ユーチューバー斎藤さんの本気のプレー

 1チーム3人のストリートサッカーの天下一武道会という大会。

今、その予選が行われている。

 僕は小学6年生で名前は和田あきら。

 僕のチームは僕のお父さんとストリートサッカー経験者の20代の神谷さん。

 相手チームはリフティング動画を投稿しているユーチューバーの斎藤さんと

他2人。


 スコアは1-1。

 僕の集中力をかいたプレーから失点したけど、

 僕のあたりぞこないのシュートで同点に追いついた。

 

 ここまでが前回までのあらすじです。

 さっき「こどもだと思って油断した」と言っていた斎藤さんは、

 ゆっくりとリフティングを始めた。

 僕はよく斎藤さんの動画を見ているけど、生でみるとやっぱりうまい。

 編集とかしてすごくみせかけているわけではなく、本当にうまいのだ。

 さすがチャンネル登録者数が半年で10万人突破しただけのことはある。

 

 あっ、また僕は斎藤さんのプレーに、みとれてしまった。

 今度は、しっかり集中しないと。

 僕はいそいでリフティングをしている斎藤さんからボールを奪いにいった。

 「あきら!深追いするな!」

 お父さんが叫んだ。

 しかし、僕は止まることができなかった。

 斎藤さんは、ポーンとボールを空中にけりあげて、僕の頭の上をとおして、僕を抜いて、ボールの落下点に走りこんで、みごとにトラップした。

 「うますぎる・・」

  お父さんがすぐにボールを奪いにいくがキックフェイントにひっかかり、ドリブルで抜かれてしまった。

  斎藤さんはサイドへパスをだし、ゴール前へ走りこんだ。 

 神谷さんがマークにつこうとするが、斎藤さんはファーサイドへ走りこむと、みせかけてニアサイドへ走りこんだ。神谷さんも斎藤さんの動きについていけず、フリーにさせてしまった。

 斎藤さんは味方からの浮き球のクロスボールをジャンプしながらヒールでボレーシュートした。ボールはゴールへ吸い込まれた。

 鮮やかなファインゴールだった。

 一瞬でゴールををゆるしてしまった。

 スコアは1-2。

 そして、ここで試合終了。


 天下一武道会の予選は初戦敗退となってしまった。

 僕は初めての試合でゴールを決められたのは嬉しかったけど、負けたのが、くやしかった。

 

 「こんなところで、へこんでいる暇はないぞ」

 お父さんが言った。


(続く)

次回は日曜日更新予定。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る