第1話

毎年この日になると君に会いに行く。

君がいなくなって5年の月日が経つのに君のいない世界に一向に慣れない。


君のお墓にはたくさんの花が飾ってあった。

君は周りから愛される子で自殺する理由が見当たらなかった。他殺かもしれないと考えたけれど、恨まれるような子でもなかったので、余計に死んだ理由がわからなくなってしまった。彼女の両親や友達と彼女の死について調べて欲しいと警察に何度頼んでも自殺だからと片付けられ、掛け合ってくれなかった。

5年経った今でも本当に君は自殺をしたのかわからないままだ。

この日、この時期になると君のことを余計に思い出す。考えないようにしているのに君のことを考えてしまう。

僕は君が好きだった。気持ちは1回も伝えたことがないけれど…

あの時君に好きと言えば良かった。そうしたら後悔も少しは薄れたのだろうか。考え事をしている間に随分と時間が経ち、辺りは夕焼け色に染まっていた。




チリン。




どこかで鈴の音が鳴った。

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