第10話 ツーリング
少しして、モトムが納車された。
佳はモトムをマンションの駐輪場ではなく部屋の中に入れると言うので、ガソリンの匂いが気になるだろうと
佳のセンスのいい部屋に、モトムはなかなか似合っていると美生は思った。
佳も最初はモトムに四苦八苦していたが、美生のレッスンのおかげで、しばらくすると佳は公道を走れるようになった。
佳は通学でモトムに乗る必要はなかったので、休みの日は美生のクッチョロと連れだって出かけるようになった。近場の大きな公園で佳の作ったお弁当を食べたり、フリーマーケットで買い物をしたり、有名なお寺や神社などの名所旧跡、評判のいいカフェなど色々なところへ行く、楽しい日々。
美生は祖父とも出かけられたら良かったな、と思った。そしてクッチョロを残してくれたことに感謝するのだった。
そんな幸せが半年くらい続いただろうか、ある日、佳と出かけた帰り、調子よく走っている時にクッチョロは「パーン」と大きな音を立てて、止まってしまった。そしてもうエンジンがかかることはなかった。
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