第25話 おねがいマイ・アームド・レディ
昼前になって、ようやく起き上がったサニーは、前を見つめたまま、好子にこう告げた。
「戦力の増強が必要ね」
「なにを、いきなり言っているんですか?まだ寝ぼけているんですか?」とあきれ顔で好子は聞いた。
サニーの目は、寝ぼけ
しっとりとした髪をとかしながら、サニーは何かを決心しているようだった。「ジーパン、あんた、このゼロハチ小隊には、他にも、2人の先輩隊員がいることを知っているよね?あの人たちにお願いするのよ。今日、来てもらうよう、連絡を入れておいたの」
もちろん、好子は2人のことを知っていた。当番制なので、めったに会うことはなかったけれど。
一人は、
ショートヘアの地味な魔法少女であった。中学2年生であったが、顔がどことなく
それなのに、なぜ「
もう一人は、正反対な性格で、向こうから声をかけてくるタイプの魔法少女だった。名前は、
彼女のニックネームは「コムラ」である。
巴月は、4年前の入隊式に参加したとき、突然倒れこんだことがある。そのとき、「うおっ、こむら返りがきやがった!」と叫んだため、以後、コムラと呼ばれるようになった。
当の本人は、気にしておらず、「ま、機動隊のみんなに、顔と名前が覚えてもらえて、むしろ、ラッキーじゃん」と言ったような前向きな姿勢が、逆に同情を誘った。
水と油のような二人だったが、不思議なことに、仲が良かった。
一方的にしゃべりまくる巴月に対して、おとなしい麗美は、振り子のようにうなずくだけなのである。会話が成立していないように好子は思えてならなかった。
「――アームド先輩とコムラ先輩なら知っています」と好子は二人の姿を思い浮かべた。
だが、巴月も麗美も、今日は非番のはずだった。
わざわざ呼び出して、何をお願いする気なのだろうか。
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