第2話
妹には一人で遊んで貰い、僕は自室で布団にくるまった。
そして、堺の事を思い出した。
堺はいわゆる劣等生で、テストの点も悪い、学校も休みがちだった。
僕と堺は、隣の席だからつるむようになって、帰り道時々共にする、そんなありふれた友人関係。
1週間、堺が首を吊って死んだ、と
朝礼で担任が泣きながら言うまでは。
担任はあいつみたいな劣等生を嫌ってたのに、泣いていたのが可笑しかった。そんな自分に酔ってる様にも見えた。
「マジ?」
とか
「あいつ悩みとかある様に見えなかったけどねぇ」
とかざわめく教室で、ただ一人僕は黙っていた。
あいつが死んだ19時46分。
自分は何をしてただろう?と考えた。
確か家に帰って靴下を脱ぎ捨てた後、コンビニで買った460円のスパゲッティーを食べていた。空腹を満たす為に。
そう考えた時に、頭がぼおっとした。
自殺した理由は知らせられなかったが、
あいつがきっと悩んで絶望して、
薄暗い部屋で嗚咽を吐きながら薬を飲み干して、太い縄に首を通した同じ時間、
僕は生きる為の食事をしていたのだ。
当たり前だ。
クラスの奴等だって堺のことなんて考えず各々過ごしていただろう。
そして明日になったらきっとみんな堺の事なんて忘れて、生きるために食事する。
当たり前だ。
でも、それが同仕様もなく「酷い」と思った。
その日から僕は学校を休んだ。
そしてスパゲッティーを見ると気分が悪く、酷い時はその場で吐く様になった。
「おにいちゃん、お腹すいた。」
下の階に降りると、ロゴブロックで遊んでいた妹がそういった。
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