第65話 現(うつつ)

 赤い鳥が飛んでいる、金色の羽毛を纏う赤い鳥だった。

 そんな夢をみた。


 小さな鳥ではあったが、それはとても美しく、まだ飛ぶことに慣れぬのか、どこか不器用な飛び方であった。


 僕は手を伸ばそうともせずに沼の中でソレを見ていた。

 沼には兵士が這いまわっていた。


 泥まみれの兵士の真ん中で僕は立ちつくし、空に羽ばたく鳥を見ていた。


 とても悲しい夢だった…

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