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2019年2月26日 23:33 編集済
こんばんは。文化系ではなくて体育会系部活での話なのですが、もしよろしければ、お時間のある時に見ていただければ幸いです。わたしの思い出です。以下、一人称=ぼく。笑…………そのとき、ぼくは某大学医学部1年生だった。体育会のテニス部に入部したぼくは、同級生からも先輩からも、変わったヤツと思われていた。地方の公立高校出身だったから、かもしれない。それだけならべつに良かったんだけど、遅刻はするわ、ろくに走らないわ、先輩のマネをして上手くなろうとはしないわ、兼部していた軽音楽部ロックバンドのほうを優先して合宿を1日休んでしまうわで、「学年が上がってもレギュラーになれないだろうタイプ」、「まったく使えないヤツ」というレッテルを、早くも貼られていたようだった。男子テニス部のキャプテンは、それはそれは素晴らしい人物だった。都内有名私立進学校から現役で合格して、大学でも成績はトップ。まじめで厳しいけれど、下級生への気配りも欠かさない。明るくハツラツとしてプレーも粘り強い、5年生。ぼくは苦手だった。あるとき、キャプテンが唐突にぼくをダブルスの練習パートナーに指名した。いっしょに組んで、6年生ペアと試合をするのだ。とはいっても、基礎練習のようなゲーム。ダブルフォルトをしないとか、クロスのストロークはちゃんと角度をつけるとか、ボレーに出たら相手のふたりの真ん中を狙う(センターセオリー)とか、そういったダブルスの定石を確認して繰り返す訓練だった。30分くらいの試練を、ぼくは、なんとかこなすことが出来た。真剣さを伴った適度な緊張感で的確なショットを打てたのは、優等生へのぼくなりの対抗心ゆえだったかもしれない。キャプテンが驚くべきひとことを放ったのは、試合が終わった瞬間だった。「コイツ、使える!」それは、ぼくの進む方向が変わった瞬間でもあった。以後、次第に実力をつけたぼくは、新人戦でチームの勝利に貢献し、正規のレギュラーになり、幹部学年時には副キャプテンになった(キャプテンじゃなかったけど、笑)。ぼくは、あとで知ったんだ。優等生のキャプテンが同級生のある人物から「彼のことを頼むよ」っていわれていたことを。そのひとは、軽音楽部の先輩の女性だった。いったん他の大学を卒業してから医学部に入り直した、才能豊かな女性ボーカル。彼女は、こんなふうにいったらしい。「あたしの親友の彼氏なの。ベースも見込みあるのよ。音楽とテニスを両立させてあげてよ、お願いだから」ぼくは知ったんだ。自分が「ほめられて伸びるタイプ」だってことを。そして、キャプテンも軽音の先輩も、それを見抜いていたことを。おわり…………自慢みたいな長い駄文、すみませんでした。とここまで書いてきて、軽音に入っていたなら、それが文化系部活じゃん、と気がつきました。そっちを書かなきゃ、でした。笑
作者からの返信
文武両道の学生さんだったんですね、すごい。私はテニスが下手で、もともと球技は好きなんですが、道具を使ってボールを受けるというスポーツとはどうも相性が悪くて……(笑)。だからテニスができるっていうだけで尊敬してしまいます。私がやっても当たらないんだもんな、ボールが。ネット際でなら打ち返せるんですけど、大ぶりのショットが全然。そうか、良い先輩、指導者に恵まれるっていうのは大事ですね。軽音のほうも聞きたかったです(笑)。
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こんばんは。
文化系ではなくて体育会系部活での話なのですが、もしよろしければ、お時間のある時に見ていただければ幸いです。
わたしの思い出です。
以下、一人称=ぼく。笑
…………
そのとき、ぼくは某大学医学部1年生だった。
体育会のテニス部に入部したぼくは、同級生からも先輩からも、変わったヤツと思われていた。
地方の公立高校出身だったから、かもしれない。
それだけならべつに良かったんだけど、遅刻はするわ、ろくに走らないわ、先輩のマネをして上手くなろうとはしないわ、兼部していた軽音楽部ロックバンドのほうを優先して合宿を1日休んでしまうわで、「学年が上がってもレギュラーになれないだろうタイプ」、「まったく使えないヤツ」というレッテルを、早くも貼られていたようだった。
男子テニス部のキャプテンは、それはそれは素晴らしい人物だった。
都内有名私立進学校から現役で合格して、大学でも成績はトップ。
まじめで厳しいけれど、下級生への気配りも欠かさない。
明るくハツラツとしてプレーも粘り強い、5年生。
ぼくは苦手だった。
あるとき、キャプテンが唐突にぼくをダブルスの練習パートナーに指名した。
いっしょに組んで、6年生ペアと試合をするのだ。
とはいっても、基礎練習のようなゲーム。
ダブルフォルトをしないとか、クロスのストロークはちゃんと角度をつけるとか、ボレーに出たら相手のふたりの真ん中を狙う(センターセオリー)とか、そういったダブルスの定石を確認して繰り返す訓練だった。
30分くらいの試練を、ぼくは、なんとかこなすことが出来た。
真剣さを伴った適度な緊張感で的確なショットを打てたのは、優等生へのぼくなりの対抗心ゆえだったかもしれない。
キャプテンが驚くべきひとことを放ったのは、試合が終わった瞬間だった。
「コイツ、使える!」
それは、ぼくの進む方向が変わった瞬間でもあった。
以後、次第に実力をつけたぼくは、新人戦でチームの勝利に貢献し、正規のレギュラーになり、幹部学年時には副キャプテンになった(キャプテンじゃなかったけど、笑)。
ぼくは、あとで知ったんだ。
優等生のキャプテンが同級生のある人物から「彼のことを頼むよ」っていわれていたことを。
そのひとは、軽音楽部の先輩の女性だった。
いったん他の大学を卒業してから医学部に入り直した、才能豊かな女性ボーカル。
彼女は、こんなふうにいったらしい。
「あたしの親友の彼氏なの。ベースも見込みあるのよ。音楽とテニスを両立させてあげてよ、お願いだから」
ぼくは知ったんだ。
自分が「ほめられて伸びるタイプ」だってことを。
そして、キャプテンも軽音の先輩も、それを見抜いていたことを。
おわり
…………
自慢みたいな長い駄文、すみませんでした。
とここまで書いてきて、軽音に入っていたなら、それが文化系部活じゃん、と気がつきました。
そっちを書かなきゃ、でした。笑
作者からの返信
文武両道の学生さんだったんですね、すごい。私はテニスが下手で、もともと球技は好きなんですが、道具を使ってボールを受けるというスポーツとはどうも相性が悪くて……(笑)。だからテニスができるっていうだけで尊敬してしまいます。私がやっても当たらないんだもんな、ボールが。ネット際でなら打ち返せるんですけど、大ぶりのショットが全然。
そうか、良い先輩、指導者に恵まれるっていうのは大事ですね。
軽音のほうも聞きたかったです(笑)。