第41話 虚構の獣

 派遣先から逃げたい

 逃げるのは簡単なことだ

 だがお金が…

 休みたい…でもお金が…


「逃げてもいいよ」

 エサは貰えないけどね


 放し飼いのサファリパークみたいな感じだ。

 柵は無い、いつでも自然に戻れる…だけどその線を越えたらエサは貰えない。


 自由の代償は、きっと命だったりする。


 それでも線の向こうに行きたくて…僕はその線の前で座り込む。

 牙も爪もあったはずだった…

 向こう側でも生きていけると思っていた…


 虚構の獣は今日も線の前で座って夕日を眺める。

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