第3話運営①と死神の祭壇攻略中
一方、FWO運営会社『リスライル社』では・・・
「おい、何か変なバグが出てるんだが・・・」
FWO内の映像を見ながら一人がそう言った。
「いつもの事だろ?」
事実、このゲームが始まって半年が経った今でも、不正データでアバターを強化する【不正プレイヤー】達が増え続け、更にバグが発生しいくつかのフィールドにイレギュラーが発生してしまったのだ。
「いや、その【死神の祭壇】に入るために必要なクエストが消滅してるんだけど」
【死神の祭壇】に入るにはとあるクエストで手に入る【死神の祭壇探索許可証】が無いと入れないようになっているのだ。
それが消滅したという事は誰でも入れるという事だ。
「おいおい、マジかよ?」
「どうする?」
「プレイヤーは誰もいないなら封鎖すれば良いんじゃない?」
誰もいないのなら封鎖出来た。
いなければ・・・。
「じゃあ早速封鎖っと・・・ってまずい!!誰かが【死神の祭壇】に入りやがった!!」
ちょうどキリサが入ってしまったので封鎖できない。
「おいおい、どうする?止めれるか?」
「無理に決まっているだろ!!」
基本、運営側はプレイヤーには干渉出来ないのだ。
「おい、こんな事が起きたら俺達がリーダーに殺されるぞ!?」
「頼む、引き返してくれ!!じゃないと俺達の命がー!!」
運営側の願いはもちろんキリアに届かなかった。
【無職】 キリア・スレイ
「【毒龍】毒龍の一撃!!」
俺の手から、三首の龍の形をした毒が目の前の敵を飲み込んでいく。【毒龍】は1つのスキルの中に複数の効果がある複数統合系スキルだ。
『【毒龍】
毒龍の力を使用出来るスキル。
・毒龍の一撃・・・対象に毒属性の攻撃を 与える
・ポイズンレイン・・・広範囲に毒属性の 雨を降らす
・毒龍鎧装・・・毒龍を召喚し、それを身 に纏う。その間、全ステータス+100 0』
非常にお得でありがたいスキルだ。
だけど、このスキルを使うと使用者にも毒属性のダメージが来るんだよな。
俺の場合【毒無効】があるからノーダメージで済む。
「しかし全然楽勝だな」
ちなみに俺は今の状況に若干拍子抜けしていた。
大抵の攻撃は防御できるし、危険だと思えば自慢の逃げ足の速さで逃げるだけ。
そんな事を繰り返しているので、全然苦労しない。
初心者用のダンジョンなのかな?
「この迷宮の名前って何なんだろう?というか、蜘蛛の魔物多いな」
先程から、小さい蜘蛛の魔物が群れで襲って来る。
全部ガードするか、毒龍の一撃で倒せるからダメージ無いけど、絵面がな・・・。
「というか来るなら、一発で来いよ~!!」
それは、俺の独り言だ。返す者はこの場にいない・・・はずだった。
『ほう。なら来るがよい。妾は待っておるぞ。なんなら、今ここまで来てもらおう』
しかし、それに答えた者がいた。
「え?」
するといきなり、そこに有ったはずの地面が無くなった。
「えーーーー!?」
俺はそんな異常事態に何も出来ずにその穴を落ちて行った。
「はぁはぁ、何処に行っちゃったの?霧斗。謝りたいのに・・・」
美妃がそこに来た時には、穴は無かったという。
10秒ほど落下し続けたがなんとか下に降りる事が出来た。(無事では無い)
「痛くないけど、いきなり紐無しバンジージャンプをやらされた気分。マジで危険だ」
VITが高かったおかげかな?
『それはすまんの。妾もそこまで気が回らんかったようじゃ。怪我は無いか?』
すると後ろから、落ちる前に聞いた声がまた聞こえた。
後ろを見るとそこには10メートルを超えるサイズの蜘蛛がいた。
『妾の名は、ヘル・グリアス。OBMが一体【命断蜘蛛】と呼ばれておる』
「ええええええぇぇぇぇぇぇ!?」
『何を驚いておる?妾の名を知って・・・』
「そうじゃなくて、蜘蛛しゃべっている事に衝撃を受けたよ」
『そっち!?』
こうして、俺は今後一生付き合う最高の相棒と出会った。
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