第5話

放課後になり、僕のクラスメイトが今日の帰り遊ぼうと誘って来たが、君に話があるからと誘われるのが分かっていたので僕は断った。そして案の定、君は5年前の同じように僕に話があるからと一緒に帰ろうと誘って来た。僕は意気込み、うん。と答えたが、僕が意気込み過ぎたのか不自然に思われたようで、僕の親友から、お前らなんかあったの?と聞かれたが、無難に誤魔化した。

カバンをもって、君と学校から出た。

帰り道にはほとんど会話はなかった。いつもはたくさん喋る君も、今日だけは口数が異様に少なかった。家が近づくが、君は一向に僕に多分言いたかったであろう話をしない。堪らず僕が切り出した。

「話って何?」

「え、あぁ…えっと…」

君は、肩をビクッと跳ね上がらせ口ごもりながら僕の問いかけに反応した。

「いや、特にないんだけどね…うん。」

あたふたしつつも僕と視線を合わせようとする君は僕を見てるようで見ていなかった。

「あのさ…」

じっと見つめる僕に向かって、たしかに何かを切り出そうとしていた。

「やっぱりなんでもないや…!うん!多分勘違い!いや、勘違い…でもないけど!ほんとになんでもないの!!忘れて!」

君は何か誤魔化すように言った。

「いや、でも…」

「本当になんでもないから。いきなり帰ろうとか言ってごめんね。」

と君は慌てて家に走っていき、じゃあ、また明日。といって玄関の戸を閉めた。

その後、僕も自宅に着き、夕食や、寝る前の身支度などを済ませ、リビングのソファーに座った。結局君が僕に話したいこととはなんだったんだろうか。君の死に関係ないことなのだろうか。僕がぶつぶつ言っていると、

「お兄ちゃんうるさい。」

と目の前で5年後はほとんど疎遠になってしまっている妹が、流行りの恋愛ドラマを見ている。僕もこのドラマを見ていたので、妹をからかおうと

「あー、この回は最後主人公と恋人が別れて、主人公が元カノの所に行っちゃうんだっけ。」

「はぁ?」

妹が僕にガンを飛ばしてくる。

まぁ、あと10分くらいで終わるし見てればーと10分ほど妹とそのドラマを見た。その回の結末は僕の言った通りに終わった。まぁ、5年前にも見てるし、時々再放送も見ていたので当たり前なんだけど。

妹はその結果を知っていた僕に向かって

「なんで知ってんの?きも。」

と僕に放ち自分の部屋へ帰って行った。

それにつられて、僕も自分の部屋に入った。ベットに横になり、今日のことをまた考える。君は僕に何も言わなかった。5年前も、もし君の話を聞こうとしていたら同じ結果になったのだろうか、それとも僕がどこかで間違えたのか…。でも、君が死ぬのは今日から一週間後で、君の話を聞けなかったからどう動けばいいのか分からない。そして、あの先生も何か怪しい。いや、怪しくは無いが僕が何故か不意に落ちない。色々考えていたらいつの間にか僕は眠りに落ちていた。

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