痛快な出来事

 皇紀2678年4月19日―いわゆる西暦2018年4月19日


 今日遭った出来事を一言で言うなら、愉快痛快であろう


 二言になった


 まあよいだろう。今日は何だかそんな気分である。


 アメリカはニューヨークにある、いやあった国連本部ビルがこの世から消え去った。


 部下隊員の多くはこの報を朝礼で聞いて、訓練中もどこか浮かれて身がしまらずにケガしたものもいた様だ。―もっとも全員、訓練が終わるなり飲みに行ってしまったが。


 宿直当番の隊員がボヤいているが、仕方ない。しかし、この空気を分かち合うことも必要であろうし、幾らかの差し入れを持って行った。


 なおこの際、宿直室が酒臭いことについては気づかないふりをして、心の中で本日は不問であると宣言しておいた。相手に伝わっているかどうかについては分からんものであるが、未だ宿直室のある正門から楽しげな声が聞こえているのでまあいいだろう。

 触れず暴かないでいい罪も世の中にはあると思おう。


 ちなみに件の事件、原因については不明。


 アメリカ大統領がブチ切れて国連の脱退と国連本部の明け渡しを表明してからものの1時間としないうちに職員は退所済みだというから被害者はいなかった模様。


 まあ今、テレビの中では左巻きの有識者だとかいう連中が国際秩序だ何だと口角泡を飛ばして国連の必要性を訴えてはいるが周りは白けた顔をしている。

 

 そのザマがまた面白くてこうして筆を執っている最中にもついつい焼酎に手が伸びてしまう。


 元々、70年も昔にあった戦争における連合国とおう枠組みでしかなかったのだ。


 力持つ大国が玩具のように振り回してきた国連という組織が肥大化して、今度は振り回す方へと変わり、そしてついには自業自得で居場所を失った。


 しかし、まだ完全に組織としての力を失ったわけではなかろう。


 現に、国連本部は今後ヨーロッパで再建をしていく予定だそうだ。


 そうでなくては困る。


 かの組織に引導を渡すことを我が国の誰も彼もが夢見ているのだから

 


 


 

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