら、外を見る。

海が離れて行き、やがて街が見えた。

もう直ぐ着くな。


『ガタンゴトーン♪』


「.....ハッハ。楽しそうだな」


『当たり前だよ。恋している人とのデートって誰でも楽しいと思うよ?』


「.....」


そんなものなのかな。

俺はその様に複雑に思いながら、外を見ると着いた様だ。

よし、行くかと思いながらタブレットを持って立ち上がる。


「.....ちょっと歩く必要が有るから待ってな。好」


『勿論!大丈夫だよ。いっぱいお話ししようね』


「.....ああ」


今でも貴方は私の光。


有名な今日の歌詞の一部だが、まさに今、そんな感じだな。

俺はその様に思いながら人に混じりつつ電車から降りた。

大勢の人が居るな。

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