第16話 七人の災厄
サニーが「本当に、タキシードだったの?」と何度も確認した。
間違いないと、好子は胸を張った。
ネット上にある舞踏会の動画で見たことがあった。ネクタイと、胸にV字型にのぞかせた白いシャツが特徴のある黒い服だ。見間違えようがなかった。
「あいつの顔は見えませんでした。でも、服は見えたんです」と好子は言った。
「それをもっと早く思い出しなさい!」
サニーが
話を聞いていた黒子は、血相を変えて、スマホで電話した。相手は、刑事課の誰かのようだ。「――あ、もしもし、今いいかしら?レポートのお礼ができそうだわさ。うん、あの事件で。……そう。うちの子が服装を思い出したのだわ。思ったとおり、タキシードだった。こっちにすぐ来られる?――わかっただわさ」
黒子は、電話を切ると、「サニーとジーパン、ここで待機しなさい」と真面目な顔で命じた。
やがて、スーツを着た一人の女性警部が飛びこむように入ってきた。
待機室にやってきた警部は、
「目撃者はどこ?」と琴海が叫ぶ。
「私です」
好子が手を上げるや
「あ、あの……ジーパンと呼ばれています」
その勢いに好子はたじろいだ。
じれったそうに、琴海はICレコーダーをポケットから取り出した。
ICレコーダーとは音声を録音できる機械である。琴海警部はそのスイッチを入れると、ある女の声を聞かせた。
――我らが
「ジーパンさん、この声に、聞き覚えがあるかしら?」
「聞いたことがありません」ときょとんとした目で好子は答える。
「だったら、こっちの声はどう?」
今度は、さっきのとは別の女の声が聞こえた。
――我らが
好子は目をみはった。
聞いたことがある声だった。忘れることができない声。絶対に。
「この声……あいつです。タキシードの女です。セーラーサンといっしょに現場にいた仲間です」
琴海は礼を述べた。そして、捜査情報なので、本当は外に
「この声はね、ある魔法少女の声を録音したものでね。BB団の幹部で、通称『衝撃のタキシード』というの。一国の国王クラスの財産を持ち、強力な魔法を使える7大
ICPOとは国際刑事機構のことだが、スケールの大きな犯人らしかった。
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