第129話 大勘違い


「うっわ~~~~」

 恥ずかしい恥ずかしい……。


 恥ずかしいいいいいいい!


 部屋に戻ると僕は部屋の片隅で膝を抱えた。


 恥ずかしいいいいい……。


 顔から火が出るとはこの事だ。

 穴があったら飛び込みたい。


 さっき言った愛真の言葉が頭の中でぐるぐると回り続けて、もうチーズになっちゃう位に高速で、中性子星か? って位ぐるぐると回り続けている。


 そう……その通りだ、愛真の言う通り、僕は勘違いをしていたのだ。


 好きイコール付き合うって思っていたのだ。


 好きにだって色々ある事に気が付いていなかったのだ。


 愛真は友達として、そして弟の感覚僕の事を好きって言っていたのだ……。


 泉はもうそのまんまだ、妹として、そして家族として僕を好きだって言ってたのだ……。

 凛ちゃんは……同級生として、そして委員長として、そして僕に秘密をバラされたくなくて言っていた……のかも知れない。


 そうなのだ……事実好きって言ったけど、誰も僕と付き合いたいとは言っていないのだ。

 

 なのに僕は……誰かに告白すれば直ぐに付き合えるって思ってた!

 ましてや付き合ったら……エッチしちゃうのかって……おもってた。

 エッチ……エッチ……。


「うあああああああああ……ああああああ……」

 好きって言われて有頂天になってた……何が将来だ、何がもう今後無いだ、

 始まってもいないのに!

 獲らぬ狸の皮算用とはこの事だ……。


 そうだよそうなんだよ、僕なんてインキャの童貞糞野郎なのに、学校、いや、周辺、いや、日本で一番と言っても良いほどの泉と付き合えると思ってたのが恥ずかしい。

 日本一のメイド様にお成りあそばされた、ミカンちゃんと付き合えるとでも思っていたのか? 恥ずかしいにも程がある。

 ちなみに敬語は適当なので、突っ込まないで良いので。


 そして二人から落ちる愛真……と言っても僕には十分、いや十二分過ぎる程の可愛さ、美貌、そして二人を遥かに凌ぐおっぱいの持ち主。


 そんな3人と、いるか、いないかさえわからない、カースト底辺の僕が、あの3人の誰かと付き合える……ましてあエッチするかもなんて緊張までしてたなんて……。


「あうううううう……思い上がりも甚だしいとはこの事だ、うわーーーーーーーん」


 何をいい気になってたんだ僕は、マジでどこのイケメンだよ!?


 恥ずかしくて、もう3人と、いや、誰とも顔を合わせたく無い、合わすのが辛い。


「はああああああぁぁ、引きこもりたい、いや僕が引き籠ったらもう救いようが無いじゃないか……はあああああぁぁ…………そうだ! もう……死んじゃおうかなぁ……」


 死んだ方がいいんじゃないか? 僕なんて生きる価値も無いんじゃないか?

 

「あうううう、本当に……生まれて来てごめんなさいぃぃ」


 僕は膝を抱えて泣いた……しくしくと、メソメソと泣いた。

 でもここで泣き叫んだとして、二人が慰めてくれたとして、なんかそれはもう完全に終わってる手足ただの構ってちゃんな気がして。


 だから僕は愛真と泉に聞こえない様に、声を殺してむせび泣いた。


 そして…………ひとしきり泣いてから、僕は立ち上がる……。


「──変わってやる、畜生……変わればいいんだろ!」

 僕は変わる……愛真を見返す為に、泉に男と認めて貰う為に、凛ちゃんに頼って貰う為に、僕は変わる!


 そして……言う、この3人の誰かと付き合ってくれって、僕は必ず言う!


 相応しい男になって!


「か、必ず……言ってやるんだからね!」

 てか僕……変わるって……今まで何回言ってるんだろうか……。

 

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