第9話

半裸の2人のいる車内に咄嗟の判断で乗り込んでみたはものの、2人に何て声を掛けよう。

麻由はトップレスのまま顔を両手で覆いながら号泣している。

隠しているのは依然カタチの綺麗な乳房の方ではなく顔の方だ。

必死な相手を前に哀れみを覚えたわけでは無いのだが、こうテンパり気味になると頭隠して尻隠さずを案外やってしまいがちなのかも知れない。

「おーい。ちょっとそんなに泣かないでよ」

「ってかいつから居たんですか…?」

「いや、今戻って来たところだよ。オレにしてみてもこの状況で中々入って来れないじゃん?だから待ってただけだよ」

「やっぱ見てたんじゃないですか!酷い!」

そう言うと麻由が更に声を上げて泣き出した。


「いや、そうじゃなくてさ。オレだけ仲間外れで自分達だけ抜け駆けしちゃってるの絶対忘れてるでしょ(笑)」

「ってかコレどういう状況なんですか?最初からこうしようとしていました?」

嗚咽を漏らしながら麻由が返すので少し落ち着かせようと、今度はリュウを一旦車外へ出して僕が麻由を宥めるために残ることにした。

リュウが太々しくデニムを履き直していたが、「どうせ何も役に立たないのだから退いてろ」と特に気にせずさっさと外へ出させた。

「ってかずっとおっぱい見えてるよ」そう言いながら乳首を指で突つくと、その腕を叩き返す格好で露骨に拒絶を示されたので「まぁまぁ暗いし実際そんなに見えていないから」と、そこまでカラダ目当てな訳ではないのだと示してみせる。


麻由が落ち着きを取り戻したところで脱いだ上着に手を掛けようとしたのでその手を制止し、「せっかく脱いでいるのだから着なくて良いじゃん。その代わりじゃないけどオレも脱ごっかな」と支離滅裂なコメントを一方的に投げつけた。

「はぁ…。もう良いですよ。私も悪かったです」

「何が良いの?」と返しながら僕も上着を脱いだ。

「っていうか本当に脱ぐんですか(笑)」

「まぁ言ったのはオレだから。で、何が良いの?」

「ここでのコト絶対秘密ですよ?」

この場を当てがい先に知り合っているジローに内緒にしたいというよりは、諸々の成り行きをここだけの秘密にしておきたいようだ。

「大丈夫。でもせっかくだし内緒でやっちゃわない?何か麻由ちゃんもさっきより吹っ切れた感じするし(笑)」

「え、それって私がここで順番に2人としちゃうってコトですか?」

「そうだ」と答えそうになりながらも、リュウが加わるとまたいちいち長くなるのがウザいと思えたので悪びれもなく「いやオレだけで良いよ」と返していた。

「でも絶対あのヒト外から観るじゃないですか…」

「車出して別の場所行けば良くね?」

「あのヒトどうするんですか?」

「どうせ1人でいるんだから車がどこにあろうがまた拾いに来れば良いでしょ。さっきはオレが除け者だったわけだし(笑)」

「まぁ…、であれば…(笑)」


車外へ出てさっきまで麻由と乳繰りあっていたリュウへ事情を伝える。

「何か『最初から2人で良いようにしようとしてたのか?』とか言い出しててちょっと説明しながら宥めてくる。車ちょっと出すな」

「それは良いけど大丈夫かよ…?」

「それは分からないけどここはオレに任せろ」

「おぅ…、マジで頼むな…」

大して気にもしていないくせにそれっぽく振る舞うリュウに対して僕も無下に応じている気もしたが、コイツはそれすらも気にしないはずだと踏んで振り返りもせず車を出した。


広い敷地には屋内外問わずあらゆる競技が同時に試合を開始出来るような環境が備わっており、当然駐車場や公衆トイレなどの施設もそれぞれに完備されている。

適当に車を流しながら車の入り具合いを探り、無難そうな駐車場を見繕い停車した。後から入ってくる車はどうでもいい。

それよりも車だとはいえ麻由も僕も上半身裸の状態で移動している光景は間抜けな感じはしたが、停車して後部座席に移動した拍子に両掌が麻由の両乳に既に添えられていることを自覚した時は本能というものを改めて認識した。


やはり2人きりになれば男女は間柄を問わずこうせざるを得ないのかも知れない。今度は露骨に嫌がられるでもなく手応えを感じる。

小さくて有名なリュウのアレを咥えたクチとの接吻は避けながらも、きっとリュウが無邪気に吸い付いた後だろうと分かりつつ麻由のその綺麗な水風船の先端の様なコントラストの乳頭へは堪らず舌を這わせてしまっていた。

麻由にしてみてもリュウの小さ過ぎるアレを咥えて完全体にして自分の中へ奥深い場所へ受け入れたかったに違いない。

故に綺麗目な濃いインディゴのデニムの上から下腹部に触れると、しっかりと熱を持っているコトは感じられた。


「残念ながらリュウのアレのサイズはアレでMAXなのだと」出掛かったが口にはせず、デニムのジップを下ろして足首まで摺下げた。

下着越しに触れた局部は案の定仕上がっており、その脇から指を2本突っ込むとスルリと奥まで飲み込まれて行く。

僕も「やっぱりこれくらいのサイズは最低要件だろう?」とリュウの粗チンよりはいくらか太くて長めのアレを麻由の鼻先に突き出した。

先ずは先端をクチで覆うかと思いきや片キンをパックリ吸い込んだので脳天に衝撃を覚えた。

まるで後頭部に電気ショックでも与えられたかのようで思わず情けない声が漏れそうになる。

大人しそうな麻由の意外なポテンシャルを感じた僕は、このままでは麻由を貫く前に自分が果ててしまうことを危惧し、麻由を押し倒し下着の脇から正常位でアレを突っ込んだ。


唇を噛んで堪えながら許しを乞うような視線を返す表情が良い。

「そんなにしちゃダメ」と首を横に振る麻由は攻守共にプレイには柔軟に応じられるようだ。感度の良さも窺える。

クチの中で果てるのが好きな僕はまずは麻由を絶頂に導こうと、右手の親指でクリトリスを転がしながら激しく腰を振った。

声が出なくなるほど、呼吸を乱しながら苦しそうに身を攀じる麻由を執拗に突くと2度ほど大きく跳ねた。

息を切らして辛そうだったので、「ゆっくりとクチでしてくれ」と車内に差し込む街灯の灯りを愛液で照らし返す反り勃つアレを麻由の顔の前へ突き出すと、また応じてくれた。

麻由の愛撫は非常に独特で、言うならば亀頭とタマキンを3つの玉蒟蒻に見立てるかの如くパクつきながら点でアプローチするもので、竿を咥えてアタマを上下させる一般的になソレとは似付かない様相だった。


圧倒されプレイに集中出来ずついつい問いかけてしまう。

「あのさ、コレ誰かに教わったの?」

「コレ?あぁ…。前の彼にヘタクソってボロクソに言われていたので色々勉強しました。やっぱ下手ですか?(笑)」

「いや下手どころじゃ…。ってか勉強ってどうやって…(笑)」

「どうして欲しいとかあったら言ってください(笑)」

「いや、無いけどこんな攻め手も多彩で上手なのは初めてだから変な声出そう…」

「出して良いですよ(笑)」

そう言うとここから更に本領発揮といったところか、漸く先からアレを咥えて根本にむけてアタマを下ろしながら根元を手で扱き始めた。アタマと手の上下運動もタイミングが抜群で天性のモノが窺える。


この場においては余計な意地など見せない方が良いと堪忍した僕は、カエルがひっくり返った様な格好をさせられて情けない声を発しながら麻由のクチの中で思い切り果てた。

「まだイケます?(笑)」の麻由の問いに恐怖を覚えながら適当にやり過ごし、「その美乳をもっと見せてくれ」と話題を逸らしながら携帯電話のカメラのライトで照らしたままどさくさ紛れに写真を撮った。

「顔写って無いですよね?」

「それはもちろん」

「それなら別に良いです(笑)」

「良いね、そのサービス精神旺盛な感じ」

「さっきのヒト達にみ見せないでくださいね」


2人共が服を着直してからリュウを降ろした場所へ戻るとそこにヒトの姿が見当たらなかったので電話入れた。

「今何処?」

「N海岸!もう皆合流してるから終わったら来て」

「わかった。送り届けて向かう」

麻由を自宅付近まで送り「絶対内緒にしておくから、また会おう」と連絡先を交換してN海岸へ向けて車を出した。


N海岸へ辿り着くと、ビーチ手前の広い駐車場に見慣れた車が雑に並んでいた。

停車して車を降り、控えめに照らされたヘッドライトの先へ向かうと、男女合わせた10数人が円陣を組むように不揃いに腰を下ろして騒いでいた。

こちら側のツレの面々と個別に声を掛けて車毎に当てがった内の何グループかの女性陣がそこで一緒になって駄弁っていたが、僕が戻って来たことに気付いて程なくして、皆思い思いに車に乗り込みその場を後にした。


偶然弟のリョウが同じ車に乗り合わせ問いかけてくる。

「SEXした?」

「なんとか。クチが上手すぎて昇天した」

「リュウ君が電話して来て『2人だけで消えやがった』って不満気だったからオレが途中で迎えに行く羽目になった」

「元々あいつに先に譲ってたのをいつもみたくダラダラとヤってるので外から覗いてたら、相手のコと目が合って大泣きされたのでフォローするために入れ替わったんだよ」

「その状況からよく実を結んだよね…」

「まぁその時には相手も乳丸出しだったし、条件を揃えようってオレも脱いだら和んでそうなった」

「意味が分からない」

いつもの様に僕の前とモノ言いが違うリュウにがっかりしながらも、ウマが合うと言いながら相手をこの程度にしか思っていないドライな自分が少し寂しいが、薄情なリュウとの距離感としてはこれくらいがフェアな気がした。


「他はどうだった?」

「今日は皆ダメだったみたい。何か犬連れてたコ達いたじゃん?何しようとしても犬が吠えたり、『犬だけ車内に残せない…』とかだったらしく直ぐ解散したって(笑)」

「ヒトがせっかく相手を見つけて来てるのに犬のせいにするなって言っとけ!」

「…(笑)」


同じ年の秋口。

上京して就職するまでの間で在学中に唯一やり残していた国家資格の取得のための学習に励む日々を送っていた。

その月の中旬に年2回の内の2度目の試験の受験を予定しており、ここでキッチリ合格出来れば一通り就職前に出来ることはやったことになる。

遊ぶ時のハメの外し具合いに反してここ数年は真面目に取り組むことにはしっかり向き合えるようになってきていたし、高校を中退した後のどうにもならない境遇から何とか自分のフィールドへ舞い戻って来れそうな手応えもそれとなく感じていた。

何事にも同時進行で取り組みながら皆必死にそれぞれに背負った運命を生き抜いている。何となく周囲のオトナを見ながら感じ始めていた。

最近は朝帰りする時に早朝から出社しようと家を出て行く父親と玄関先ですれ違う度に色々考えさせられもしていた。

家の事も仕事の事も子供の教育の事も、親が自分達にしてくれたことくらいには、将来自分が結婚して子供に恵まれたあかつきには、後世へ繋ぐカタチで恩返しとしたい。


ある夜の夕食後。

何人かの女性にメールを送っておいて試験の過去問をひたすら解いていると気付けば深夜になっていた。

問題を解き進めることに没頭していると時間に経過が早い。

過去の問題を繰り返し解いていると、何を答えさせたいかなどは形式的に読めてくる。

ここまで来ればきっと今回はパス出来るだろう。


一息ついてメールの返信をチェックしていると麻由からリアクションがあったのでコールを入れた。

「もう寝る?」

「まだ寝ないかな」

「ちょっと行くから出て来てよ」

「明日早いしなぁ…」

「大丈夫。直ぐ帰るから(笑)」

麻由とは5月の車でのプレイ以降、連絡を取りはするものの1度も会えておらず、就職するまでにまた1度はスーパープレイに翻弄されたい想いを抱いていた。


以前送り届けた麻由の自宅付近で落ち合い、近くの大学の入り口脇に車を停めて、早速シートを倒してフラットな状態にした。

「いきなり?(笑)」

「やっぱり?」

「『最近どうしてる〜?』とかもっとあるでしょ(笑)」

「最近ずっと試験勉強ばかりしてるなぁ〜」

「勉強?何いってるの?勉強なんて出来るの?(笑)」

「出来るわ!周りのバカよりはだけど。取っときたい国家資格があって」

「へ〜。偉いじゃん」

「だから全然息抜きしてないのでおっぱい見せてください(笑)」

「ってかさぁ、彼女作れば?」

「だって春から都内だし。それまでに数ヶ月海外行ってる予定だから」

「海外?卒業旅行?」

「いや、インターンで現地の日本企業で働かせてもらうことになってる」

「何それ…。そんなこと出来るの?ってか何者?」

「ただのヤリチンだよ(笑)」

「彼女作れば良いのに…(笑)」


麻由は「付き合いでもしたらエッチくらいいくらでも出来るのに」と、何なら自分とだって「付き合っていさえすればここでも何でもしてあげられるのに」とでも言い出しそうに、僕がどうこういう話よりも自分がそろそろ彼でも作って落ち着きたい風に喋り始めた。

僕にとってはその代償はもはやスーパープレイどころではなかった。

僕にしてみても、地元で過ごす時間が数ヶ月も残されていない状況で中途半端な関係の相手と交際をスタートさせて時間の制約や行動の制限がかかることは望まない。

そう思いはしつつも、エロ情事を期待して駆け付けたからには「おっぱいぐらいは吸いたい」と麻由の上着の裾を捲し上げて何も聞こえないフリをしておもむろに両方の乳房に吸い付いていた。

「ってか何でブラじゃなくて水着?」

「うるさい。何も聞かないで(笑)」

「泳ぐの?」

「うるさい…」


どういう意図があったのかは分からないが、僕は何だか麻由の自分自身に対する言い訳を与えてやれなかったようだった。

その後も何度も「彼女作れば良いのに」と繰り返す麻由相手に、「今日はそれどころじゃなさそうだ」と煩わしくなってきた。

「もう遅いからおやすみ」と適当な理由を添えて自宅前へ送りつけ、帰宅して麻由の美乳の余韻に浸りながら強く拳を握りしめるように利き手でアレを掴んだ。

無様な格好でボケっとしている自分は滑稽だろうと明け方に近い時間になる程そう感じる。

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