DAY8:決戦前夜
「脳派に異常ありません」
「だーから!もう記憶は戻ったって言ってんだろ」
気の毒そうな顔をしてる杏里は、私が投げ捨てた脳波を図る機器を受け取っているのを他所に、ヒゲモジャこと佐藤 晃之助はベッドの横で泣きそうな顔を浮かべている。
「海神様がこんなに下品なわけ無いだろ!ワシが…ワシが知ってる海神様は…」
「うるせえ!
「ワシがはるか昔に見た海神様はもっと上品で…もっと気品のある話し方で…」
「所作も見た目も違っても私は
何度も言わせるな。下がれ」
私に顔を足蹴にされて少年のような顔を浮かべたヒゲモジャはすごすごと部屋から出て自室へと戻っていく。
見た目は初老の恰幅のいい男性だというのに…全くあの頃から変わっていないんだなとため息を付いて、杏里からねぎらいの言葉をもらいながら自室へと向かう。
あれから私と
ゴールデンビームブレードの柄のすぐしたに配備されたボタンを押すと特殊な素材が膨らみ巨大な金色の玉になるゴールデンボールクラッシャーと、かつて人類を脅かしていたという疾患名を参考にした尿路結石という2つの武器のお陰でもある。
かつての
そして私は塔を作って
そして、いつか蘇った巨大陰茎たちを今度は完全に滅ぼせるように…と私の力の大半を注ぎ込んで作った神殺しの兵器に自分の魂の半分を与え、当時世界を破壊しようとしていた
計画は…多少遅れが出たり、手違いで塔の起動方法も塔の正体も器に残せなかったなどの多少のトラブルはあったけどなんとか軌道に乗りつつある。
不可能な作戦なんて影で言われていた巨大陰茎掃討作戦も、世界に散らばる中陰茎たちを破壊することで可能だという希望が見えてきた。
あとは…あいつを倒すだけだ。
私はディスプレイに映し出された最古の巨大陰茎…
彼こそが私が倒すべき相手…解放すべき相手。
どこかに姿を隠していた真羅は、
本当に昨日…というかつい数時間前に姿を現したその超巨大陰茎は、塔を探すように辺りを這いずり回ったあと、塔の残骸の上で陰嚢を支えにして空に向かって立ち上がった。
そして、その鈴口から静かにカウパーを垂れ流すと悲しげな旋律を響かせたのだった。
まだ彼に私の記憶はあるのだろうか。私が貴方を殺すと知ったら貴方はどんな顔をするだろう。
明日に備えて寝よう。ツインゴールデンボウルもメンテナンスをされて万全の体調で明日の決戦に挑むようだ。
「絶対に助けるから。
それで…全部終わったらお母さんのところへ帰って…ちゃんと謝ろう」
私は誰にともなくそういうと、ベッドに横たわり、目を閉じた。
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