第64話 逃げ込む先

 僕は逃げ続けている。

 正社員の道を諦めているのも、結局は逃げているからだ。

 年齢が…経験が…色々な理由をつけて、派遣社員やアルバイトで食いつないでいる日々。

 自分の能力より遥かに下の仕事をバカにしながら、それしか与えられない現状に愚痴をこぼす。


 死ぬこともしない。

 死ぬ勇気なんてない。

 生きる勇気もない。


 きっと、ギリギリまで追い詰められなければ、僕は自分のスイッチを自分の指で切れない。


 誰かへの懺悔のために、今の悔しさはある。

 今の苦しさは、その罰なんだと言い聞かせながら、僕は現状を受け入れている。


 結局、前に進むのが怖いのだ。

 下しか見れない自分は、誰かの為にと今を受け入れる。


 ホントは自分のためなのに…

 全部、自分のせいなのに…

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