第6話

目が覚めたのは、目覚まし時計がなる前だった。朝食を取りにリビングに行くと母さんが朝食を作っていた。母さんが皮肉そうにいつもこれぐらい早起きだったらね。と僕に言った。昨日は君の話を聞けなかったし、いや、聞けなかったというより君は話さなかった。今日もう一度聞いてみよう。

君が話してくれるかは分からないけれど。

そうして、僕はいつもより早い時間に家を出た。のんびり歩いていたせいか、学校にはギリギリに着いた。君はもう学校に来ていていつも通りの様子だった。特に不審なところは見当たらないし、僕にも何も無かったように接した。

授業の間の休み時間に君にもう一度昨日の話を聞いたが、何を話そうとしていたか忘れてしまった、とはぐらかされた。

次の時間、抜き打ちテストがあり、結果は想像通りの悲惨な結果で、僕の親友に馬鹿にされて、そんな昔に習ったこと覚えてるわけないだろ、とポロッと口から出そうになった。昼休みになり、学校の中庭に4人で昼食を食べようと集まった。

「ちょっと購買で、パン買ってるくるね。」

君がそういうと

「じゃー、俺も昼飯買いに行くから、一緒に行こうぜ。」

と僕の親友が僕達を背に君に言った。

「僕も飲み物買いに行くよ。」

「あ、待って!」

と君の親友が僕の手を引いた。

「何?どうかした?」

と君の親友に聞くと、君の親友は僕の手を引いたまま黙った。僕の親友が手を引っ張られた僕を気にしながら、俺ら先行ってるぞ。と僕に言った。

「あー、うん。先行ってて。」

そう返してから、もう1度君の親友に何かあるのか聞いてみた。君と僕の親友が見えなくなったのを確認してから君の親友は僕に言った。

「もー、なんで気を使わないわけ?」

「何が?」

「気づいてないの?」

「え、何を気づくの?」

君の親友はため息を着きながら僕に言った。

「伊吹君って鈍感なの?見てれば分かるでしょ。」

君の親友は僕に蹴りを入れた。

「だから…」

君は僕の耳元でコソッと言った。

「ええええ!!!」

「え、その様子ってほんとに気づいてなかったの?」

「いや、普通気づかないだろ…。」

君の親友が言うには僕の親友は君のことが好きらしい。君と僕の親友が昼食を買って帰って来た時にこの動揺がバレないようにを必死に隠した。

昼休みが終わる頃に君と君の親友がよる所があるからと先に教室へ向かった。

僕の親友と二人きりになり、思い切って君に恋愛感情があるのか聞いてみた。

「え、なんで知ってんの?!」

と僕の親友は恥ずかしそうにするので、本当に君が好きなんだなというのが伝わってきた。

「俺、そんなに顔に出てた?」

「出てないと思うけど…。僕も…」

僕もさっき知ったし…。

「え?」

「いや、なんでもない。」

「うわー、まじか、でも伊吹に知られるとかめちゃくちゃ恥ずいな。」

今まで見たことの無かった親友の一面に何も言えなくなってしまった。

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