第11話 エンジンブロー
「けっこう重症ですね。」
クッチョロを引き揚げて、エンジンを開けてみたバイク屋の店主が言った。
衝撃を受けている
クッチョロの状況としては、エンジンのオーバーホールが必要な状態であるということだった。
「私の乗り方が良くなかったんでしょうか? 直るんですか?」
美生は落胆していた。佳がそっと寄り添って、美生の手を両手で包むように握る。
「いえ、そんなことはないと思います。もう60年以上前のバイクですし、今の製品ほど耐久性は高くないですから。」
「クッチョロは、当時イタリアですごく売れたので中古のエンジンや部品は入手できます。どういう形にせよ、修理は可能です。」
美生は少しほっとした。このままクッチョロとお別れになるのは、嫌だった。
ただ、日本での部品の入手は難しく、店主は年に1度ほどイタリアに行っているので、その時までにエンジンを分解し、修理に必要な部品を探すということだった。イタリア行きは半年後の予定で、その後オーバーホールをするので1年は覚悟してほしい、と店主は言った。
「それで、どうしますか?」
「もちろん、修理してください!」美生は叫ぶように言った。
「あ、そういう意味じゃないです。修理が終わるまで、つなぎで何か乗りますか?」
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