第4話 ふたりは相棒

 翌日、学校の授業が終わると、好子は警察へ向かった。

 昨日はニックネームに関する問題と、隊員の心得こころえを聞かされたが、今日からは、魔法機動隊の本格的な任務に参加させてもらえるのだ。


 どんな仕事になるんだろう!

 不安もあるけど、わくわくもする


 浮かれていた好子がノックをしてから、待機室へ入る。すると、すでにサニーが来ていたので、楽しい気分がふっ飛んでしまった。

「ジーパンさん、昨日と違って、今日は早く来たのね」

 顔を合わせた早々そうそう、サニーが嫌味いやみを言う。ケンカをしないように、好子は先手を打った。

「こんにちは、サニー先輩。今日もおきれいですね。ところで、17歳さんはどこにいらっしゃるんですか?」

「出張よ。夕方までには帰るらしいの」


 サニーの言うとおり、部屋の中を見渡しても、黒子の姿はどこにもなかった。

 仕事の内容を黒子から聞こうと思っていたが、当てのはずれた好子は、仕方なく、サニーを頼らざるを得なかった。「先輩、今日は何をするんですか?」


 しばらく、沈黙ちんもくが続いた。


「あの、先輩。私、何かまずいことを言いましたか?」とおそる恐る、好子がたずねる。

「――あんた、あたしと組む気ある?」

 やぶからぼうに、サニーがおかしなことを言い出した。好子はまるで意味が理解できなかった。

「隊長の17歳さんから、指示があったわけ。これから、あんたとあたしがコンビを組んで、二人一組で、防犯パトロールや、事件の捜査に当たりなさいって」とサニーが説明する。

「先輩。ふざけているんですか」

冗談じょうだんじゃないのよ。……いい?上司じょうしの指示なわけ。あの人が組めと言ったら、あたしたちは従うしかないのよ」


 サニーも不服ふふくそうだった。「あの人も何を考えているんだか……」

 確かに、上司の黒子が指示を出せば、文句を言えるわけがない。だが、コンビを組むには、二人は相性あいしょうが悪かった。なにしろ、着任してから、ケンカしたばかりなのである。

 水と油を混ぜるようなものだった。


 仲良くするふりならできるだろう。

 好子は表面上、愛想あいそよく振る舞うことができたからだ。さっきのように、小学生ながら、お世辞せじを言うこともできた。

 それを四六時中、休みなしでやれとなると、さすがに無理があった。

「なんとか、別の人と組ませてもらえませんか?」と無理を承知しょうちで、好子が頼んだ。

 だが、サニーは「それはダメよ」と頑固がんことしてこばむ。意外と、頭が固いらしい。


「人手が足りないの」

 サニーの話によると、この小隊は5人の隊員が集まってできているらしい。小さなグループである。サニー以外の隊員たちは、他の仕事で手一杯ていっぱいなのだそうだ。

 新人の指導役ができるのは、サニーをおいて、他にいなかった。

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