第37話 聖良の親の本当の気持ちとは

その様な事が有り、俺の婚約の話は保留となり。

次に俺は好を宥めるのに相当に苦労したが感じる事が出来た。

確かに俺には好が居るのだ。


それを意味するのは俺はただ好を守り抜くという事。

突然の聖良の告白と、聖良の状況に動揺してしまって、だ。

全く、危ないな俺は。


「.....聖良。協力してやりたい。だけどすまないが、俺はお前と付き合えないと思う。そして、婚約者になるのは無理だと思うんだ」


「.....そうだよね。そんなに仲が良いなら私が割り込むのはおかしいと思う。私は私で頑張るよ。ごめんね。.....和樹くん。でも.....」


リビングのソファでこっちを見ながらウインクした、聖良。

そしてニコッとしてから俺に話した。


「.....俺は一個人の言葉として受け取って。私、隙を狙うからね。私も.....瑠衣ちゃんと同じだよ。覚悟してね」


「.....おう」


「.....じゃあ、またライバル誕生だね。お兄」


「.....お、おう」


俺を見てから、バチバチと火花が聖良と類との間で散る。

その光景を見ながら、冷や汗をかいた。

いや、そんな感じでも良いけど好を簡単には諦めないぞ俺は?


「.....でもこうなっても親父さんとは何の解決にもなってないよな?俺達も最大には努力するけど.....」


「.....そうだね。でも、もう良いよ。帰らないから」


「でもそれは.....」


「一人暮らしでもする。もう絶対に帰らない。頭に来たから!」


聖良はその様に言いながら、目を鋭くした。

うーむ、関係が捻れているから戻すのも相当困難を極めそうだ。

俺はその様に思いながら、お茶を飲んだ。


「.....どうするか.....」


「お兄。お兄ばっかでごめんだけど、何か手立て有る?」


「無いといえば無い。聖良の親父さん頑固そうだから.....」


でも俺の幼馴染を救わずにはいられないな。

俺はその様に思いながら、一生懸命に考える。

そんな俺を見てから」聖良はブンブンと手を振った。


「えっと.....えっと!そんなに考え込まなくて良いよ!私は.....もう帰らないから」


「.....聖良。それは間違っていると思う。.....俺は.....その関係だけでも修復した方が良いと思うんだ。何故かって言われたら.....それでも親だから」


「.....ムッ。.....和樹くんはどっちの味方なの?」


「勿論、お前だけどよ.....」


ふーん。そうなのかなぁ?と言う、聖良。

しかし、何だか昔の俺と親父の関係みたいな感じだな。

聖良の状況が、だ。

俺も親父と話さなかった時期が長かったのだ。


その為に、よく分かる。

結論から言ってこの関係は改善した方が良いって。


「.....だが今はまあ、頭を冷やそう。それからだ」


「.....そうだね。お兄」


「.....」


少しだけ複雑そうな、不満そうな面持ちの聖良を見つつ俺達は時計を見る。

時刻は午後3時だ。

取り敢えずお茶でもしてゲームでもすっか。


お祭りは中断になってしまったし、気晴らしになると思うし。

俺はその様に思いながら、計画を立て始めた。



「わー!また負けた!」


「勝ったよ〜ふふっ」


●天堂から発売され、今は滅んだ、W●iで遊ぶ俺達。

画面に向かって一生懸命にコントローラーを振る。


思ったけど、Wi●って相当に楽しいと思うのに何で滅ぼしたのだろうか?

大人ってのは本当に分からんね。

こんなモノを生産終了するっていう事が、だ。


「ね。次は和樹くんやろう?」


「.....そうだな。見ているだけじゃ眠たくなってくるしな」


俺は立ち上がって、そして素振りをして。

ゲームに参加した。

マ●オのゲームだが、なかなか熱中出来る。


「じゃあ、行くよー!」


「おう。来い聖良」


画面に思いっきり素振りした時だった。

靴下でバランスを聖良が崩し、倒れそうになる。

俺は慌てて受け止め.....あ。


「ちょ!?」


「!?」


聖良によって、俺の頬にキスされた。

俺は驚愕して聖良を見る。

聖良は真っ赤になっていた。


「.....ご、ごめん.....」


「.....す、すまん.....」


「お兄.....?」


直後、背後でバキバキと音が鳴る。

ケ●シロウの様な、瑠衣が立っていた。

ちょっと待ってくれ!これは俺のせいか!?違うだろ!


ピンポーン


「.....?」


その様な感じで戯れていると、突然、インターフォンが鳴った。

俺は首を傾げ直ぐに玄関に向かって、そして玄関を開ける。

そこに.....玉鋼が立っていた。


「.....貴方は.....!」


まさかこの場所がこんなにも早くバレるとは思わなかった。

俺はその様に目を尖らせて思いつつ、玉鋼を確認する。

だが、玉鋼は頭を下げて、荷物を置いた.....って、何だ?

敵意がまるで無い様な感じだ。


「.....この場所に聖良様が居ると聞きました。ですが、連れて帰ったりはしません。お荷物をお届けに参りました。そしてお屋形様からのお手紙も、です」


「.....え?」


聖良が奥で聞いていた様だが、その言葉に出て来た。

そして玉鋼を見つめる。

玉鋼は聖良を見た瞬間にキチッと着た服の内ポケットから手紙の様なモノを出した。

と言うか、まるで校長らへんが最初に読み上げるアレみたいな感じの手紙だ。


「.....お手紙です。お嬢様。.....その、喧嘩なさったのですね。お屋形様と」


「.....そうね」


「.....あの様な方ですが、一応に心配はなさっている様です。何も仰りませんでしたが.....。一応.....これは持って行ってくれ。だそうでした」


「.....」


俺達は顔を見合わせて、そして少しだけ笑んだ。

聖良は衝撃を受けた様な感じで、手紙を読み出す。

後で見せてもらった手紙にはこう書かれていた。


(聖良へ。この手紙がお前に届くかどうかは分からないが、一応に書かせてもらった。どうやら私は何かを間違っていた様だな。私は.....お前の将来の為と思ったのだがその全てはどうやら通用しなかった様だ。すまない。お前の気持ちが今日、ようやっと分かった。思えば、お前がこの様に酷く反発したのは初めてだな。.....お前の気持ちを何も分からなかった私だった。こんな私が言うのも何だが、お前の気持ちが整理出来た時に戻って来い。婚約の件なども全て破棄しよう。お前の為にならないのなら、だ。.....聖良。成長したな。源五郎)


涙を流しながら、聖良はその手紙を読んだ。

そして膝を崩して背を丸める。

俺はその聖良を見ながら空を見た。

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