書きたいものってなんだろうね

 書きたいものがある人は強い。きっと強い。

 絵でもそうだ。描きたいものがある人が絵描きの中で一番強い。


 じゃあ私の書きたいものって何だろうな。と考えてみると、ふっとわからなくなる。書いてみて気づいたけど、やっぱりちょっと重めのテーマが好きみたいだ。異世界転生やファンタジーは読むのは好きだけど、書いているうちに続かなくなってしまう。それはなぜだろう。やっぱり私はフィクションを通して現実のことを考えたいのかもしれない。


 フィクションは現実と地続きだ。でも最近のトレンドは現実の辛さが綺麗に隠蔽されたもので、そういうもは少し物足りなく感じる。自分が読書を通じて何を求めているかと言うと、現実の見方をごそっと変換してしまうような衝撃だった。認知スタイルを根幹から揺るがされたいんだと思う。今までの生き方や考え方をまるっと否定されてもいい。現実に殴られるのは痛いけど、紙やモニター越しに殴られるのは嫌いじゃない。力ではなく知力で殴られるのは結構好きだ。


 でも世の中には安易な暴力や、知力のかけらもない自論のごり押しがはびこっていて、やっぱり全然物足りない。安全な紙の媒体で、脳内の架空の能力によってだけ殴られたい。私は大したことを言っているように見せかけて、実際には何も言っていない人が一番苦手だ。軽蔑している。素晴らしい身振りで、素晴らしい身なりで、みすぼらしい言動をする人が世界で一番嫌いだ。それは大体どこかで聞きかじった知識であったり、人を動かすための妄言だったりする。妄言を聞かされると、三歳児のダダに付き合っているときと同じ心持がするのだ。


 目的ありきの甘言よりも、なにか一つでも心からの真実が混じっている言葉の方がよほど魅力的だと思う。

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