第130話 お兄様の望む事ならば、なんでも……
僕はとりあえず勉強をした。今直ぐに出来る事と言ったらそれくらいだから。
学年トップクラスの泉に比べたら、僕なんて大した事は無いけど……僕だってそれなりに成績は良い方だと自負している。
今から、スポーツなんて無理、友達を作るとか、コミ症を治すのも中々難しい。
だけど……せめて泉のお尻……もとい、尻尾が見える位置まで成績を上げる事ならば、可能な気がする。
それにしても……泉は家の事、僕の世話まであんなにしていて……いつ勉強しているのか?
僕はそれが不思議だった。
多分、泉は天才なんだろう……だから泉に追いつくには、死に物狂いでやならければならない。
僕はいつもの倍、いや3倍やろうと、がんばろう……と、明日からやろうとそう思い、そっと……ベットに入った。
いや、だって、もう眠いし、遅いし……。
草木も眠る丑三つ時……が一体何時だか知らないが、色々あって興奮気味だった気持ちがようやく落ち着き、瞼が落ちうとうとし始めたその時、部屋の扉が開いた様な気がした。
「……う、ううん……あれぇ、もう朝?」
泉が起こしに来てくれた? でもまだあまり寝ていない様な気がする。外もまだ暗い様な気もする……とにかく眠い……もう少し寝かせて欲しい……。
「まだ……寝てても大丈夫ですよ」
鈴の様な泉の声、天使の様な優しい声で囁いてくれる。天使様が寝ててもいいよと言ってくれる。
ああ、そうか……僕はまだ寝ててもいのか、では、と二度寝の様な心地よさで、再び夢の中に落ちていく。
そして一瞬寒気が走る。が、直ぐにさっきよりも暖かくさらには良い香りが漂い始める。
ああ、まるで、天国にいるような気分に。
そして僕はそのまま夢の中へ……。
夢の中で3人が僕の前に立つ。
愛真と凛ちゃんと、そして泉。
愛真は可愛らしいピンクの下着姿、その豊満な胸を下から持ち上げ僕に見せ付けて来る。
凛ちゃんはクラシカルな黒のメイド姿。恥ずかしがりながらその長いスカートを両手でたくし上げている。
スカートの中からは真っ白いストッキングとガーターベルトが……。
そして泉は……白のシルクのパジャマ姿で僕の前に立っている。
その三人が僕の元に歩み寄る。
「真ちゃん」
「真くん」
「お兄様……」
3人がうるうるとした瞳で僕を見つめている。
「えっと……夢だよね?」
そう、これは夢なのだ、夢の中の出来事。
夢の中なら抱き締めても問題ない!
でも誰を……3人ともだと今一密着出来ないし。
抱き心地が良さそうなのは愛真、でも凛ちゃんのメイド姿も捨てがたい。
だけど、僕はその中であえて泉を選んだ。
何の制約も無い夢の中なら、やはり泉だ。
僕は泉の手を引くと思い切り抱き締める。
ああ、良い匂い、そして柔らかい……細い身体なのにどうしてここまで柔らかいんだろう……。女の子って不思議だ。
僕は堪能する、泉の感触をじっくりと堪能する。
「お、お兄様……」
「泉」
「お兄様……お兄様は今のままで良いんです……私は今のままのお兄様が好き……」
ああ、泉……なんて愛らしい言葉を、僕はそのまま泉に抱きつき、さらに泉の胸に顔を埋めた。夢の中なら何をしても大丈夫~~。
ああ、芳醇なフルーツの様な甘い香りが僕の鼻腔を擽る……あれぇ、夢の中でも匂いってするんだっけ? そして柔らかい、とてつもなく柔らかい感触が顔に伝わる……夢の中でも感触ってあるんだっけ?
「お兄様……私は……お兄様の望む事ならなんでも……」
……今言ったよね? 今なんでもって言ったよね?
じゃ、じゃあ……遠慮なく……僕は泉のパジャマのボタンを外し直接泉の胸に顔を埋めた。
ああ、天国だ……ここは天国だったんだ。
もう何もいらない僕はこのまま安らかに眠る。
泉の胸で……安らかに……。
完
ブオン(っ'-')╮~~~~~~~~~~~~~完
「しーーーーーんーーーーーーちゃーーーーーんーーーーーーいーーーーーずーーーーーーーみーーーーーーーさーーーーーーーんーーーーーーー!」
「あえ、朝? ………………うわああああああああああ!」
愛真の声で目が覚めると、僕の目の前におっぱいが、いや、谷間だけ、谷間しか見えて無いけど、その浅い谷間に僕は顔を押し付けていた。
「う、ううん、お兄様……あ!」
「あ! じゃない! 昨日あれだけ甘やかすなって言ったのに! って言うか、早速抜け駆け?」
「で、でも私はお兄様は今のままで良いって」
「駄目でしょ! だから真ちゃんが成長しないんだよ! ああ、っていうか早く離れろ!」
僕は愛真に腕を引っ張られ泉から引き離される。
え? 今までのは夢じゃない?
「真ちゃんのバカ! 昨日の今日で何してんの! 泉さんもそんなんだから真ちゃんがいつまで経っても成長しないんだよ!」
「で、でも……私は」
「ううう、駄目ったら駄目!」
「ご、ごめん、愛真……泉は悪くない、僕がしっかりすれば……僕昨日決めたんだ……」
「泉さん! 真ちゃんはそう言ってるんだから、邪魔しちゃ駄目!」
愛真は泉を睨み付ける。
二人は結託していたのでは無いのか?
「……お兄様は、お兄様のままで……良いって……最近そう思ったの……だから……」
「う、うわああああああ!」
泉は僕に抱き付いてくる。そのまま僕を押し倒す。
「あああああ! ず、ずるい! じゃ、じゃあ私も!」
「ぎゃ、ぎゃあああ! や、やめ、重い、苦しい!」
「重い言うなし!」
結局僕は今のままで良いの? それとも……。
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