死者の夢世界

ひぐらしゆうき

プロローグ

 生きていくのが辛いと何度思っただろう?

 死んでしまいたいと何ど思っただろう?

 世の中で私のことを思ってくれている人なんて誰もいないんだ。

 親からは暴力を受け続け、学校でもいじめられ続け、先生からも嫌われている。

 別に私が彼ら、彼女らに何もしていない。

 ただ存在が不快だとか生きてる意味あるの?とかそんな理由でいじめられ、傷つけられ続けた。


 だから今日、私は死ぬことにした。

 私の家はマンションの6階。この高さから飛び降りれば死ねるだろう。

 自室からベランダに出ると朝日が差し込んできたところだった。

 死ぬ間際にこんな綺麗な朝日が見れただけ、私は救われているのだろうか?ふとそんなことを思う。

 手すりから身を乗り出す。

 下にあるのはマンションの駐車場。

 人は誰もいないし、私が激突するであろう場所には車がない。

 今飛び降りるのが一番いいだろう。

 私はベランダの手すりの上に立ち、そのまま前に倒れこんだ。

 別に飛び降りることが怖いとは思わなかった。

 何故?これで私は救われるからだ。死んでしまえばもういじめられることも傷つけられることもない。

 私は自由を手にするのだ。

 どんどんと灰色の地面が迫ってくる。


 グシャ!


 鈍い音が脳に響いたのと同時に生暖かい液体が手についた。

 恐らく地面に激突した時に顔はボロ雑巾のようにズタズタになっていて、見るも無残なことになったのだろうと容易に想像できた。

 でも、いいのだ。

 私の体は最初から傷だらけ。

 こういう死に様も私らしいかもしれない。

 だんだんと意識が遠のいていく。

 どうやらもうすぐ死ぬらしい。

 私はそっと目を閉じた……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る