DAY9:絶体絶命!超巨大陰茎との戦い
「私達だけでいい…。今までありがとう。
貴方達は生き残って巨大陰茎が消えた世界の復興をして欲しい」
泣いて支援を近くですると言ったヒゲモジャをなんとか引き剥がし、私はツインゴールデンボウルと共に超巨大陰茎
超巨大陰茎は相変わらず壊れた塔の瓦礫の上でカウパーの雫を落としながら、その鈴口からは悲しげな旋律を奏でている。
そんな超巨大陰茎だったが、私達の姿を確認すると体中に血管を浮き上がらせ、身体に赤みを帯びさせて戦闘態勢に切り替わる。
さっきまで笠が張っていなかった亀頭は充血し赤黒くなり、パンパンに張り詰めて立派に笠を広げている。
雁首部分のくびれはとても立派で今まで見たどの巨大陰茎のものより力強く、まるで美術品のようにも思える荘厳な雰囲気を感じさせる。
私は、戦闘態勢になった超巨大陰茎の前に降り立つとファイティングポーズを取る。
「さて…いこうか
『いきましょう
カウパーを射出される前に距離を詰め、そして力いっぱい腕を振り抜く。
…が、超巨大陰茎はその巨大な体躯からは考えられない機敏さで睾丸を器用に動かし穴でも掘ったのか私達の目の前から姿を消した。
振動を感じて身体を捻ったときにはもう遅く、死角から飛び出してきた超巨大陰茎の硬い亀頭がツインゴールデンボウルの胸部へと辺り姿勢が崩れる。
―報告
―機体胸部の損傷
―ナノマシンで修復を試みます
―報告
―胸部損傷修復不可能
―原因不明
―推奨
―基地に戻っての情報解析
機械音声をオフにして私は姿勢を立て直して、目の前にいる超巨大陰茎へと向き直る。
「私達は負けるわけにはいかない…これが不可能だって言われてる作戦だとしても…私は…私は…」
力を込めすぎて操縦桿についているワイヤーがギシギシと悲鳴をあげる。
逃げられないように捉えた超巨大陰茎に巨大な腕からパンチを繰り出すが、巨大陰茎の亀頭をきっちり捉えているはずなのに、表面のやんわりとした肉厚で硬い本体部分への手応えは感じない。
身体を思い切りよじって浮き上がった睾丸にキックのようなものをされよろめいたツインゴールデンボウルの手から逃れ、少し離れた場所に聳え立つ超巨大陰茎は、体中の血管を更に浮きだたせる威嚇をするように小さな鈴口をパクパクとさせ、ピィィィィィィと警告音のようなものとともに粘り気のある半透明の液体を大量に滴らせた。
『気をつけろ…あのカウパーと呼ばれる液体は酸性だ』
「わかってる」
そうはいったものの予想以上に飛び散ったカウパーにツインゴールデンボウルのゴールデンボールクラッシャーが溶かされてしまい舌打ちが出る。
私は勝たないといけないんだ…勝って…ちゃんとお母さんのところに帰るんだ…。
「下に潜るなら…手伝ってやるよ!」
決死の覚悟で再び超巨大陰茎のカウパーを掻い潜りながら突き進む私は、塔の残骸を守るような位置で攻撃のために睾丸を動かしている超巨大陰茎に向かってツインゴールデンボウルの拳を振り下ろした。
横の攻撃はギリギリ避けられても縦の攻撃は間に合わなかったのか、地面に潜りかけていた超巨大陰茎は亀頭を上から殴りつけられピュウウウウイという悲鳴のようなものを鈴口から漏らす。
ツインゴールデンボウルの腕はカウパーの酸で溶かされ次は満足に動かせない…でもこれで致命傷は与えられた。
地面にぐったりと亀頭をつける超巨大陰茎を動く方の手で持ち上げ、なんとか動く手でゴールデンビームブレードを取り、彼にトドメを刺そうとしたときだった。
『っしまった』
突如睾丸と陰茎の間に黒い何かが発生した何かが私の目前に迫ってくる。
「陰毛かっ!クソ…」
急激な早さで伸びる陰毛はあっという間にツインゴールデンボウルの手足をしばりあげ、ぎりぎりと締め付けられた手首はあっけなく煙を上げて火花を散らし、自由になった超巨大陰茎は私達の自由を奪ったまま再び塔の残骸の上へと戻っていく。
ピィィィィキィィィィィと鈴口から発せられる高音から発せられる衝撃波でツインゴールデンボウルの身体はメキメキっと嫌な音が漏れ、私にもその衝撃波は襲いかかってくるようでワイヤーが軋み、私の身体も嫌な音を立てて揺れる。
ゴポポ…と嫌な音がこみ上げてきたかと思うと、私の足元に自分が吐いた赤黒い血が広がる。
手足をなんとか動かそうにも伸ばされた陰毛は鋼のように硬く、ギリギリと伸ばされていくツインゴールデンボウルの手足の関節はミシミシと音を立てた後バチバチと煙を上げ始めた。
『
「逃げてどうなる?
『巨大陰茎から逃げて逃げて…とにかく生きてくれ。
「何いってんだ!
私は
涙がポタポタとあふれる。
絶対に勝って平和な世界で母と生きて、時々ツインゴールデンボウルやヒゲモジャと世界の復興を手伝って…そんな世界が私は見たいんだ。
『お願いだ。生きてくれ…。
私は貴女だと言った。でも違う。
兵器である私と人間である貴女…貴女には貴女として生きて欲しい。私の分まで…。
器はまた生まれる。私は塔の代わりになってここにいるから…だからせめてここで死ぬんじゃなくて生き延びて…時間がない』
いやいやと首をふる私の身体がふわっと浮き上がり、おしりの辺りに椅子のようなものが現れる。
―自立運転に切り替えます
―報告
―搭乗者の緊急脱出モード開始
「やめろ!」
『私のワガママだ。逃げ延びて貴女として生きてくれ』
椅子から現れたベルトが私の手足を拘束していく。
苦しそうなツインゴールデンボウルの声と、バチバチと彼女が壊されていく音が響く。
どんなに泣いてももうツインゴールデンボウルは話してくれなかった。
―搭乗者緊急脱出開始します
―カウントダウン開始
『助けに来たぞ!』
通信が入ると同時に私の目の前が真っ赤な光りに包まれる。
空に浮かぶ金の船から大量の炎が射出され、焼き切られた超巨大陰茎の陰毛から解き放たれたツインゴールデンボウルは地面に四つん這いになりながら着地をした。
『
巨大浮遊戦艦!
ヒゲモジャは嬉しそうな声が聞こえて、金導武から夥しい量の真っ白い液体のようなものが射出されるのが見えた。
真っ白なものは粘度が高いのか、白くてネバネバしたものにまみれている超巨大陰茎は身体を左右にねじって悲鳴のような音を立てている。
「ヒゲモジャ!感謝する!」
『…愚かな人間だと思っていたが…まさかアレに助けられるとはな』
「ツイン…さっきのことは後で説教だ。
その前に…私達の過去に蹴りをつけよう」
『そうだな
どうやら私はもう起動限界が近い。一撃で決められるか?』
「任せてくれ
この一撃にすべてを賭ける」
身体が軋む。
手も足も痛むし、しゃべるのですらきつい。
それでもやるしかない。
思い切り勢いをつけて飛び上がり、超巨大陰茎の弱点である睾丸に狙いを定めて汲んだ両手を振り下ろす。
「『金玉クラーーーーーーーーーーーーシュ!!!!!』」
睾丸の中にあるコリコリとした何かの手応えがあり、そしてそれが破裂したような乾いた破裂音が響き渡り、私達の視界は一面真っ赤に染まった。
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